新しい学校や新しい環境・・・新生活が始まる4月です。日ざしはだいぶ強さを増して、街のショーウインドーにも軽やかな春の装い・・・もう厚手のコートは着られない、という気分になりますね。でも実際、春の装いで出かけた時に「しまった!」「こんなはずでは・・・」と予想外に寒い思いをしてしまった方もいるのではないでしょうか?
4月は、もうモコモコの冬服は着られないけれど、春の装いではちょっとまだ寒い、そんな安定しない時期なのです。
一般に、春は一日の中での気温の差が大きい季節といわれています。暖かい日差しの下で、日中はポカポカ陽気になったかと思えば、夕方以降は急に気温が下がり、朝晩は遅霜が降りて農作物に被害をもたらすようなこともあります。
また、一週間の中でもポカポカと暖かい日と寒い日を繰り返し、気温の変化が大きくなることがあります。低気圧が通る前と後で風向きが大きく変わるため、暖かい南風が吹いて汗ばむくらいの陽気になった翌日に、北風が吹いて寒くなるということもあるのです。
4月といえば、お花見の季節。外出の機会も多くなります。
この不安定な時期を快適に乗り切るために必要なこと・・・それは「ポイントを押さえた重ね着」です!
4月ともなると衣服はウール素材からコットンなどの素材に変わってきます。素材が変わると保温性も変わりますが、コットンなどの春夏用の素材でも、簡単な工夫で暖かく過ごすことができます。キーワードは「空気を着る」ということ。薄手の衣類でも、何枚か重ねて着ることで、体と衣服の間に何層も空気の層ができます。その空気がそれぞれ熱を蓄えると同時に、断熱材の役目も果たし、寒さをシャットアウトしてくれるのです。
重ね着の便利なところは、いつでも脱いだり着たりして枚数の調節ができるということです。一日中お出かけする場合、暖かい昼間の時間と、冷えてくる夜とでは当然ちょうどいい服装も変わりますね。朝の気温に合わせて厚手の衣類を一枚着て出かけてしまうと、昼間、気温が上がってきたときに脱ぐことができませんが、重ね着をしていれば気温に合わせて服装を簡単に調節できます。特に小さな子どもや赤ちゃんは、体温の調節機能がまだあまり発達していないので、薄手の衣類をプラスしたり脱がせたりして快適な温度を保ってあげたいですね。
また、春のおしゃれに欠かせないストール。これも寒暖の変化をカバーするアイテムとしてとても役に立ちます。首は太い血管が集中していますが、脂肪が薄く寒さの影響を受けやすい場所。そこにストールを巻くことで、効率よく体を温めることができます。逆に暑く感じたらサッとはずすだけ。顔周りを華やかに見せながら、実は春先の寒さ対策・・・お気に入りを一つ持っておくと、どんな場所でもオシャレに寒さ対策ができますよ。
なお、ストールは麻などの素材でも、十分に春先のふとした寒さを和らげてくれます。そしてストールを広げれば日よけとして紫外線対策にも。これから夏に向けて、ストールは万能選手です。
さらに、屋外で過ごす時間が長い日は、重ね着をした上に、風を通さない上着を羽織っておくと安心です。
春は風の強い日が多い季節。同じ気温でも風があるのとないとでは、体で感じる温度に差が出ます。特に北風が吹くと、風速一メートルにつき、体で感じる温度は一度ずつ下がるといわれています。お花見など、屋外で長時間過ごす日は、風が吹いてきたときに備えて、風を通さないような上着を着ていくといいでしょう。
新生活が始まるこの時期は、忙しさや疲れなどから体調を崩しやすい季節でもあります。ポイントを押さえた重ね着で、気温の変化と上手に付き合い、元気に過ごしましょう。
関嶋 梢 【気象キャスター】
記事テーマ
「きょうは何を着せたらいいかしら?」にはじまり、子育てには天気予報がかかせませんね。天気には<季節ごとに気をつけたいポイント>があります。そのほかにも<お散歩で見つけよう!季節の表情>や<親子でチャレンジ!簡単な天気予報>などをテーマに、子供たちとの毎日が楽しくなるようなお天気豆知識をご紹介します。