今回も、前回に引き続き脳トレ算数のツールをご紹介します。
算数のツールは脳トレだけのために使うのではなく、当然算数を解く上で重要なものばかりです。
よく「算数のセンスがないから・・」というお母様やお子さんの声を聞きますが、算数はセンスではありません。今回ご紹介するような算数のツールを身につけ、公式を理解し、様々な問題を数多くこなし、ようやく算数を解くための血となり肉となっていくのです。
とはいえ、立体図形の特殊な問題に関しては
「センスがあったら・・」
と思わずにいられない時があるのも事実。こういう時は、とにかく沢山問題を解いて身体で覚えていきます。
さて、脳トレ算数で扱うツールには「暗記力」と「計算力(暗算力)」の2つがあります。
「算数に暗記?」
と思われる方もいるかもしれませんが、算数とて覚えておかねばならない数値や公式は沢山あります。ちなみに、前回お話しした平方数は「暗記力」を鍛えるツールです。
暗記は、覚える内容や使い方によっては”詰め込み教育”と批判される場合もありますが、こと算数においては、何かを暗記しただけで”問題が解ける”という事はまずありません。
一方、計算力が必要なのはうなずいて頂けると思いますが、計算力には
・処理能力
・暗算力
の2つがあります。
「処理能力」とは、”いかに効率よく計算を進めていくか”で、これはお子さんによって若干手法が異なってきます。
一方、暗算力は鍛えれば鍛えるほど身に付くもので、やや高度な脳トレツールとして最適です。
もし中学受験をするのなら、絶対に覚えておいて欲しいもの――
それは、以下の『小数⇔分数ファミリー』です。
0.25 = 1/4 0.75 = 3/4
0.125 = 1/8 0.375 = 3/8 0.625 =5/8 0.875 =7/8
中学入試の最初に出てくる計算問題に頻出ですが、上記を覚えていないお子さんは
0.125 = 125/1000
をひたすら約分していくしかないのですが、「時間がかかる」「途中でミスしやすい」あげく「計算に嫌気がさす」と、デメリットのスパイラルに陥ってしまいます。
これも、前回お話ししたように1分で区切って覚えさせるのが一番有効ですが、平方数より難易度が高いため、ぜひ覚えやすい方法を親子で見つけてみて下さい。
ちなみに、覚えにくい小数は
0.375 = ミナコ 0.625 = ムツコ 0.875 = ハナコ
と、”三姉妹シリーズ”で覚える、という手もあります。
これもやはり小数シリーズです。
小数と分数の混ざった四則計算は、基本的に小数を分数に変えて計算します。この時にいかにスマートに分数にできるか、が計算力の大きな分かれ目となります。
例えば、0.64 を分数にしたい時に
0.64 = 64/100 = 32/50 = 16/25
と、少しずつ約分を繰り返していくのか、
0.64 = 16/25
と、一発で約分できるのか。スピードに大きな差が出るのは一目瞭然ですよね。算数でよく扱うのは小数第二位までの小数を分数にするパターンですが、これは
①暗記しておくもの 0.25 0.75
②2で約分できるもの 0.04 0.26 0.94 など →分母は50
③4で約分できるもの 0.08 0.52 0.96 など →分母は25
④5で約分できるもの 0.15 0.55 0.95 など →分母は20
の4パターンを見極め、一回で約分できる訓練をします。②③④の見極め方は『倍数判定法(中学入試の範囲内)』に基づき、
2の倍数=一の位が偶数
4の倍数=下二けたが4の倍数
5の倍数=一の位が5か0
で区別します。
倍数判定法――少なくとも義務養育には出てきませんよね。中学受験する小学生って、すごいなぁって思いませんか?
今回、最後まで読んで下さった方はかなり「算数の体力」がおありだと思います。脳トレ算数のツールをいくつかご紹介したわけですが、おそらく
「すごくつまらない」
「途中から嫌になってきた」
と思われたのではないでしょうか(笑)?
実際、私も書きながら”算数を文字で書くことの無機質さ”を痛感しています。
しかし、これらをいかに楽しくお子さんに取り組ませるかが最大の鍵。逆にいえば、お子さんをやる気にさせるコツさえわかっていれば、どのような内容でも関係ありません。
前回もお話ししたように、これらを覚えることを最終目的とするのではなく、親子のコミュニケーションツールとして上手に”利用”して下さい。
安浪 京子 【プレスティージュパートナー代表】
記事テーマ
学力低下、理数離れ、詰め込み教育・・誰もが聞いたことのあるこれらのキーワードは、幼児期における家庭での関わり方によって、影響されずにすむ力をつけることができます。そんなエッセンス ―親子で楽しく思考力・集中力を鍛える方法― について連載していきます。