前回に引き続き、今回は「短時間に膨大な問題をさばく能力」についてです。
今回お話しする処理能力は、志望校によって必要か不必要かがわかれます。やや番外編的ですので、志望校が中堅校未満の場合はあまり必要ありません。
この代表例が今回は筑波大学附属中学(以下筑附)です。
一般的に、中学入試は50分ないし60分で大問が5題程度出題されます。
しかし、筑附は「社会と合わせて50分」「算数大問10題、社会大問7題」とあまりに桁外れです。
しかも、問1は小問が7つもあり、これらの小問は1つあたり25秒で解かねばなりません。
H22 筑波大学附属中学
(出典:声の教育社)
このタイプの学校は、解く時に「一瞬でも悩んだらアウト」です。
では、どのように訓練すれば良いのでしょうか。
短時間に膨大な問題を課してくる学校は、基本~応用止まりの問題で入試を構成します(これは高校入試、大学入試にも通じます)。
つまり、難問奇問に取り組む必要はなく、「基本→応用」という、ごく一般的なプロセスをきちんと踏むことが大切です。
ただし、瞬時に
「約数問題の“あまり一定”パターンだな」
「これは速さを装っているけれど、実際はつるかめ算だな」
「場合の数の中でも、書き出ししか方法がないな」
と、問題タイプを判断する必要があります。そのためには
1.それぞれの単元内で、さらに自分なりに細分化した引き出しを持つこと
2.とにかく数多くの問題にあたり、1の引き出しを一発で探り当てる訓練をする
3.1,2を基本問題、応用問題に対して繰り返す
練習をします。
今日はパーティーだから散らし寿司にしよう
↓
ご飯はかために炊かないとね
↓
今日は新米しかない
↓
普段のシャリより、さらに水を少な目にしなければ
という発想が瞬時にできるかどうか。
頭の中で「大皿料理」「炭水化物」「ご飯の炊き方」「新米の特性」など、様々な事柄がきちんと分類されていないと、「雑炊か散らし寿司か」が判断し、「シャリは水分少な目」というパターンがわかっており、「新米は古米より水分含有量が多い」という基本と理由がわかっていないとできませんよね。
もちろん、参考書や塾のカリキュラムは算数を分類しています。しかしそれは大局的なものであり、細分化まではされていません。人によってその分類が「わかりやすい」「わかりにくい」というのも変わってきます。
そこで、自分にとって最もわかりやすい分類、つまり「引き出し」を作る事が必要です。
そして、その引き出しを作って確固たるものにするには、相当数の演習を積んで算数全体を俯瞰できる「余裕」。前回に引き続いて言うなら、仕事算を5パターンだけでなく10パターンほど解いておく位の余裕は必要です。そのためにも応用問題レベル(発展はいりません)までスキルを磨きましょう。
安浪 京子 【プレスティージュパートナー代表】
記事テーマ
学力低下、理数離れ、詰め込み教育・・誰もが聞いたことのあるこれらのキーワードは、幼児期における家庭での関わり方によって、影響されずにすむ力をつけることができます。そんなエッセンス ―親子で楽しく思考力・集中力を鍛える方法― について連載していきます。