さて、前回に引き続き今回も“答案の上手な活用法”をお話ししていきたいと思います。
前回は①全体を眺める②筆跡 でした。
続いては「点ではなく偏差値で見る!」です。
以前の連載でもお話しましたが、テストは点数ではなく偏差値で見なければ意味がありません。
80点のテストでも、平均点が85点だったら平均より下になりますし、たとえ60点でも平均点が50点であれば平均より上にいることになります。
特に科目間を比べる場合は、必ず偏差値で見るようにして下さい。
また、平均点や点数分布によって上位と下位の偏差値は大きく変わってきます。得点分布と偏差値換算表が配布されるテストの時は、「あと○点(○問)で偏差値が○上がった」という見方もしておきましょう。
そうすると、お子さんも「社会のこの1問、取れれば・・!」「算数の計算ミスさえなければ!!」と、悔しさがより具体的になります。
最近は本当に便利になって、たいていの塾では模試の結果と一緒に各問題の正答率がついてきます。
さて、この正答率と実際の得点を見比べると、お子さんのタイプが浮かび上がってきます。
私は勝手に
「合格最短距離タイプ」
「伸び代MAXタイプ」
「地道さが求められる天才肌タイプ」
「足元を固め直そうタイプ」
に分けています。順に見ていきましょう。
答案がほとんど埋まっており、正答率50%以上のものは全て正解している。得意分野は正答率が30%台でも正解していることが。
答案の前半はほぼ満点、後半の大問は(1)(2)は正解、(3)(4)あたりは間違いか空欄。
○が集中しており、×はたいてい各々の問題の最後なので、答案の見た目も美しい。
この答案からわかることは
・分野によらず、基本事項がきちんと身についている
・時間配分がきちんとできている(冷静さとスピードがある)
という点です。今までの勉強方法を続け、あとは志望校対策で頻出分野は出題パターンを攻略するのみ!
答案がほとんど埋まっており、正解している問題は全て正答率50%以上。まれに正答率が30%台でも正解していることがあるが、この場合は「書き出し」「根性」で解いている場合が多い。
答案の前半は苦手分野になるとミスしており(割合や文章題など)、後半の大問は(1)(2)は正解、(3)(4)は空欄。
この答案からわかることは
・ほぼ基本事項がきちんと身についている
・時間配分がきちんとできている(冷静さがある)
・取るべき問題、取れない問題の取捨選択がある程度できている
という点です。
正答率50%以上でも不正解が続く問題は苦手か基礎が身についていない分野。まずはこの分野を夏休み中に立て直しましょう。
得点力は非常に高いので、苦手分野を攻略すれば得点アップ間違いなし!です。
答案がほとんど埋まっているが、正答率に関係なく○×が散らばっています。
正答率70%の問1が間違っているかと思えば、正答率が0.5%のような超難問を正解していたり・・そして、大抵の場合字が汚い(笑)。
本人は
「正答率0.5%の問題を正解できるオレって凄い!やっぱり算数超得意なんだ。計算や一行問題なんて単なるミスだし、本当は100点取れるぜ」
と思っています。
が、実際はテストの点にムラがあり、偏差値も55~70位の幅があります。
この答案からわかることは
・算数のセンスは大いにあり、自信もある
・そのため基礎をないがしろにし、普段の宿題が雑
・解くスピードが速い
・誠実に問題に向き合う姿勢が低い
という点で、これはたいていどの科目にも当てはまります。
早急にすべきは、
・時間がかかっても良いので丁寧に解く
・簡単な問題を一回で正解させる訓練
です。そして
・正答率70%も0.5%も得点にそれほど差はない
・簡単な問題を正解させる方が効率が良い
ことを身を持って理解してもらった上で、超難問にチャレンジしてもらいましょう。
答案は白紙が多く、正答率に関係なくパラパラと正解が。後半の大問はほぼ白紙。
この答案からわかることは
・算数に自信がない(嫌い)
・時間配分を意識していない
・取るべき問題、取れない問題の取捨選択ができていない
という点です。
まずは正答率70%以上の問題を確実に正解させることです。そのため、いきなり解かせるのではなく、「どの問題が取れそう?」と、まずは取捨選択眼を養うことが大切。
そして、早急にすべきは
「算数を好きにする」ことです。それには「自信をつけさせること」。
必ず好きな分野が一つはあるはずです(大きなくくりでなくても、「つるかめ算が好き」でもOK!)。まずはその分野を基礎から始めて応用まで掘り下げ、自分の志望校もしくはもっと上の学校の過去問題から解けそうな問題をピックアップして解かせ、自信をつけさせます。
このプロセスを地道に繰り返しながら、算数全体を底上げしていき、「合格最短距離タイプ」に近づけていきましょう。
さて、「答案の上手な活用法」は次回でおしまいです。
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安浪 京子 【プレスティージュパートナー代表】
記事テーマ
学力低下、理数離れ、詰め込み教育・・誰もが聞いたことのあるこれらのキーワードは、幼児期における家庭での関わり方によって、影響されずにすむ力をつけることができます。そんなエッセンス ―親子で楽しく思考力・集中力を鍛える方法― について連載していきます。