さて、PISAで問われる能力「読解力リテラシー」「数学的リテラシー」に引き続き、残るのは「科学的リテラシー」。
科学的リテラシーとは、「自然界及び人間の活動によっておこる自然界の変化について理解し、意思決定するために、科学的知識を使用し、課題を明確にし、証拠に基づく結論を導き出す能力」と定義されています。
2000年から2009年にかけて、日本で最も順位変動の少ないのが「科学的リテラシー」。
普通に生活していると「科学」と言われてもあまりピンとこない気がしますが、一体どのような問題が出題されるのでしょうか。
「遺伝子組み換えトウモロコシの禁止を
自然保護団体は新しい遺伝子組み換えトウモロコシを禁止すべきだと要求している。
従来種のトウモロコシまで枯らしてしまうほど強力な新しい除草剤によっても、遺伝子組換えトウモロコシは影響を受けないように設計されている。この新しい除草剤はトウモロコシ畑にあるほとんどの雑草を枯らしてしまう。
自然保護者たちは、雑草が小動物、特に昆虫の餌となるため、遺伝子組み換えトウモロコシ用の新しい除草剤は環境に対して有害であると言っている。一方、遺伝子組み換えトウモロコシの支持者たちは、科学的研究がそのようなことは起こらないことを示していると言っている。」
次のことは、上の記事に書かれている科学的研究の詳細を示したものです。
・全国の200の畑にトウモロコシを植えた。
・それぞれの畑を2分割した。片方には遺伝子組換えトウモロコシを植えて、新しい強力な除草剤を散布し、もう片方には従来のトウモロコシを植えて、従来の除草剤を散布した。
・新しい除草剤を使用した遺伝子組換えトウモロコシについた虫の数と、従来の除草剤を使用した従来のトウモロコシについた虫の数は、ほぼ同じだった。
遺伝子組換え作物に関する問1
この記事に書かれている研究について意図的に変えた条件は何ですか。それぞれに対し「はい」または「いいえ」に○をつけてください。
1.畑の昆虫の数 はい/いいえ
2.使用する除草剤の種類 はい/いいえ
遺伝子組換え作物に関する問2
全国の200の畑にトウモロコシが植えられました。なぜ科学者は複数の畑で実験を行ったのですか。次のうちあてはまるものに一つ○をつけてください。
A 多くの農家が新しい遺伝子組換えトウモロコシを試せるから
B 遺伝子組換えトウモロコシをどれだけ多く栽培できるかを知るため
C 遺伝子組換え作物をできるだけ多くの面積で栽培するため
D トウモロコシを様々な条件の下で栽培するため
遺伝子組換え作物に関する問3
次の項目についてどれくらい興味や関心を持っていますか。それぞれの項目ごとに、あてはまる番号に一つ○をつけてください。
興味や関心が 1.高い / 2.中くらい / 3.低い / 4.全くない
a) 植物の遺伝子組換えの過程について学ぶこと
b) ある植物は除草剤になぜ影響されないのかを学ぶこと
c) 植物の交配と遺伝子組換えの違いをよりよく理解すること
科学と一口にいっても、全てが公式や数式ずくめではありません。
科学には「自然科学」「人文科学」「社会科学」など様々な分野がありますが、いずれにせよ私たち人間が現在の生活を営む背景には「科学の進歩」が大きく関わっています。
・・というような話になると「科学論」になってしまうのですが、もう少し家庭で楽しく「科学的リテラシー」を楽しむための「方法論」をお話しします。
たとえば「空の色」。
「どうして空は青いの?」との疑問は、誰しも抱いたことがあると思います。そこで親御さんが、何かのQ&Aで読んだわかったようなわからないような答えでお茶を濁していては科学的リテラシーは育ちませんし、科学に対する興味の芽も摘んでしまうことになります(「そういうものなの」という話の終わらせ方は絶対にしないで下さいね)。
お子様にそのような質問をされたら、
「空って本当に青いかな?」
「青って言っても、どんな青さがあるかな?」
と、是非毎日空を見上げてあれこれお話ししてみて下さい。お子様の疑問に「本当にそうかな?」と疑問で返すのは、思考を深める手っ取り早い方法です。
さて、毎日空を一緒に眺めるうち、青空といっても実に様々な種類があることに気付くと思います。そして、ここからが「科学的リテラシー」。様々な青空を親子で分類・整理し、一緒に法則を作ってみて下さい。
その法則が正しかろうが間違っていようが、これが科学的リテラシーの深め方です。
このような経験を経ることによって、お子様が空の青い理由を何かで読んだ際、いわゆる「腑に落ちた」状態になり、同時に「物事を自分で深く考える習慣」が身に付くのです。
さらに、理論を考えるだけでなく、その理論を実験という実証的な手法で検証し、確認するまでに至る流れが「科学」となります。
3回にわたってPISAについてお話ししてきましたが、一貫して「家庭での親子の会話」がいかに重要かわかって頂けたかと思います。
よく「放っておいても子は育つ」と言いますが、どのような人間になって欲しいかによって接し方は変わってきますし、お子様の能力を伸ばすためには親御さんの働きかけが必要不可欠です。
是非、中学受験という短視的な目的だけでなく、お子様の人生を豊かにするために、ご家庭での会話を様々な方法で深めていって下さい。
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安浪 京子 【プレスティージュパートナー代表】
記事テーマ
学力低下、理数離れ、詰め込み教育・・誰もが聞いたことのあるこれらのキーワードは、幼児期における家庭での関わり方によって、影響されずにすむ力をつけることができます。そんなエッセンス ―親子で楽しく思考力・集中力を鍛える方法― について連載していきます。