子供への愛の注ぎ方は、人それぞれ。当然ですよね。だって、あなたも私も、違う価値観を持って生きている。それにこの世の中「正しいこと」はたくさんある。「間違い」がたくさんあるのと同じくらいに。
でも私から見て、そして心理学的に見て、「この愛し方はやめるほうがいい」と愛し方があります。それは、心理学的に【条件付きの愛】と呼ばれている愛し方のことです。
【条件付きの愛】とは、ひとことで言えば、「子供がいいことをしたときだけ、ほめてあげる愛し方」のこと。
たとえば、子供がお手伝いをしたら「いい子ね」とほめ、子供が跳び箱を上手にできたら笑顔で頭をなでてあげる……。かと思えば、逆に子供がお手伝いをしないときや跳び箱を飛べなかったときには
「ほんとうにあなたはダメなコね」
「○○ちゃんはできるのに、どうしてあなたはできないの?」
と言ってしまう。
こうして、なにか「いいこと」をしたときだけママに優しくされる子供は、寂しい思いを抱えるようになります。他人の顔色ばかりうかがう「人を愛せない子」に育ちます。そうなんです。人間って、自分がしてもらった愛し方の表現しかできない生き物なのです。
いえ、子供だって成長していく段階で、「もっと素直に愛情を表現したい」と思うようにはなります。でも、理屈ではわかっていても、行動に移せない子に育つのです。
ちなみに、世間を騒がすような大きな事件を起こす青少年たちの多くは、子供の頃に【条件付きの愛情】しか受け取っていません。成績が悪いと両親から責められ、好きな部活動をしようとするとそんなヒマはないと束縛されるうちに、
「どうせ自分はダメな人間なんだ」
「おかあさんからも、おとうさんからも認めてもらえないクズなんだ」
と自分を追いつめてゆく。どうしようもない苦しみと妄想の果てに、残虐な事件を起こしてしまうのです。
人間の性格は、生まれながら決まっている部分もあります。が、育てられ方が少しだけ違っていたら、こんな事件にはならなかったのではないかと思うことが多く、胸が痛みます。
子供をすくすく育てるのは【無条件の愛】です。子供がいいことをしようが、悪いことをしようが、他の子と比較したりせずに「ただ、そこに存在する子供」を愛してあげること。評価のないほめ方をすることです。
「いい子だね」というほめ方は、子供を評価することにつながるので、あまりいいほめ方ではありません。ほめるときには「よくがんばったね」「楽しかったでしょ?」「ありがとう、ママもうれしいよ」と、自分の気持ちを付け加えながら子供のがんばりを認めてあげること。それが本当の意味での「ほめる行為」であり、「愛情」なのです。
うん。なかなかむずかしいんですけれどね。意識的にしているうちに、できるようになっていきますし、【無条件の愛】を受け取った子供は、それはすくすくと、真っ直ぐに育っていきます。
愛情の注ぎ方は、簡単なようでいて難しい。でも、難しいようでいて簡単でもあるとも、私は思っています。いちばん大切なことさえしていれば、あとは結構いい加減でも大丈夫なのではないでしょうか。
いちばん大切なこと。それは、あなたの気持ちを、ちゃんと子供に伝えることです。態度だけではダメなんです。あ・うんの呼吸なんて信じないでくださいね。
「あなたに何があっても、ママはあなたのことを愛しているからね」
そんなふうに言葉で伝え続ければ、思いはかならず子供に伝わります。ね。簡単でしょう?まずはそこからはじめてみてはいかがでしょうか? 親子の関係が、どんどんよくなっていきますよ。
安藤 房子 【恋愛カウンセラー】
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安藤房子独自のアドバイス型カウンセリング実績は過去に20000件以上。専門分野である色彩心理学や独自のトラウマ理論、食と心理学研究に基づき、育児や家事のノウハウをお伝えしたいと思っています。特に、働くママ必見! 自身の夢をかなえながらのハッピー育児術ならおまかせください。