出産は一大事。と、よく言いますよね。私も、そう思います。そして、私の場合は、出産前に想像していた「一大事」と、現実の「一大事」が、かなり違いました。
出産前に想像していたのは、出産自体の痛みや大変さ。あとは、育児と仕事をどんなふうに両立していくかという意味での「一大事」。でも、出産してから感じた「一大事」は、「心の変化」という問題でした。
私はもともと、人一倍ゴーイング・マイ・ウェイのタイプ。ひとりでいるのが大好きなほうでした。もしも私が会社員なら、同僚と毎日ランチをともにするのは息がつまることでしょう。その同僚を好きか嫌いかという話ではないのです。ランチタイムには、静かにひとりでご飯を食べたり、コーヒーを飲みながら仕事をしたり、未来の構想を練ったりしたい。もともとそういうタイプなのです。
なのに、産後のある時期、誰かと群れたくて群れたくてたまらなかったのです。それは、自分でも驚くような出来事でした。
今思えば、私はマタニティ・ブルーだったのでしょう。それも、かなり長期に渡るブルーでした。社会とのつながりがほしくてたまらなかったのです。
いえ。産後すぐに仕事復帰したわけですから、社会とのつながりはあったのです。メールカウンセリングも出産前と同じように続けていましたし、お取引先の方と電話やメールでよく話していました。友達とも家族ともよく話しました。それでも、人と群れたくてたまらなかったのです。
おそらく私は、不安だったのです。そして、窮屈だったのです。
お取引先と話すことはあっても、飲み会の誘いは減る一方。現実問題、出産前とおなじように夜も外出したくても、ままならない。とりあえず、出産前の仕事はぜんぶ続けていたけれど、未来に向けてのビジョンを描けない。仕事は順調なのに、心は行き詰まっている。そんな感じだったのです。
そんなある日、私は、地域の子育て中の女性たちの集いに参加してみました。娘はもう、保育園に行っていたんですけれどね。その日は早めにお迎えに行き、地区会館に出かけてみたのです。
あのときの、目の前にパーッと光が差し込んできたような感覚は、今でも忘れられません。その場所には、ハツラツと遊ぶ子供とママたちが集い、子供の年齢に応じて、さまざまな遊びが展開されていました。ほんの1~2時間という短いあいだでしたが、その時間の中で、お互いにちょっとしたプロフィールを語り合い、遊んだことで、それまで心にあった「どんよりとした雲」のような気持ちが、スッキリと晴れやかになりました。
ネットのコミュニティで語り合うのもいいですが、アナログにはアナログのパワーがある。そんな気がします。
かといって、特に、アナログの世界でママ友を作ろうとしなくてもいいと思うんです。単純に、一度っきりでも参加してみることで、今までとは違う「何か」が見えてくる。その場だけでサヨナラの関係だとしても、心が洗われることもある。そう思います。
結局、私が地区の子育て系の集いに参加したのも、あのときの一度だけ。そこでママ友ができたわけでもありませんし、あのあともときどき鬱々とした状態はやってきましたが、やっぱり、参加してみてよかった。
たぶん、いつもとは違う環境に身を投じてみたのが、よかったのかもしれません。同じような環境のようでいて、それぞれ違う環境という女性たちと他愛ない話ができたのが、よかったのかもしれません。知らなかった人たちと接しながら、それぞれの育児の「今」を目の当たりにする。私の「今」を見せることになる。それが、私を元気にしてくれたのです。
ちなみに、私の場合は、それから数ヶ月間の育児ウツを経て、もともとのゴーイング・マイ・ウェイ体質が戻り、現在に至ります。子育て中の女性という友達はいますが、いわゆる「いつも群れているママ友」はいません。その必要も感じません。結局のところ、「私は私らしく生きていく。それが私のしあわせの形なんだ」と思いながら、育児を含めた「私らしい暮らし」を大切にしています。
あなたが育児鬱になりそうになったら。
あなたが、あまりに真面目に母親業をしはじめて行きづまりそうになったら。
いつもとは違う環境を、意識的に作ってみてください。五感でとらえた刺激が、あなたの価値観を変えてくれるかもしれませんよ。
安藤 房子 【恋愛カウンセラー】
記事テーマ
安藤房子独自のアドバイス型カウンセリング実績は過去に20000件以上。専門分野である色彩心理学や独自のトラウマ理論、食と心理学研究に基づき、育児や家事のノウハウをお伝えしたいと思っています。特に、働くママ必見! 自身の夢をかなえながらのハッピー育児術ならおまかせください。