今年の3月11日は、日本人にとって、悲しくて苦しい、忘れられない日となりました。私は東北出身ですので、友人たちの安否を確認したり、好きな蒲鉾屋のおかみさんの所在を確認したり、馴染み深い仙台や石巻の風景に思いを馳せる日々が続きました。
でも、被災に遭っていない私が、くよくよしていても仕方ありません。自分にできることをなにかしたいと思い、4月から震災と原発で悩む人たちの無料メールカウンセリングをはじめました。対象の方は、実際に被災に遭われた方やそのご家族だけでなく、日本中の「震災と原発で不安を感じている人たち」です。
対象を被災者の方に限定しなかったことには、理由があります。それは、東北から遠く離れたこの地域でも、不安定な気持ちで過ごす人たちがとても多いことに気づいたからです。
考えてみたら、当然のことです。あの震災以来、私たちの生活環境は、ガラッと変わってしまいました。娘が通う保育園では、しばらくは外遊びがほとんどできない状態でした。年長の娘は、その理由を理解していたよう。
「ほうしゃのうがね、空からふるから、あぶないの」 と、よく言っていました。
保育士さんたちは防災服で保育、子供たちは常に防災頭巾を手元に置いて過ごし、園内には、電気が止まってもご飯が炊けるようにと大きな釜が用意されていたこともありました。
そう、子供たちにしても、緊急事態を認識せざるをえない状況だったのです。実際、娘は、ときおり不安そうにこう言いました。
「うちも、じしん、くる? つなみ、くる? しんじゃう?」
おそらく、全国の多くのお子さんたちが、同じような不安を抱えて過ごしていたのではないでしょうか。
最近、被災地以外の地域では、「通常の生活」をおくっている方が多いようです。でも、心理学的な観点から言いますと、今こそお子さんの心の状態に注目をしていただきたいのです。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状が出てくるのは、トラブルのあった日から3か月以降がほとんど。
普通の笑顔の子でも、心にストレスを抱えている可能性は否めません。被災地やその周辺のお子さんはもちろんのこと、遠く離れた地域のお子さんであっても、テレビで地震や津波の映像をたくさん見ている場合は、大きなストレスを抱えている可能性もあります。
では、何に注目をすればよいか。これはひとつの例ですが、お子さんが描く絵を観察するのも有効な方法です。
たとえば、これまでは華やかな色をよくつかっていたお子さんが、黒やグレーなどの暗い色の絵を頻繁に描くようになったら、ひとつのサインと言えます。すぐに病院へ、というわけではないにしても、かなり心が落ち込んでいる可能性が高いです。
では、暖色系をよくつかうならOKかと言うと、一概にそうとも言えません。オレンジ色を多用するようになったら、トラウマのサインの可能性も。オレンジ色には「友情」「交流」「元気」などのプラスの意味もありますが、深いトラウマを抱えているときにも選びがちな色なのです。
子供の心は、繊細です。親を気遣うあまり、「言いたいことを言えずにいる」お子さんも増えています。そんなお子さんでも、絵を描くときには「心のサイン」を見せる場合があるのです。どうぞ、「うちの子はだいじょうぶ」と思わずに、お子さんの心とじっくり向き合ってくださいね。
安藤 房子 【恋愛カウンセラー】
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安藤房子独自のアドバイス型カウンセリング実績は過去に20000件以上。専門分野である色彩心理学や独自のトラウマ理論、食と心理学研究に基づき、育児や家事のノウハウをお伝えしたいと思っています。特に、働くママ必見! 自身の夢をかなえながらのハッピー育児術ならおまかせください。