今年の旧暦の新年は2月10日でした。
明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
さて今月は、息子共々10年ほど関わらせていただいている「はじめ塾」について書きたいと思います。
小田原にある「はじめ塾」は息子が小1から現在までお世話になり、中学の3年間は寄宿させて頂いたところです。
そもそもは、マクロビオティック料理の田中愛子先生が「日本で一番いい教育をしているところ」とおっしゃっていたことから、関わるようになりましたが、10年経って思えば、子どもの教育以上に親(私)の育つ場であったということを実感します。
「はじめ塾」は「塾」といっても、いわゆる勉強だけではありません。
山や川で遊び、みんなで食事を作り、田畑を耕し、また、映画を作ったり、伝統芸能である「能」を演じたりもします。
不登校の子もいれば、ADHD的な子も、学校の成績優秀な子もいて多種多様。また親もしかり。
みんなそれぞれの特徴を認め合って、共にゆるやかに風通しよく生きる場となっています。
「シュタイナー教育」は「自由への教育」と言われていますが、私は「はじめ塾」もまた本当の意味での「自由への教育」だと思っています。
ご縁があった奇跡にいつも感謝しております。
「はじめ塾」を創った和田重正(1907-1993)は教育者であり思想家でした。
著書である「もう一つの人間観」(地湧社)は、「この自分とは何ものだろう」と問いながら暗中模索する我々凡人に向けて、中学生でもわかるような、やさしい文章で書かれています。
この思想が「はじめ塾」の原点。
今読んでも、新鮮です。
いえ、むしろ3.11以降の今だからこそ示唆されるところが多いのです。
「もう一つの人間観」では、まず人間の欲望の出所である「大脳」(=「エゴ」と同義)の働きに目を向けます。
「大脳」(エゴ)の欲望を拡大していけば、必ず行き詰まる。
その時、人間は自分が「いのち」(=「空」「全体意識」「神」と同義)であることを自覚する。
つまりいわゆる「悟り」の境地だと思います。自他の区別も善悪是非もない世界です。
誰もが、キリストや仏陀のような意識に至る…人間はその方向に進化していく、というわけです。
そして、そういう世界がだんだん開けてきている。
(そのことはここ数年、 エックハルト・トール、阿部敏郎、津留晃一、Manaなど沢山の方々が書籍で書いていることと同じなのではと思います。)
さて、『「大脳」が己の役割を果たしながら、その個体を「いのち」の目指す進化の方向に従った生き方に乗せることができるかどうか?できるとすれば、どのようにすればよいか?』
と、重正は問います。
瞑想・ヨガ・呼吸法・祈り…古今東西あらゆる方法がありますが、そういった特別のことをしなくても、その答えが「はじめ塾」の生活にあるのだと私は思います。
「はじめ塾」に飾ってある和田重正の言葉。
「ケチな根性はいけない」
「イヤなことは避けないで」
「ヨイことはする」
これを「幸せの扉を開く3つの鍵」と言って、子どもたちにいつもポケットにしまっておくように話していたそうです。
他にも「今ここ」「本気」「手放す」「一歩前へ」「求めず」…など、いろいろなキーワードを残しました。
「いのち」の目指す方向に従った生き方(=幸せな生き方)をするには「頭で損得を考えるより、今ここを本気で行動…そうすれば道は開ける。開かなければ違ってたんだから、手放して仕切り直す。」
みたいなことなんだろうと、私は思っています。
「はじめ塾」では、事あるごとに、この思想に戻って生活しています。
思想を鵜呑みにして、わかったふりをしても、意味がありませんが、人生冒険の途上に、先人の「言葉」の力が、闇を照らす光となることもあるでしょう。
理屈っぽくなりましたが、皆様の子育て・自分育ての参考になればと願います。
小川 千秋 【「つきよみサロン」主宰】
記事テーマ
都会でもできる月のサイクルに沿ったナチュラルで簡単な生活や子育て、ごきげんに生きるための食と身体と心について提案します。また旧暦の行事にまつわるお話や月に関する絵本や音楽や映画の紹介、ナチュラルな簡単なおやつのレシピなど。子供と一緒の日々がもっと楽しくなりますように!