経済的自立や安定のためにママが外で働く場合、お金を稼ぐと決めれば子どもとの時間は制約を受けることが多く、子どもとの時間を十分に取ろうとすれば高収入は望めないことが多いのが現状です。生活のためにと仕事に邁進すればするほど、子どもと過ごす時間が減少してしまうというジレンマを抱えるママも少なくないでしょう。特に婚姻中は専業主婦だったご家庭の場合、ママが働きに出るという突然の環境変化に子どもが適応できないケースも。また慣れない環境やオーバーワークでママ自身が体を壊してしまうこともあります。忙しい毎日に心のゆとりが失われ、些細なことでイライラしてしまうなど、子どもとの関係が悪化してしまうという事態も見受けられます。
母子家庭の場合、平日は仕事の他に家に帰れば家事をこなし、保育園や学校からのお便りや準備物への対応、そして子どもが小学生以上の場合は宿題の確認など、気づけばあっという間に夜の9時を過ぎてしまいます。また休日は平日の家事に加えて掃除、買い出し、子どもの習い事の付き添いなど、平日も休日もしなくてはならないルーティーンワークが多すぎて、パンク寸前のママもいることでしょう。幼少期の子どもにとっては、ママはいつも忙しそうに動き回っている、心ここにあらずで違うことを考えている、一緒にいるのに一緒じゃない・・などと、自分はほったらかしにされているという不満や寂しさが生じる場合もあります。
個人的に、子どもと向き合うための心のゆとりと時間のゆとりはイコールであると感じています。しかしながら1日24時間という時間を増やすことはできません。ママができることは自分の手元にある時間をどうやりくりしていくのか、どう子どもと共有していくのかではないでしょうか。そのために睡眠時間を削り、結果、体調を崩す事態は本末転倒ですので、例えば家事を手放す、やらなければならないことのハードルを下げる、子どもの宿題がある場合は学童などで終わらせてくるよう子どもと話し合う、週末にまとめてできることは週末に回す、など、日々の時間に余白を生み出す工夫をしてみることがお勧めです。そして、そこで生み出した時間は、例えば子どもが寝る前の10分間は必ず子どもとじっくり向き合う時間にするなどマイルールにし習慣化されることで、子どもにとっては心が満たされる大切な時間になり、ママにとっても1日のリセットの時間にもなります。
また離婚後の場合、パパとの面会交流もうまく活用し、週末のどちらかはパパへ子どもを託し、その時間を利用して家事や仕事を片付け、ママ自身が子どもと一緒に過ごせる時間は子どもに集中できる環境を準備するというのも一つの方法です。
今回は「離婚が及ぼす子どもへの負担⑥~ママとの時間の欠乏と寂しさ~」について対処法も含めてご紹介しました。離婚はしないに越したことはありません。しかし、時には離婚の二文字が頭をよぎることもあるでしょう。そんな時、自分の負の感情は一度脇へ置き、子どもにかかる負担について、少し立ち止まって考えてみませんか。全か無かではなく、複数の選択肢がきっとあるはずです。
《参考文献》諸富祥彦『ひとり親の子育て』WAVE出版./勇気づけリアル子育てコーチ養成講座テキスト(非売品)
いわもと くみこ 【離婚カウンセラー/勇気づけ子育てコーチ】
記事テーマ
3組に1組が離婚をしている現代。日々の暮らしの中で、「離婚」の二文字が頭によぎった時にママたちへ読んでいただきたいコラムです。親の離婚によって子どもを不幸せにしないことを最終着地点として、「離婚が及ぼす子どもへのダメージ」「離婚を決断する前に自分ができる夫婦再構築の対処法」「それでも離婚となった場合の心構え」についてお伝えしていきます。