母子家庭のママの就業状況を見てみると、「正規の職員・従業員」が44.2 %、「パート・アルバイト等」が43.8 %となっており、パート・アルバイト形態が全体の半数近くを占め、他方で不就労も10%弱存在しています。また「正規の職員・従業員」の平均年間就労収入は305 万円に対し、「パート・アルバイト等」では133 万円となっており、雇用形態によって収入の開きも大きい状況です(厚生労働省「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査」より)。今回は、もしも母子家庭となり生活上の金銭的制限が及んだ場合に子どもへかかるダメージとその対処法の一部についてご紹介していきます。(ここでは親権者が母親の場合を想定しています)
母子家庭の貧困が問題となっているように、離婚して母子家庭となった場合、婚姻中と変わらぬ経済状態や生活レベルを維持することは、シングルマザーにとってなかなか難しいことです。共働きで子どもを育てながらフルタイムで働くだけでも大変な中、母子家庭で祖父母などの協力を得られる環境でもない場合、世帯主となって仕事も子育ても一手に担い、経済的自立を果たすことは並々ならぬ努力と労力が要されます。とりわけ婚姻中に専業主婦であった場合、新たに働きだす際の正規雇用の門は狭く厳しいと感じられるケースも多いようです。シングルマザーへの理解がある職場も徐々に増えてきてはいますが、現状、非正規で働かざるをえないシングルマザーが多いのも事実。働き方改革により労働者の環境改善への取り組みがなされてはいますが、非正規の場合は収入保証もなく、子どもの病気やケガによっては働けなくなる事態にもなり、金銭的な不自由を余儀なくされる「負のループ」にはまってしまうとなかなか抜け出せず、貧困に窮する場合もあります。
もしも離婚となる場合、まずはママ自身が経済的自立に向けて動くことが第一ですが、パパと養育費の取り決めを離婚前にきちんと行うことも大切です。「離婚したら完全に縁を切りたいから養育費はもらわない」とおっしゃるママもいますが、養育費を受け取ることは子どもの権利です。そこに親同士の感情は関係ありません。そして離婚したとはいえ、子どもの親同士であることに変わりはありませんので、困った時にはヘルプを出したり、相談ができたりする関係性をパパと少しずつでも築いていけると子どもにとってもママにとっても安心です。((注)身体的な家庭内暴力などすぐに避難しなくてはならない場合は緊急性を伴いますので、専門機関への相談等、適切な対応が必要です。)また個人的な見解にはなりますが、離婚の有無に関わらず結婚生活を送られる中で、ママ自身の経済的な備えをされておくことも大切かと思います。経済的な備えは心の安定とゆとりにもつながりますので、よりよい結婚生活を送られる上でもお勧めです。
今回は「離婚が及ぼす子どもへの負担③~金銭的制限から生じる子どもへのダメージ~」について対処法の一部も含めてご紹介しました。離婚はしないに越したことはありません。しかし、時には離婚の二文字が頭をよぎることもあるでしょう。そんな時、自分の負の感情は一度脇へ置き、子どもにかかる負担について、少し立ち止まって考えてみませんか。全か無かではなく、複数の選択肢がきっとあるはずです。
《参考》厚生労働省「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査」
いわもと くみこ 【離婚カウンセラー/勇気づけ子育てコーチ】
記事テーマ
3組に1組が離婚をしている現代。日々の暮らしの中で、「離婚」の二文字が頭によぎった時にママたちへ読んでいただきたいコラムです。親の離婚によって子どもを不幸せにしないことを最終着地点として、「離婚が及ぼす子どもへのダメージ」「離婚を決断する前に自分ができる夫婦再構築の対処法」「それでも離婚となった場合の心構え」についてお伝えしていきます。