そもそも共同養育とは、離婚後も親同士が協力して子どものサポートを行う選択肢の一つですが、離婚したのに元夫(元妻)とは関わりをもちたくないと言う人が大半の中、共同養育を積極的に取り入れる離婚後の元夫婦はまだまだ少ない状況です。しかし、共同養育を行うメリットは、子どもだけでなく、同居親にもあります。まず子どものメリットは、
・パパママからの愛情を直接受けることができる
・自分の気持ちに素直でいられる
・自己肯定感を保つことができる
・パパママそれぞれから違った体験をすることができる
・パパママそれぞれの祖父母との交流も継続できる
・いざという時に逃げ場がある
など、これはほんの一部ですが、子どもにとって離婚後もパパママ双方と関係性が継続できることで得られるメリットはたくさんあります。他方で同居親のメリットは、
・マンパワーが増える
・経済的(養育費)な安定
・自分の自由な時間、ゆとりができる
・自由な時間ができることによって社会進出や収入アップにつなげられる
・ゆとりができることにより心の余裕ができ、子育てがラクになる
・万が一(同居親の病気や突然の死亡など)の時の子どものリスクヘッジがとれる
など、他にも元夫(元妻)の状況が確認できることや、遺産が子どもにスムーズにもらえることなど、将来的につながるメリットもあります。もちろん身体的な家庭内暴力(DV)があり母子(父子)の安全が第一優先とされる場合を除きますが、上記の通り、共同養育を行うことは子どものためだけではなく、同居親自身にとっても良いことが多いといえます。
他方で夫婦別姓、共同親権などといった法改正をめぐる論争が繰り広げられ、今後の動向が注目されています。中でも共同親権については先進国のほとんどが取り入れていることから日本でも注目されています。今の単独親権制度では、夫婦が離婚という結果になった場合に親の都合で子どもと片親が断絶するケースが多発していますので、個人的には共同親権制度への変更は時代のニーズに即したものと感じていますが、共同親権となっても共同親権を機能させるためには、離婚後も元夫婦が共同で子どもを養育していくためのマインド形成や関係性構築が最重要課題です。共同親権がハードであれば共同養育はそれを機能させるためのソフトと考えられ、共同親権と共同養育、それぞれがバランスよく存在する世の中が理想です。
現在は家族の形は多様化しており、一人一人が違うように、家族の形も様々です。実際に、事実婚、別居婚、共生婚、同性婚などといった多岐にわたる結婚のスタイルが存在しています。そして離婚したら終わりではなく、離婚後の共同養育も子どもにとっては一つの大切な家族の形であり、離婚後の元夫婦にとっても子どもの親同士という新たな関係性の始まりです。離婚後もパパ(元夫)・ママ(元妻)・子どもの三角形のバランスがとれることが理想ではありますが、難しい場合はパパー子ども、ママー子ども、と、子どもがつなぐ家族の形であっても十分です。共同養育や並行養育を通して、子どもにとって家族がつながっていると思えることが何よりも大切です。
離婚はしなくて済むのであればしない方がよいですが、結婚生活を送る中で、時には離婚の文字が頭をよぎることもあるでしょう。そして離婚という結論に至ることがあるかもしれません。そんな時、自分の負の感情は一度脇へ置き、「離婚しても子どもにとって親は二人」ということをまずは念頭におきましょう。そして、別居・離婚をする前に相手としっかり向き合い、子どもの養育について一緒に考え話し合いを重ねましょう。子どもが子どもらしくいられるように、離婚によって子どもの人生が大きく変わってしまうことがないように、離婚で子どもが不幸せにならないように、「親としてできることを最大限やる」ということが子どもがいる家庭での離婚マナーとなり、スタンダードになることを願います。そして色々な家族の形があることが社会に認知され、共同養育も一つの家族の形として、親が離婚となった子どもたち誰しもが継続して両親の愛情を受けられる世の中になることを切に願います。
《参考資料》共同養育のススメ/離れてもずっと親子(一般社団法人りむすび発行)
いわもと くみこ 【離婚カウンセラー/勇気づけ子育てコーチ】
記事テーマ
3組に1組が離婚をしている現代。日々の暮らしの中で、「離婚」の二文字が頭によぎった時にママたちへ読んでいただきたいコラムです。親の離婚によって子どもを不幸せにしないことを最終着地点として、「離婚が及ぼす子どもへのダメージ」「離婚を決断する前に自分ができる夫婦再構築の対処法」「それでも離婚となった場合の心構え」についてお伝えしていきます。