親が離婚した未成年の子の数は年間約22万人(人口動態統計2016年より)、母子家庭における子どもとパパの面会交流は約30%(平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告より)という状況です。この数字から、親の離婚後に母子家庭となり、パパと会えている子どもは3人に1人もいないということが分かります。離婚は毎年21万組前後発生していますので、その数に比例して別居親と会えない子どもがどんどん増えています。もちろん、そこにはいろいろな言い分や状況があることでしょう。しかしその状況を「元夫と関わりたくない」「子どもを会わせたくない」などといった親の身勝手で作り上げてしまい、結果、子どもを不幸にすることがあっては絶対になりません。夫婦(元夫婦)の感情と親子の関係性を混同させない、というのが離婚にあたっての大原則です。
夫婦としては離婚となっても子どもの親同士であることに変わりはありません。最近では著名人が離婚後も子どもの養育は元夫婦で協力しているケースが報道されることもあり、「共同養育」という言葉も少しずつ世に出てくるようになりました。多くのケースを見聞きする中で感じるのは、離婚後に親同士の関係再構築ができない場合の多くは、離婚に直面した感情的になっている時に自分本位に行動したり、相手と向き合わずに子どもの養育や将来について話し合いをすることもなく別居・離婚に至り、結果、子どもと別居親の断絶という不幸な事態が発生していることです。「離婚しても子どもにとって親は二人」というマインドを事前に知っているか知らないかで、離婚に直面した際の対応が変わります。果ては子どもの未来が変わってしまいます。離婚するしないに関わらず、結婚して子どもに恵まれたら「共同養育」という道があることを知っておくこと、それを夫婦間でシェアすることは、親同士としてできることの一つです。
ここで別居・離婚前に知っておきたい、離婚後も親同士として子どもの養育を協力して行っていくために大切な心得をご紹介します。
【子どもに対する親の心得】相手の悪口を言わない、自分の感情で子どもから親を奪わない、子どもが素直に発言できる環境をつくる、子どもを所有物化しない、子どもを相談相手にしない
【親同士の心得】夫婦の感情と親子関係を切り離す、争わずに歩み寄りを、相手を否定しない、自分自身の言動をふりかえる、「ありがとう」などの感謝の気持ちを伝える
『共同養育のススメ(一般社団法人りむすび発行)』リーフレットより抜粋
どれも離婚前だけではなく、婚姻中から必要な心得かもしれません。自分の言動を振り返る指針としてもお勧めです。
今回は、「ママとパパで子どもの養育を協力する道を作ろう」をテーマに、親として、子どもに対して、また元夫(元妻)に対してできることについてお話ししました。結婚生活を送る中で、時には離婚の文字が頭をよぎることもあるでしょう。そして離婚という結論を出す場合もあるでしょう。そんな時、自分の負の感情は一度脇へ置き、これからの家族としての関わり方について少し立ち止まって考えてみませんか。全か無かではなく、複数の選択肢がきっとあるはずです。
《参考資料》共同養育のススメ/離れてもずっと親子(一般社団法人りむすび発行)
いわもと くみこ 【離婚カウンセラー/勇気づけ子育てコーチ】
記事テーマ
3組に1組が離婚をしている現代。日々の暮らしの中で、「離婚」の二文字が頭によぎった時にママたちへ読んでいただきたいコラムです。親の離婚によって子どもを不幸せにしないことを最終着地点として、「離婚が及ぼす子どもへのダメージ」「離婚を決断する前に自分ができる夫婦再構築の対処法」「それでも離婚となった場合の心構え」についてお伝えしていきます。