「共同養育」という言葉を初めて聞く方も多いことと思います。現在の日本は、離婚後は父親か母親どちらか一方のみが親権をとる、単独親権制です(2019年12月現在)。それにより、離婚後、親権を持たない親と子の面会や交流が途絶えるケースが多く、親の離婚で傷つく子どもたちが後を絶たない現状があります。離婚原因が有責配偶者の身体的暴力(DV)の場合を除き、親の離婚による大人の勝手な都合で親子断絶を招くことは決してあってはなりません。その対応策の一つとして注目されているのが「共同養育」です。たとえ離婚しても子どもにとって親はパパ・ママの二人。親権・監護権で役割や権利を決めるのではなく、離婚後もパパ・ママが協力して共同で子どもの養育を行っていくことを「共同養育」と言います。
とは言え、夫婦関係が破綻したから離婚に至ったわけで、「元夫(パパ)と協力してやっていくなんてできるのか!?」「元夫とは一切の関係を断ち切りたい!」などと相手に対するネガティブな感情がぬぐい切れず、共同養育ができるのはごく一部の限られた家族の話だと感じられる方もいるでしょう。そのような共同養育へのハードルが高い場合は「並行養育」から始めてみるという方法もあります。「並行養育」とは、パパ・ママが実際の場での直接的な関わりを持つことなく、子どもと両親がそれぞれで交流をし養育を行っていくことを指します。例えば離婚後に母子家庭となり、ママがパパ(元夫)と直接的なやり取りをしたくない場合、子どもがまだ小さなうちは大人がスケジュール調整を行う必要がありますのでパパとメールだけはやり取りをして段取りを整えたり、メールのやり取りも難しいようであれば、例えば面会交流支援などの第三者機関を通じて段取りを組んだりと、間接的なコミュニケーションの取り方も複数あります。また直接メールのやりとりをする場合、始めのうちは文字数制限があるショートメール等で必要最低限の連絡のみとすることで余計な感情を用いずにフラットな関係でやり取りができておすすめです。そして、並行養育でのやり取りを経て、時間の経過と共に共同養育へ自然にシフトしていくというケースも少なくありません。
いわもと くみこ 【離婚カウンセラー/勇気づけ子育てコーチ】
記事テーマ
3組に1組が離婚をしている現代。日々の暮らしの中で、「離婚」の二文字が頭によぎった時にママたちへ読んでいただきたいコラムです。親の離婚によって子どもを不幸せにしないことを最終着地点として、「離婚が及ぼす子どもへのダメージ」「離婚を決断する前に自分ができる夫婦再構築の対処法」「それでも離婚となった場合の心構え」についてお伝えしていきます。