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パパやお子さんと日常を過ごす中で、時には自分の考えや理想とは違う言動を相手から受けることがあるでしょう。人はそれぞれ心の中にゆずれない信念を持っており、それが心の中の「掛け軸」となって存在しています。例えば筆者である私の中には「人に迷惑をかけてはならない」という掛け軸があります。この心の掛け軸とは、見方を変えると心の中の囚われです。その囚われが度を超すと周りに害を与えることがあります。例えば、自分の中で完結するのであれば、人に迷惑をかけないように行動することに害はないかもしれませんが、それをパパや子どもへ押し付けることは相手にとって害となる場合があります。もしかしたらそれを押し付けることで、子どもは将来、困っているときに助けを求められない人間になってしまうかもしれません。つまり、この自分固有の掛け軸というのは自分の中だけの存在であり、それを人に押し付けることは相手にとって好ましいことではなく、コミュニケーションの悪化を招きます。

さて、自分自身の心の掛け軸（心の中の囚われ）とは何なのでしょうか。それは、あるエピソードに注目をして振り返りを行うことで見つけることができます。例えば、パパとケンカをしてしまったエピソードを例にしてみると、

・ケンカになった時に自分はどんな気持ちになったのか

・どんな目的でパパに対して怒っていたのか

・パパがどうだったら嬉しかったのか

などと、起こった事実に伴う自分の感情や目的について振り返りを行います（紙などに書き出していくと視覚化ができ、より分かりやすいです）。そうして掘り下げていくことで、自分の中のゆずれないポリシーのようなものが浮かび上がってきます。一つのエピソードだけでなく複数のエピソードを振り返ることにより、最終的に譲れないポリシーが同一のものであることから自分の心の中の大きな掛け軸が見つかったり、ポリシーが複数あることから複合体での掛け軸が見つかったりします。

上記で例にあげたパパとのケンカのエピソードについて。状況を深く掘り下げると、「私はこういう思いが根底にあるから怒りや悲しみをおぼえ、パパへ言わなくてもいいような小言や自分の意見を主張してしまったのだ。」、そして「その思いは私の心の中の掛け軸であり、私だけがゆずれない思いであり、パパにも別の掛け軸が存在している。だからケンカになってしまったのだ。」と、自分だけではなく、相手には相手の論理があるということが見えてきます。ポリシーとして前向きな掛け軸であればOKです。しかし、知らず知らずのうちに相手に強要して害を与えるような掛け軸であれば手放す努力をする、または上手にお付き合いをしていく必要があります。大切なことは、

・自分の心の掛け軸（心の中の囚われ）を認識すること

・パパやお子さんとのコミュニケーションで衝突が生じた際には心の中の掛け軸を思い出し、そこから生じる感情と状況を理解すること

・パパやお子さんたちとお互いの心の掛け軸を共有し、互いを理解すること・受け入れること

・相手をコントロールするのではなく自分の考えや感情を上手にコントロールしていくこと

です。その積み重ねが、家族内の良好なコミュニケーションへとつながります。

今回は、「自分と相手の心の掛け軸を知ろう」をテーマに、パパやお子さんとのコミュニケーション法についてご紹介しました。結婚生活を送る中で、時には離婚の文字が頭をよぎることもあるでしょう。そんな時、自分の負の感情は一度脇へ置き、家族との関わり方について少し立ち止まって考えてみませんか。全か無かではなく、複数の選択肢がきっとあるはずです。

《参考文献》勇気づけ勉強会ELM講座テキスト（有限会社ヒューマンギルド開発・非売品）／勇気づけリアル子育てコーチ養成講座テキスト（非売品）