上記は生活環境が変わることによって及ぼされる子どもへの負担の一片です。もしも離婚や別居となった場合、これまで通りの生活環境を守ることがベストではありますが、引っ越しせざるを得ない場合は同エリア内で生活圏の変化を最小限に抑える、やむを得ず別エリアへの引っ越しとなる場合は引っ越しをする前に子どもの心の準備をサポートするなど、少しでも子どもの心的負担を軽減できるような対応が求められます。そして、転園転校となる場合には、きちんとお友だちや先生とお別れができるよう、子どもが自分自身で区切りがつけられるような配慮とサポートが大切です。(注)身体的な家庭内暴力などすぐに避難しなくてはならない場合は緊急性を伴いますので、専門機関への相談等、適切な対応が必要です。また、引っ越し先でできることとして、子ども部屋まではいかなくとも、棚のひとスペースでもよいので、子どものための空間を用意し、「そこは好きなように使っていいよ」と子どもへ伝えることも有効です。子どもはそこに好きなおもちゃや宝物などを飾り、「自分の空間である」という認識を持つことができると言われています。ちなみに、この「自分の空間づくり」は、離婚の有無に限らずできる子育てサポートの一つです。
今回は「離婚が及ぼす子どもへの負担①~居住エリア・所属の変化がもたらすダメージ~」について、対処法も含めてご紹介しました。離婚はしないに越したことはありません。しかし、時には離婚の二文字が頭をよぎることもあるでしょう。そんな時、自分の負の感情は一度脇へ置き、子どもにかかる負担について、少し立ち止まって考えてみませんか。全か無かではなく、複数の選択肢がきっとあるはずです。
《参考文献》Julie A. Ross+Judy Corcoran (著), 青木聡+小田切紀子(翻訳)『離婚後の共同養育と面会交流実践ガイド』北大路書房./ 勇気づけリアル子育てコーチ養成講座テキスト(非売品)
いわもと くみこ 【離婚カウンセラー/勇気づけ子育てコーチ】
記事テーマ
3組に1組が離婚をしている現代。日々の暮らしの中で、「離婚」の二文字が頭によぎった時にママたちへ読んでいただきたいコラムです。親の離婚によって子どもを不幸せにしないことを最終着地点として、「離婚が及ぼす子どもへのダメージ」「離婚を決断する前に自分ができる夫婦再構築の対処法」「それでも離婚となった場合の心構え」についてお伝えしていきます。