味は「うま味」・「塩味」・「甘味」・「酸味」・「苦味」の五味が基本とされています。味は人間が自分自身を本能的に守るためにあると言われていて、舌にある味蕾(みらい)という器官で味を感じとっていくわけですが、この味蕾は生後3ヵ月をピークに5ヵ月くらいには少し鈍くなり離乳食を受け入れられるようになってくると言われています。子どもはまずエネルギーになる母乳やミルクにも多く含まれるうま味や甘味を早い段階から覚え、生理的に必要なミネラルの塩味も好むようになっていきます。一方で腐敗を知らせる酸味や毒である苦味は本能的に好まないとも言われています。ですが、この基本の五つの味を自然なものから身体にとりいれることにより味蕾を育てていくのです。
そして離乳食の進度とともに食物の舌触り、においなど五感をフル活用しながら食事が「おいしい」ということを学習していくのです。この学習活動を繰り返しながら3歳までにその人自身の味の感覚が決まると言われています。
味覚を育てるには「おいしい!!」と脳で感じ、楽しい記憶をたくさん上書きしていくことが大切です。食事は嗅覚からというお話もさせていただいたことがありますが、私たちも美味しいものを想像するとき、初めに思い浮かぶのは美味しかった匂いではないでしょうか。子ども(特に赤ちゃん)は良い匂いがするものに興味を示すので触ってみたくなりますよね。触って触覚を感じ取り、お口に入れる前にじっくり観察(視覚)し、そこから舌での感覚も確かめながら味わっています。そして幼児期になると今度はお世話してくれる人がしていることにも興味を持つので、お料理の体験をさせてみるのがおすすめですよ。いつもやってもらうことが自分にもできた!という成功体験が、あのとき作ったごはんは美味しかった!というように記憶されていくはずです。
鈴木 元美 【にんべんだしアンバサダー(講師部)】
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お子様が生まれ、離乳食が始まる時期になると食を気にされるご家庭が多いかと思います。お子様の食事を大切に考える、ということはご家族の食も見つめなおすチャンスです、効率よく簡単に、楽しく身体に良い「おだし」を取り入れるメリットをいろんなシーンや角度からご紹介させていただきます。