人は行動を起こす時、何かしら準備をしてから行動を起こします。
例えば、歌を歌う前には思い切り息を吸い込みます。
遠くまでジャンプをする時には助走をつけます。
もっと日常的なところで見てみると、歩くために足を踏み出そうとする時にはその足を一度持ち上げます。
それらは全部、目的の行動をするための準備と言えます。
息をしっかり吸い込まなければ、歌が途中できれてしまいます。
助走をつけなければ遠くまでジャンプをすることはできません。
足を持ち上げなければ歩く事はできません。
上手に行動を起こすには、準備がとても大切なのです。
リトミックでは、アナクルーシスという言葉がよく出てきます。音楽的にいうと難しくなるのですが、簡単に説明すると、先程述べたような目的の行動の前の準備の動作の事を言います。レッスンをしていくうちに子どもたちは自然にアナクルーシスを感じる事が出来るようになり、行動を起こすためには準備が必要なのだという事を教えられるのではなく、自然に身体で感じ、覚えていきます。期間や個人差によって違いはありますが、リトミックを習っている子(過去に習っていた子)は、ピアノを演奏する時の息継ぎが最初からとても上手にできる場合が多いです。
歌を歌う時などによく使われる「さんはい」という言葉。普段の生活の中でも意識してたくさん使ってみましょう。その時注意してほしいのが、「さんはい」の「はい」の後に息を吸い込みやすくなるように、「さんはい⤴」といった感じで語尾をあげ、お母さんも一緒に大きく息を吸い込むことです。語尾が上がり、お母さんがを吸い込む様子を見る事で、子どもも自然に息を吸い込み、次の行動への準備がしやすくなります。歌を歌う時、ジャンプをする時、ボールを投げる時、蹴る時、滑り台を滑る時、走り出す時、歩く時、いろんな場面で「さんはい」を使って、たくさんアナクルーシスを感じてみてくださいね。
リトミックは、お花の種まきに似ています。今は将来素敵な花を咲かせるための準備段階です。こうやってリトミックで身に付くことが将来必ず役に立つ時がやってきます。素敵な花を咲かせるために、種をまいて水をやって、愛情をたっぷり注いで、ゆっくり見守っていきましょう。
筒井 奈津子 【音楽教室講師・リボンワークサロン講師】
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愛しい子どもとの時間。同じような毎日の繰り返しではもったいない!現在、音楽教室の講師として日々レッスンをしていますが、その中でもお家で簡単に真似して頂けそうな音楽遊びなどをご紹介していきたいと思います。いつもの遊びに少しプラスして、昨日とは違うお子様との時間、そして音楽のある生活を楽しんでください。