ある意味、ほとんどの絵本は「イメージと想像の絵本」と言えるかもしれません。でも、その中でも色や形や模様が主人公となって、子どもたちの感覚を刺激することで楽しむ絵本がたくさんあります。そういった絵本を特にここでは「イメージと想像の絵本」と呼ぶことにしましょう。日常生活とどこか結びつきながら、そこから子どもたちを豊かな想像の世界へと連れていってくれる絵本。今回はそんな絵本の中からベビーサインと関連づけて楽しめる絵本を選んでご紹介しましょう。
あおくんときいろちゃん
著:レオ・レオーニ 翻訳:藤田圭雄
至光社
青い丸が「あおくん」、きいろい丸が「きいろちゃん」。人でもなく動物でもなく、乗り物でもない2つの丸い色のお話。シンプルなのに、いきいきと動く2つの色は月齢の低いお子さんもしっかり見てくれる1冊です。この本が出来上がったいきさつ、皆さんご存知ですか? 諸説あるそうですが、ある日レオ・レオーニは、2人のお孫さんと電車に乗りました。小さな孫たちに少しでも乗り物の中でおとなしくしてもらうために、当時デザイナーの仕事をしていたレオ・レオーニはたまたま持ち合わせたLIFEという雑誌の校正紙をちぎって、その紙切れでお話を作ってお孫さんたちと電車の時間を楽しみました。後にそのお話を絵本にしたのがこちらの作品。デビューは49歳ですって! 月齢の低い間は【もっと】読む?と聞きながら、繰り返し読んである場面でベビーサインを使ってみましょう。2歳過ぎくらいから色のベビーサインを添えて読んであげても楽しいですよ。
【青】親指を曲げて残りの指を伸ばした片手を、手首を軸にしてクルクル回転する(アメリカ手話)
【黄色】親指と小指を伸ばして握った片手でアルファベットのYを表し、それを手首を軸にクルクル回転する(アメリカ手話)
(イラストがなくてすいません・・・)
わたしのワンピース
作:西巻茅子
こぐま社
西巻さん、今年は絵本作家として50周年なんですって! この絵本を描かれたのは1969年。今大人気のこの絵本も当時は人気が出るまで5-6年かかったそうです。というのは、当時の絵本は昔からある民話などに絵をつけるというのが主流。そんな時代に西巻さんは、従来の物語があって、それに絵を添えるという形ではなく、絵が変化することで文章に頼らずに伝わる絵本を出したくてこの作品を作られたそうです。当時、たまたま手にしたのが上の「あおくんときいろちゃん」。この絵本を見て、これでも良いんだ!と思えたそうです。うさぎさんの白いワンピースの模様が、ドンドン変化しているそのイラストは、大人でも夢のような世界に連れていってもらえるとってもワクワクする絵本です。「ラララン ロロロン」のところは娘が大好きでたくさん読み聞かせをした思い出の1冊です。ママが「きれいだね~」「可愛いね~」と思うところでベビーサインを添えながらお子さんに伝えてみてください。赤ちゃんは同じシーンで同じように感じてくれるでしょうか? 楽しみに繰り返し読んでみると良いですよ。
【可愛い】握った片手の甲をもう一方の手のひらでクルクルとなでる(日本手話)
【きれい】アメリカ手話 ↓
あかいふうせん
著:イエラ・マリ
ほるぷ出版
子どもがぷーーっと風船をふくらませたら、口から離れてお空に飛んでいきました。その風船がどんどん形を変えていくページ展開は、まるで動画を見ているようにスムーズで、大人も子どもも何度でも繰り返し見たくなる美しさがあります。白バックに黒い線画が描かれ、真っ赤な風船が強調されており、文字が一切ない絵本です。簡単なベビーサインとして、【リンゴ】や【お花】などを入れて楽しんでみると良いですね。
【リンゴ】 ↓
【お花】 ↓
赤ちゃんたちはまだ文字が読めませんね。だから、絵本を読んでくれるママの声を聴いて絵本の絵をしっかり見ながら楽しみます。今回紹介した絵本たちはきっとそんな赤ちゃんたちを素敵な想像の世界に連れていってくれる事でしょう。
吉中 みちる 【一般社団法人日本ベビーサイン協会代表理事】
記事テーマ
まだおしゃべりができない時期にベビーサインでコミュニケーションをして育った赤ちゃんたちは、絵本が大好きに育ちます。どうしてなの?絵本とベビーサインはどんな関係があるの?普通の絵本の読み聞かせとどう違うの?など等皆さんの疑問にお答えしながら、ベビーサインと絵本をお子さんのコミュニケーション力アップにつなげる方法をお伝えしていきます。