赤ちゃんたちと最初に楽しむ絵本として、前々回紹介した「ものの絵本」と同様にお勧めなのが、「生活絵本」と呼ばれている絵本たちです。日常の生活がわかりやすく、楽しく描かれています。お風呂、食事、着替え、お出かけなど日々の生活の中で赤ちゃんたちが体験することを、絵本の中で再現することができます。また、逆に絵本の中で興味を持った生活体験を、実際の生活の中で再現したりすることもできます。この相乗効果が生活絵本の素晴らしさだと思います。
さらに、絵本にも実際の生活にもベビーサインを組み込むことで、赤ちゃんの中で絵と生活がしっかりリンクされていきます。絵本が一層楽しくなり、日常生活もよりスムーズになります。ベビーサインはまさに絵本と実生活との架け橋とも言えますね。
沢山の生活絵本の中から0、1、2歳の赤ちゃんたちにお勧めの絵本を今日も紹介しましょう。
ぐりとぐら
文:中川李枝子 絵:大村百合子
福音館書店
この絵本を知らないで大きくなる子はいないかも?というくらい有名な絵本ですね。1963年に発刊されてからずっとずっと子どもたちに愛されてきました。「ぐりとぐら」の絵本を読むと、大人も子どももおいしいカステラが食べたくなります。そして普段の生活でカステラを食べることがあると、「ぐりとぐら」を思い出します。
そもそも「ぐりとぐら」って名前はどこからついたか知ってますか? それは作者の中川李枝子さんが主任保母時代にフランス語の絵本を元に紙芝居をしていらしたそうなんですが、その中に出てきたはやし歌が「Gri Grou Gra」で、子どもたちがとっても気に入ったことから絵本のタイトルになったそうです。そして、皆さんがよくご存知の「となりのトトロ」の主題歌「さんぽ」の歌詞は中川李枝子さんが作られたんですって! 知ってましたか?
食べる、はアメリカ手話の【食べる】(片手で食べ物を口元に運ぶ動作)で表現して、この絵本を楽しんでくださいね。
おふろでちゃぷちゃぷ
文:松谷みよ子 絵:岩崎ちひろ
童心社
かわいいあひるちゃんに
「どこいくの?」
って聞いたら
「いいとこ、いいとこ」
ってお返事が返ってきましたよ。さあ、どこにいくのかな? そう、みんなが毎日入るお風呂でした。
あひるちゃんが待っているお風呂に、着ているものをぬいで走っていく岩崎ちひろさんの描く赤ちゃんが本当にかわいらしい一冊です。アメリカ手話の【お風呂】(両手のこぶしで体をゴシゴシ洗うような動作)を見せながら読むことができます。
最後のページの「きゅーぴーさん」頭も可愛いですよ。是非ここも、ママが頭の上できゅっとキューピーさんの頭を作るジェスチャーを入れて読んであげてください。赤ちゃんが真似してやってくれるようになったら、周りのみんなはにっこり笑顔になりますね。あっ、ちなみにマヨネーズはこのキューピーさんが付いているので、日本手話の【マヨネーズ】はきゅっと頭のてっぺんをつまむ手の動きで表現するんですよ。
はけたよ はけたよ
文:神沢利子 絵:西巻茅子
偕成社
これまでに300冊以上の絵本と童話を出されている神沢利子さんの作品。なんと、わたしが小学生のころ大好きだった「ふらいぱんじいさん」の作者でもあります。そしてこの絵本の絵は娘が大好きだった「わたしのワンピース」の作家、西巻茅子さん。なんだか私にとってとても嬉しいコラボレーションです。
なかなか上手にパンツがはけないたつくん。何にもはかないでお外に飛び出したら、動物さんたちにしっぽがないね!って笑われちゃった。おうちに帰ってあることをしたら、あらあら不思議。上手にパンツもズボンもはけちゃった。拍手パチパチ、上手!ってジェスチャーを入れながら読んであげると良いですね。
きっとたつ君のパンツのはき方は、まねっこする赤ちゃんがたくさんいる事でしょう。なんでも自分でできた!が嬉しい時期に読んであげると楽しい一冊です。
おとうさん あそぼう
文:わたなべしげお 絵:おおともやすお
福音館書店
「スモールさん」や「おさるのジョージ」「エルマーのぼうけん」「ミス・ビアンカ」などたくさんのシリーズ作品の訳者としても有名なわたなべしげおさんが、おおともやすおさんと描いたくまの親子シリーズの中の一冊。どんな遊びをしている時にもとても満足そうなこぐまちゃんのお顔が何とも言えず幸せな気分にしてくれます。
なかなか普段遊ぶ時間のないパパですが、この絵本を一緒に読んで、たまには肩車や高い高い、おうまさんなど実際の生活でもパパだからこそできるちょっと荒っぽい遊びを体験させてあげてほしいですね。赤ちゃんからアメリカ手話の【もっと】(両手の指先をツンツンと触れ合わせる動作)でリクエストがきたら、是非、時間のある限り、体力のある限り(笑)、赤ちゃんと遊んであげてください。そして疲れちゃったら、絵本の最後と同じ。二人で仲良く並んでねんねしてくださいね。
でんしゃだ、でんしゃ! カンカンカン
文・絵 津田光郎
新日本出版社
でんしゃが大好き、踏み切りも大好きというお子さんだったら、お気に入りの1冊になること間違いなしの1冊です。通り過ぎるいろんな種類の電車や踏切で待たされてるダンプカーやミキサー車など、乗り物好きなお子さんはとても喜んで見てくれるでしょう。繰り返し出てくる「カンカンカン」という遮断機の音の書かれているところで、片手をゆっくり下すジェスチャーの【踏切】を見せてあげると、すぐに覚えて使えるようになりますよ。同作者による1990年初版の「カンカンカンでんしゃがくるよ」の続編という位置づけなのでしょうか? 同じような内容ですが、出てくる電車や乗り物が少しずつ違います。
吉中 みちる 【一般社団法人日本ベビーサイン協会代表理事】
記事テーマ
まだおしゃべりができない時期にベビーサインでコミュニケーションをして育った赤ちゃんたちは、絵本が大好きに育ちます。どうしてなの?絵本とベビーサインはどんな関係があるの?普通の絵本の読み聞かせとどう違うの?など等皆さんの疑問にお答えしながら、ベビーサインと絵本をお子さんのコミュニケーション力アップにつなげる方法をお伝えしていきます。