皆さん、絵本の歴史を語るうえで、ここは一番大切って言われている時期はいつだかご存知でしょうか? それは1930年前後・・・それまでの、お話に絵を描き添えるというスタイルから、絵そのものがストーリーを語る形、また、お話の展開がとてもダイナミックに展開するという形へと移行するそんな時代がやってきたのです。
代表的な作品を2冊ご紹介しましょう。
1冊目は
「100まんびきのねこ」 ワンダ・ガアグ作 福音館書店
ネコをたった1匹飼いたいおじいさんが、ネコを探して旅に出るというお話。旅の道中は山あり、谷あり。その長い道のりが見開きいっぱいに描かれており、迫力いっぱいに展開します。また、100万匹のネコがいる丘へたどり着いた時のごちゃっとしたたくさんのネコの絵やおじいさんの数の数え方が、何ともダイナミックでひきつけられます。
もう1冊は
「アンガスとあひる」マージョリー・フラック作 福音館書店
文字を読まなくても、絵を見ているだけでお話がわかってしまうほど躍動感のある犬のアンガスの様子が、とてもインパクトがある作品です。
その後、この流れを基盤として、皆さんもご存知の
「いたずらきかんしゃちゅうちゅう」バージニア・リー・バートン作 福音館書店
「ひとまねこざる」ハンス・アウクスト・レイ作 岩波書店
「もりのなか」マリー・ホール・エッツ作 福音館書店
などバラエティ豊かな作品が登場しました。
赤ちゃんたちは、文字が読めません。ですから、絵本の絵を大人よりもよ~く見て、言葉とその絵からお話を理解していきます。そのためには言葉と絵が素晴らしく融合されていなくてはなりません。そんな絵本の大事な要素ができあがったスタートが1930年前後のこういった作品たちだったんですね。
アメリカの児童心理学者たちによってベビーサインが提唱されたのは1990年台でしたが、その魅力は絵本の魅力と似ています。まだおしゃべりができない時期の赤ちゃんたちにはとても素晴らしい「見る」力があります。ママのベビーサインをしっかり見て、同時にママの声もしっかり聞いて、赤ちゃんたちはそのベビーサインにこめられた意味を理解していきます。
絵本もベビーサインもそれぞれに、赤ちゃんにはとても楽しいものです。ベビーサインを添えて絵本を読んであげることで、その楽しさはさらに深くなります。
このコラムでは、まだおしゃべりできない赤ちゃんとベビーサインを使って絵本を楽しむ方法と、おすすめの絵本を毎回紹介しています。
今回は夏の終わりにというテーマで2冊ご紹介します。
1冊目
はなびドーン
童心社
作:カズコ・G・ストーン
「くらーい よぞらに 〇〇〇 なーにかな」
の言葉の繰り返しに、花火があがるいろんな音や形や色が黒をバックにしたページに描かれている作品。この夏、初めて本物の花火を見た!という赤ちゃんはきっと、何日たっても夜空に咲いた大きな花火の事を覚えていますよ。夏はもう終わりですが、この絵本で夏のひと時を【花火】(日本手話:ギュッと握った手をかたほうずつ上げながらパッと開く)のベビーサインを使って思い出してほしいです。赤ちゃんが自分からこのベビーサインを使って、花火見たね、と伝えてくれることもありますよ。
2冊目
くだもの
福音館書店
作・平山和子
夏のくだものがたくさん出てくるこちらの絵本。この夏初めて、「スイカ」や「桃」「ブドウ」を食べた赤ちゃんたちもいるのではないでしょうか?
大きなまんまるのままのスイカも、食べやすく切り分けたスイカも絵本の中に描かれていて、どちらも同じ【スイカ】(日本手話:両手でスイカをもってパクパク食べるしぐさ)のベビーサインを使う事で、赤ちゃんの中でその言葉の概念が確立していきます。
どのくだもののページにも「さあ、どうぞ」。この言葉があることで、赤ちゃんたちは一気にこの絵本が大好きになるんですって! 「さあ、どうぞ」ってパクパク食べる真似をしながらたくさんおいしいくだものを味わってくださいね。
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今回読み聞かせ写真に協力してくれた協会認定講師は
埼玉県で活動をしているいけがみしょうこ先生
愛知県で活動をしている野本ひさえ先生
吉中 みちる 【一般社団法人日本ベビーサイン協会代表理事】
記事テーマ
まだおしゃべりができない時期にベビーサインでコミュニケーションをして育った赤ちゃんたちは、絵本が大好きに育ちます。どうしてなの?絵本とベビーサインはどんな関係があるの?普通の絵本の読み聞かせとどう違うの?など等皆さんの疑問にお答えしながら、ベビーサインと絵本をお子さんのコミュニケーション力アップにつなげる方法をお伝えしていきます。