2019年1月4日84歳でお亡くなりになられました。
今回のコラムは赤ちゃんたち向けの絵本もたくさん書かれたジョン・バーニンガムさんへの追悼の気持ちを込めて、彼の作品などをご紹介したいと思います。
彼の自叙伝から
彼の絵本作家としてのスタートは、1964年、彼にとって初めての絵本「ボルカ はねなしガチョウのぼうけん」がケイト・グリーナウェイ賞を受賞したところまで遡ります。
今回、彼が亡くなったことを知って、こんな本を手にしました。
わたしの絵本、わたしの人生
ジョン・バーニンガム
ほるぷ出版
彼の自叙伝ですね。巻頭の挨拶はあのモーリス・センダックが書いています。子どもたちに向けた本当の意味での子どもたちの絵本の時代の幕開けをセンダック氏はアメリカで「かいじゅうたちのいるところ」、バーニンガム氏はイギリスで「ボルカ はねなしガチョウのぼうけん」を1963年に同時に世に出すことで表現したという共通点があるんですよ。
日本にも何度かいらっしゃってて、EXPO’90 国際花と緑の博覧会では蒸気機関車「SL義経号」を入れた絵本「いっしょにきしゃにのせてって!」を描いていますし、EXPO’99南紀熊野体験博では和歌山県の熊野を舞台にして「地球というすてきな星」という環境絵本を描いています。最近だと2008年に原画展でご本人がいらっしゃってたそうです。知らなかったな・・・
あかちゃんがやってくる
作:ジョン・バーニンガム
絵:ヘレン・オクセンバリー
訳:谷川俊太郎
皆さん、有名な絵本作家の「ヘレン・オクセンバリー」さんがバーニンガムさんの奥さんだって知ってました? 自叙伝の中に「夫婦で同じ仕事だと大変でしょうとよく言われるが、われわれ夫婦はなんとかここまでやってきた。おそらく、わたしはヘレンの方が優れていると思い、逆にヘレンはわたしの方が優れていると思うからかもしれない」と書かれていて、うん!納得と思いましたね。我が家と重ねると失礼かもしれないですが、私も主人も同じように感じながら日々お互いを大切に尊重してるって気持ちが根底にあってなんか重なりました。
さて、この絵本とその1で紹介した「あかちゃん」はこれからお兄ちゃん、お姉ちゃんとなるお子さんがいらっしゃるご家庭で読んであげてほしい絵本です。お子さんたちは「あかちゃんがやってくる」というのを頭で理解しようと日々いろんな思いを巡らしているんだな~となんだかじんわりこちらの気持ちもあたたかくなる絵本です。この本は赤ちゃんが生まれてくるまで、上で紹介した「あかちゃん」は実際に赤ちゃんが生まれてからの心情を本当に素直に表しててどちらもお勧めです。
生まれてきた赤ちゃんには、是非、【お兄ちゃん】【お姉ちゃん】のオリジナルベビーサインを作って教えてあげてくださいね。憧れのお兄ちゃん、お姉ちゃんのベビーサイン、本人たちが教えてくれるとあっという間に覚えてくれますよ。ちなみに我が家は下の娘に【お兄ちゃん】のサインはほっぺツンツンするオリジナルを教えました。
ガンピーさんのふなあそび
作:ジョン・バーニンガム
訳:みつよしなつや
ほるぷ出版
ジョン・バーニンガムと言えばこの絵本かな?って私は思うのですが、我が家の子どもたちはサラッと通り過ぎてしまった絵本です。絵本講座でこの絵本の解説をしてくださった飫肥糺先生は
「大人が子どもと約束をする場合は自分とも約束をしている」という事を忘れてはいけない。とおっしゃいました。この絵本では次々と船に乗ってくる子どもや動物たちにガンピーさんはやさしく「騒いだり、飛んだり跳ねたりしなかったらいいよ!」とそれぞれに伝えます。でも、みんな我を忘れて騒ぎ出して、船がひっくり返るんですね。それでも、ガンピーさんは「ほら、ごらん!みんなが騒ぐからひっくり返ったじゃない!」とは言わないんですよね。これ、大人はなかなか普段の育児の中でできないです(苦笑) ついつい「だから言ったでしょ!」って言っちゃいませんか? 子どもたちは「あ~やっちゃった・・・・・」って大人たちに言われる前にちゃんと気が付いているから、改めて言わなくてもいいんだよって。なかなかできないけど、ガンピーさん、すごいわ~って思いながら改めて読み直した1冊です。
バーニンガムさんは自叙伝で「年々このガンピーさんに僕は似てきた」って書いてましたが、確かに風貌もどことなく似てますね。
今回、改めて図書館で彼の作品を読み漁りました。
我が家はどちらかと言うと奥さんのヘレン・オクセンバリーさんの絵本のコレクションが多くて、今まであまり思い出がなかったんですが、今回改めて読んでみると、シンプルな中に温かな思いがしっかり流れていて、どの作品も子どもたちとシェアできなかったことをとても残念に思いました。
ですから、このコラムを読んでいらっしゃる方たちはこれをきっかけに、バーニンガムさんの絵本、どれでも良いです、手に取ってみてくださいね。「コートニー」や「ずどんといっぱつ すていぬシンプ だいかつやく」は犬好きだったらキュンってなる絵本です。「いつもちこくのおとこのこ」の絵本の見返しに描かれている直筆の反省文はお嬢さんに頼んで描いてもらったとか。途中からliesのスペルがliseになったけど、わざと間違ったまま載せたとか。「エドワルド」はあ~大人ってこういうひどい事、子どもにやっちゃうよな~って反省できる1冊。
まだまだ書きたらないですが、とにかく読んでみてくださいね!
吉中 みちる 【一般社団法人日本ベビーサイン協会代表理事】
記事テーマ
まだおしゃべりができない時期にベビーサインでコミュニケーションをして育った赤ちゃんたちは、絵本が大好きに育ちます。どうしてなの?絵本とベビーサインはどんな関係があるの?普通の絵本の読み聞かせとどう違うの?など等皆さんの疑問にお答えしながら、ベビーサインと絵本をお子さんのコミュニケーション力アップにつなげる方法をお伝えしていきます。