若者は読書をしない=若者の読書離れとよく言われるけど、本当にそうなのかな?と調べてみたら、全国学校図書館協議会の発表によると、小学4年生から6年生の一ヵ月の平均読書数はなんと11.3冊! この数字を見て、えっ!意外と多いのねって思ったのは私だけではないはず。この数字の背景には2000年前後から始まった「朝の読書活動」があるそうなんだけど、そこで売り上げを伸ばしてきた本が「5分シリーズ」や「ひと駅ストーリー」など短時間で読める本。全員がこういったシリーズを読んでいるわけではないと思うけど、えーーーー、そういう本で冊数を稼いでいるの?と思ったのも私だけではないですよね・・・・。全く読まないよりは良いのだろうけど、これは「好き」からくる読書とは違うんじゃないかしら? だから、その先の大学生とかになったときに、読書をする人がガクンと減るんですよね・・・。
本大好きな娘は、正直こういうシリーズの本、1冊も読んだことないです。勝手に読みたい本は毎週図書館に通って探してくるし、読み出したら止まらない、暇さえあれば本読んでるって感じでエンドレス。こうなってはじめて、ずーーっと続く「本好き」になると思うのです。では、そのために赤ちゃんの頃にどうしたら良いのかしら?が今回の2回目。それは
「読んでって言われたら、絶対読む!」
です。ひょえーーーーーそれ、ハードル高すぎって思いました???
でもね、後で振り返ると、これ、大事だったな~って実感しています。「絵本だけは、娘が読んでって持ってきたときにはとにかく、座って読む」っていう課題を自分に課していたからこそ、絵本好きから大の本好きに育ったと思えるんですよね。絵本を差し出したら、100%お母さんの注意をこっちに向けられる! 娘にとってこんな素敵なツールはなかったんだろうと思います。泣いたりぐずったり、騒いだりしてでも、お母さんの気を引きたいのが子どもっていう生き物です。それがたった1冊の絵本を差し出すだけで願いが叶う。こんなわかりやすいことはない!
赤ちゃんのおむつを替える、おっぱいをあげるってことと同じくらいの位置づけにしてもらえると、そんなに気負わずできるかも? はいはい、絵本ね~はいはい、おっぱいね~って同じくらいの感覚?! できそうじゃないですか? あっ、どうしてもどうしても時間がないって時には、1冊だけ! できたらたった1冊だけでも良いから読んでほしい。そして赤ちゃんにちゃんとわかるように伝えてください。「ママ、今日は○○を△までに終わらせなくちゃいけないから、1冊しか読めないの。ごめんね。」って。そしたらきっと赤ちゃんもわかってくれるはず。話せなくても、心を込めてお話ししたら伝わりますよ。そして、折角読むんだったら笑顔でママも楽しく読んであげてくださいね。そうじゃないと効果半減ですよ。
ということで、今回のおすすめ絵本は、赤ちゃんにずーーっと大好きになれるお友だちを紹介できる絵本。ぐりとぐらやしろくまちゃん、ネズミちゃん、うさこちゃんなど主人公と仲良くなれると、そのシリーズから絵本好きにつながりますよ。たくさんあるんですが、今日はその中から、2シリーズを紹介しましょう。
おすすめ絵本
こぐまちゃんシリーズ
作・わかやまけん
こぐま社
1970年から続くロングセラー。作:わかやまけんとなっていますが、本当は、こぐま社の創業者である佐藤英和さんと、小学校教諭で歌人だった森比左志さんと劇作家だった和田義臣さんの4人が関わって作ったシリーズなんですって。赤ちゃんとの普段の生活がそのまま絵本の中で再現されているようなお話の流れと、それに添えられているリズミカルな言葉がきっと人気の秘密なんでしょうね。「しろくまちゃんのホットケーキ」は、わかやまさん自身のお子さんとのエピソードがベースになっているそうです。一昨年、絵本の勉強をしていたときに、元こぐま社の副社長さんからお話をお伺いする機会がありました。そのときに、しろくまちゃんが冷蔵庫からたまごを取り出して、落として割ってしまうシーンを多くの子どもたちが真似をして困るんです!というご感想をよくいただきますって苦笑しながらおっしゃってました。子どもたちは、絵本の世界で体験したことを実体験でもやってみたい。みんなきっとそう思いながらお話を聞いているんでしょうね。
こぐまちゃんシリーズは15冊で完結! 「日本の子どもがはじめて出会う絵本」としておはようからおやすみまでを描ききった!と創業者の佐藤さんはインタビューで断言していらっしゃいました。15冊の中で何冊かお気に入りが見つかりますように!
しろくまちゃんとこぐまちゃん、何かオリジナルのベビーサインがあると良いですね~我が家は残念ながらこのシリーズ、オンタイムではまらなかったので、どなたかアイディア募集しまーす(笑)
普段の生活で使える【クマ】のサインは、アメリカ手話を使うと良いですね。
ぐりとぐらシリーズ
作:なかがわえりこ
絵:やまわきゆりこ
福音館書店
こちらも幼なじみの2匹シリーズ。なんと第一作は1963年刊行。私の生まれる前!!! 数年前の累計発行部数は472万部。ほんと、びっくりのロングセラーですよね。赤ちゃん絵本よりも少しお話が長めなので、短いお話で慣れてから取り入れると良いかもしれないです。お姉さんの中川さんがお話を考えて、妹の山脇さんが絵を添えるというゴールデンコンビ。野ねずみの日常とちょっとした冒険とお友だちへの優しさがつまった、ほっこりするお話です。ところで、皆さん、どちらがぐりでどちらがぐらか知ってますか? 絵本の表紙をよく見るとすぐにわかりますよ。こういう所が絵本の楽しさですね~ぐりとぐらの名前の由来は以前アップした「絵本と生活をつないでくれるベビーサイン」のコラムに書いているのでチェックしてみてくださいね。
ぐりとぐらも何かオリジナルの可愛いベビーサインがほしいところですが、日常生活では、【ネズミ】のサインを覚えると良いですよ。
絵本1冊読むのに、短いお話だったら多分3分もかからないですよね。その短い時間の毎日の積み重ね、是非是非、めんどくさい・・・・って思わず楽しみにして続けてください。ちょっと怒りすぎたな~あんな言い方したらダメだったな・・・もうちょっと優しくできたよな・・・ってことも、絵本1冊読むだけでちょっと帳消しにできるかも? 絵本を読んで聞かせてあげられる期間なんて、子どもが大きくなってしまったら「短かったな」(涙)というのが私の感想です・・・。
吉中 みちる 【一般社団法人日本ベビーサイン協会代表理事】
記事テーマ
まだおしゃべりができない時期にベビーサインでコミュニケーションをして育った赤ちゃんたちは、絵本が大好きに育ちます。どうしてなの?絵本とベビーサインはどんな関係があるの?普通の絵本の読み聞かせとどう違うの?など等皆さんの疑問にお答えしながら、ベビーサインと絵本をお子さんのコミュニケーション力アップにつなげる方法をお伝えしていきます。