今回ご紹介する本は、為末大さんと、中原淳さん共著の『仕事人生のリセットボタン-転機のレッスン』(ちくま新書)です。
ビジネスパーソン向けのタイトルのようですが、読み進めていくと女性にこそ読んで頂きたいなという印象を受けました。
それはなぜかというと、女性にはたくさんの転機が訪れます。
ハッピー・ノートの読者のみなさんは、女性やママが中心だと思います。女性はたくさんの転機や人生の岐路に立たされ、生き方を選択する機会を余儀なくされます。
例えば結婚。
私は独身の頃に転職をしましたが、その職場で定年まで働き続けるのだろうと漠然と考えていました。安定している企業であり、働きやすく、仕事のやりがいも感じていました。
しかし、結婚を機に住む場所が大きく変わったこともあり、働き続けることが難しくなり、結婚退職をしました。
結婚後は、また働き始めますが、家庭との両立のため、パートタイムという働き方を選んで数年働きました。その職場も出産を機に辞めることになりました。
私のように、女性は結婚や出産というタイミングが大きな転機になることもあるのではないでしょうか。生涯同じ職場で働けるような女性もいますが、私の場合は難しかったです。
また、出産後も私の場合は、働き方について向き合う機会が多くなりました。私の息子は発達障害や持病がある関係で、常に誰かのサポートが必要な状況になりました。幼い頃は、保育園や理解のある職場で働いていたのですが、小学校就学後にはフルタイムで働き続けることの現実的な難しさに直面することになりました。
そして、また辞めざるを得ない状況に陥ったとき、私は組織に属さない働き方、つまりフリーランスという選択肢を選ばざるを得なくなりました。
企業や組織などに属しながら納得できる働き方は今の私には状況が合いません。
それを望んだとしても、難しいのです。
それなら、どのように生きていくのが自分らしい人生になるのか?
ケアの必要な家族のことが第一。
それでも、誰かの役に立てる生き方も自分の生業として選んでいきたい。
私は常にそのようなことを模索し、行動を起こしながら考えてきたように思います。
タイトルにもある「リセットボタン」を私も4回押しました。独身の頃の転職、結婚退職、出産育児のための退職、育児サポートのための退職です。
本著の「はじめに」に書かれている中原さんの言葉を引用します。
“リセットボタンとは「現在の会社を辞めること」とイコールではありません。それは「現在の会社で働くことの意味や意義をいったん立ち止まって考え直すこと」です。リセットボタンは、必ずしもネガティブな思いを個人にもたらすものでもありません。それは「将来の可能性」を感じることでもあります。
私たちは「立体的に交差するエスカレータ」のなかで、時に、踊り場にでて休み、時に方向転換して生きることが求められています。その際には、仕事人生というゲームをいったん「RE-SET」することになるのです。自分の来し方をいったん振り返り、今を見つめ、将来を構築する。
長期化する仕事人生の時代には、「リセットボタン」とうまくつきあい、踊り場で休み、よき方向に転換していくことが求められるようになります。“(本文引用)
女性は望むと望まざるにかかわらず、人生において柔軟な適応力を求められます。女性こそ、自分の人生をライフステージによって自分らしくデザインできる力を持っていると私自身は考えます。
中原淳さんは、人材開発の一人者です。私も普段、睡眠の仕事の講師をしている関係で中原さんの著書を読んでいます。
そして、対談相手がオリンピックに3度も出場した経験をお持ちの、為末大さんなのです。
とても魅力的なお二人。
それで思わず本著を手に取ってみました。
為末大さんのアスリート人生について引き込まれていきました。子ども時代の陸上に目覚めたきっかけや、浮き沈みを経験しながら紆余曲折する長い競技人生、そして引退後の会社経営に至るまでの人生を振り返っていく様は、とても興味深いものでした。
第一線のアスリート人生と引退後の人生。
女性の結婚、出産、育児、仕事などのライフデザイン。
それらは容易に比較できるものではありませんが、どのような人生においても光があれば影もあります。
失敗を乗り越え、成功する。また、逆も真なりなのです。共感できる部分が多いにありました。
人はみな、人生の「リセットボタン」を押すことを覚悟したとき、再び人生をセッティングする必要性に駆られます。方向転換や踊り場といえる時間を経験するからこそ、次の人生に生かせていける力を持てる。
それを「自分年表」として、中原さんの導きで為末さんの人生を振り返っていき、記入していきます。
リセットボタンはどうして押したのか、そしてそのリセットの気づきなども合わせて書いていくと、新しい人生の岐路にどのように再び向かっていったのか、という自分なりの経験則のようなものが浮き彫りになっていきます。
為末さんのように、輝かしい栄光に注目が集まり、常に次の結果を求められる重圧に耐えながら競技を続けるアスリートの生き方。
女性としてさまざまな役割を求められ、見えないプレッシャーにもがく生き方。
どのような人生を選んでも、常に悩むのが人の道だと思うのです。
困難な人生であっても、置かれた場所でどのように生ききるのかという舵は自分が握っているのだと思えば、人生は豊かで輝きに満ちたものになるのではと思えました。
2017年も残すところわずかとなりました。
来年はどのように生きていきたいですか?
「自分年表」を書いて、自分の生き方を振り返ってみると面白いかもしれません。
新しい人生を切り開く力はすでに自分に内包されていて、あとは踏み切る勇気やきっかけがあれば、驚くほど軽やかに跳べてしまうものかもしれませんね。
私も、女性として、ママとして、自分らしくこれからも輝いていけたらと思います。
「自分年表」はお知らせ欄に記載の、中原淳さんのサイトをご参考にしてみてください。
【今回のキラリ本】
為末大/中原淳著
『仕事人生のリセットボタン-転機のレッスン』(ちくま新書)
「自分年表」参考
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鶴田 名緒子 【+Sleep(プラススリープ)代表 睡眠健康指導士・睡眠改善シニアインストラクター】
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読書の楽しみはページを開いていくだけでワクワクするような世界に飛び込めるところにあります。育児の合間に手に取りたくなる、読書が苦手な人にも興味を持ってもらえるような本の読み方や、いつどこで読書をするのかというシチュエーション、おすすめの本の感想など、様々な視点から読書体験をご紹介します。1冊の本から人生を味わい深く輝かせていきましょう。