今回から「アクティブ読書術」という連載を始めることになりました。
普段、私は母として子育てをしながら、仕事は講師や執筆をしています。
忙しい中にあっても、困難な状況で八方塞がりに感じるときも、本を読むことで人生がキラリと輝く瞬間がたくさん訪れました。
みなさまにもそんな輝ける瞬間をおすそ分けしたいと思っています。
この連載では、私が読んで面白かった本の紹介はもちろんのこと、本を読むときのシチュエーションや、読書のときに合わせたい飲み物やスィーツなど、読書を本を読むというだけではなく、「体験」としてご紹介できればと思っています。
また、私は本を読むとその本から得られた学びを、1つでもいいので自分の生き方の参考にして行動を変えるということをしています。
ですから、タイトルは「アクティブ読書術」。
本を手に取りその世界観にどっぷりつかるということは、ゆっくりと自分を見つめ直すことにもなります。
読書は、学びだけでなく、時には癒しにも、慰めにも、自己実現にも、楽しみにも変わります。
読書を今までしたことがないという方や、読書をする時間がないという方にも、興味を持ってもらえるような内容にしたいと思っています。
どうぞ、これからよろしくお願いいたします。
私は物心がつく頃から、絵本をたくさん読んできました。
小学校に入ってからは、それまで読んでいた絵本とは違って、挿絵の分量はぐっと減り、文章が増えるようになります。
絵本を読んでいるときは、絵が手がかりとなって頭の中で空想を膨らませてきましたが、小学校に上がって児童向けの本をとると、文字ばかりで戸惑いました。
そこで、私は母に本をどのように読めばいいかわからなくなったと、相談しました。
すると母は「文章に書かれていることを、映像のように思い浮かべてごらんなさい。そうすると、挿絵がなくてもイメージで本を読めるようになって面白いよ。」とアドバイスしてくれました。
物語なら、その状況の描写がありますよね。
例えば、「空が高く青く広がり、風が吹きわたっています。」という一文があったときに、それを映像として心に思い浮かべてみます。
そうすると、自分がその風景の中にワープするように感じました。
青い空を見上げながら、その壮大さに心を奪われながら、ぼーっとしているイメージが広がります。
空が高いって何だろう?大きいとは違うのかな?
一方で、吹き渡る風を肌から感じています。それは、顔に冷たく感じる冬の風なのか、春のやさしい風なのか。
そうすると、季節はいつなんだろう?という疑問が湧いてきます。
読み進めていくと、「秋なんだな。」ということがわかります。
秋の空は高いんだ、ということを知ります。
季節によって空の色はどうなんだろう?ということも考えます。
実際に、秋の空を見上げたときに、「秋は青空が透き通っているような感じがするなぁ。」と感情の引き出しが増えていきます。
読書体験とつながって、自分の生きた学びになっていく。
リアルの世界で、あの本の一文のように経験とリンクしていく楽しさを知ります。
それからは挿絵の手がかりがなくても、だんだんと文字の多い本を読めるようになりました。
このような読書体験の連続が、文字の羅列を追うだけのものでなくなり、ページをめくっていく楽しみに変わっていきました。
お子さまにたくさん絵本を読んでいるママのみなさんも、このように読書習慣を身につけさせてあげられれば、本が一生の友になってくれると思います。
今回「キラリ本」としてご紹介する1冊は、文筆家でイラストレーターでもある内澤旬子さんのエッセイです。
私はジャンルを問わずに本を読むのですが、最近興味があることがの1つが「移住」です。
もちろん、現実的に今すぐの移住は簡単なことではありません。
私も子育てをしているママですし、夫の仕事もあります。
実現不可能なことだからこそ、疑似体験したい。
それを叶えてくれるのが読書です。
内澤さんのエッセイの魅力は、感情のうねりに飲み込まれずに状況を見つめる冴えた視点にあります。
『身体のいいなり』で乳がんの闘病生活や思いを冷静に淡々と語った文章が秀逸でハマりました。
あまり、感情的な文章は私は苦手なので、さっぱりした感じが私に合うようです。
乳がんの闘病や離婚などを経て、小豆島の離島への移住を決意されるのですが、移住の前の物件選びは一筋縄ではいかずに興味深かったです。
東京から小豆島に飛行機や船を交通に使うのですが、飛行機は料金の高さに、船は港からの案内の複雑さに悩まされたり、振り回されたり。
離島への移動ってたまの旅行ならいいけど、住むとなったら大変でぞっとしないでもありません。
まるで、内澤さんと一緒に移住するような気持ちになりました。
東京の家に置いてあるたくさんの蔵書や家財道具一式をどのように離島に運ぶのかというのも難航します。引き受けてくれる離島専門の業者さんを見つけると、コンテナ積載トラックに積んで陸送して、フェリーでやっと運び込むという苦労もありました。
‘いまやおもしろいことは、都市も地方も関係なく起きている’
という一文があるのですが、アーティストさんや、パソコンを使ってできる仕事をしている人、作家さんなど、フリーで働く人にとっては、移住という選択肢も生き方としてアリなんですよね。
私も、普段は睡眠の講座の講師をしたり、睡眠のカウンセリングをしたり、こうして文章を書く仕事もしていますが、どこに住んでいてもできます。
そういう訳で、いつか住んだことのない土地で暮らしてみたいという憧れがあるのです。
内澤さんも、やっとのことで引っ越しを果たします。
‘部屋の窓からスカッと素敵な青い海を見渡すことができる。山も近い。日当たりも風通しも良い。静か。しかも十分広くて、本を床に置いても圧迫感がない。
自分がこんな贅沢な家(とはいえ家賃は月四万円)に住めるとは、ほんの数年前までも思いもしなかった。小豆島に住もうと決めて、家が見つかるまでは大変であったが、いざ住んでみるとここに住むことがあらかじめ決まっていたのではないかと思うほど、しっくりと来る。‘(本文より引用)
引っ越しをした家の周りも雑草がすぐに生えてしまうので、ヤギを飼ってみたりするんですが思ったより雑草を食べてはくれなくて。
やることはたくさんあるのに、なぜかヤギの世話に追われてしまうのですが、それもまた何だか微笑ましくて面白いんです。
家のメンテナンスはもちろん、食材の確保、隣近所とのおつきあいの仕方などがつづられていきます。
コミュニティや人とのつながりの大切さという点では、優しいけれどゆるい距離感、一方でとても心強くて温かくて、自分の存在をゆるしてくれる懐の深さが文面から読み取れました。
それは、私が住んでいる地域、このコワーキングスペースで感じることでもあって、共通した思いがふつふつと湧きました。
そして、一方で私がこの本を通じて考えていたのは、「時間の有限性」です。
人生の残り時間と言い換えてもいいのかもしれません。
1分、1秒という滴のように、こぼれ落ちる時間が突然リアルに感じられた瞬間でした。
なぜ私が移住に漠然とした憧れを持ったのかという理由を、深い心の奥に聞いてみました。
結婚する前は静岡の田舎で生活してきたので、地方の素晴らしさやそうでないところも、本を読まなくても実は体験的に知っていて、都市のこともまた然り。
そして、どこであろうと住み続ければ、いずれは飽きがくる。なぜ?
よくよく考えてみると、「移住」云々よりも、自分の時間の使い方に全然納得していない部分があったんです。
毎日家事や育児に追われているような錯覚に陥ってしまう。
一方でなんとなく日中に記憶なく過ぎ去ってしまうだらけた時間もありました。
仕事としては、講演会の講師はもちろん、講演をどのようなテーマで組み立てていくのかとか、レジュメの準備もあります。記事を書いているときは締切りもあります。
すべて、自分がコントロールしていかないといけないのになんか苦手で、いつも慌ててこなすから心も体も疲労困憊。
でも、本を読んでみて、わかったんです。
どんな雑事に時間をとられ、どんな仕事、どんなことに人生の意味を置くのか本気になって考えてみないことには、いつまでたっても現状維持のまま。
自分はいつまでたっても変わらないのではと思いました。
今までも時間管理術はやってきたのですが、例えば、家事は朝7時から9時までという風に、非常にざっくりとしていました。
たるむ時間がどうしてもできる。
そこで、毎朝しなければいけない家事を細かく分類し、時間も細かく区切ってみました。
昨晩作ったものなのを今朝、試しにやってみました。
朝10時にやっと家事が終わるなんてこともあったのに、8時に終わりました。
ここですでに2時間の時間を捻出することができました。びっくりです。
それでは今まで何をしていたかというと、家事の合間にスマホチェックしてみたり、読みかけの本を読んだり、なんとなくテレビをつけてしまって気を取られていたりしたことがわかりました。
細かく時間を区切って、嫌いな家事をどんどんやっつける。
「次は、お風呂掃除か!何分まで!次は部屋の掃除!」というように、ゲームのようにやっていく。
そこに嫌だな、という感情が介在する隙すら与えません。
私は朝、NHKの「テレビ体操」をやろうと思って毎日録画していたのですが、なぜかその10分すら時間をとれなかったのです。
つまり、「何となくやろう」は一生やらない、できないということなんです。
そこで、自分の時間割に「テレビ体操」もルーティンとして入れてしまいました。
8時すぎにはすっきり体操も終わり。中年にとっては、息が切れます。
毎日習慣化したら、気持ちいいだろうなと思って楽しみです。
午前中は家で仕事しても、韓国ドラマが観たくてたまらなくなるし、家事をやりたくなってしまったり、眠くなってしまう。
それで、2月からコワーキングスペースで仕事をすることにしました。
実は「家でもできる仕事なのに重いパソコンを持ってわざわざ行くのは正直めんどくさい。」と思っていた主婦兼フリーランスでありました。
人目も適度にあるのでキビキビと仕事がはかどり、締切仕事が1つずつトントンと終わっていく快感はクセになりそうです。
今回の「アクティブ読書」は、「移住」を妄想することから始まりました。
結果として自分の奥深い感情に向き合えて、その問題への答えが出せ、行動に移せたので大成功だと思います。
自由に使える時間が増えたので、やりたいことに羽ばたける可能性が生まれました。
こんな感じで、これからも読書から「ワタシらしく輝く!」ことを、自分なりにレポートさせていただきたいと思っています。
今後もゆるりとお付き合いいただけると嬉しいです。
【今回のキラリ本】
【撮影協力】
コワーキングスペース コノマチカフェ
http://www.konomachi-cafe.com/
【筆者の活動紹介】
+Sleep(プラススリープ)代表
睡眠改善シニアインストラクター・睡眠健康指導士
鶴田名緒子
「ママのための睡眠講座」「女性のための睡眠講座」「中学生のための睡眠講座」「シニアのための睡眠講座」、その他一般向けに、幅広い世代へ向けた睡眠講座や講演、研修を育児サークル、教育機関、行政機関等で開催しています。
睡眠記事の執筆や監修なども行っていますのでご相談ください。
☆活動予定表☆
http://ameblo.jp/foryoursleep/entry-12177926726.html
☆企業研修や、産院や産婦人科での妊婦さんやママの睡眠生活指導、育児や介護支援者様向けにも、睡眠についてご指導いたします! お気軽にご相談ください。☆
・ホームページ
・ブログ
「+Sleep(プラススリープ)~ねむりをプラス、輝くあした~」
http://ameblo.jp/foryoursleep/
・Facebookページ
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鶴田 名緒子 【+Sleep(プラススリープ)代表 睡眠健康指導士・睡眠改善シニアインストラクター】
記事テーマ
読書の楽しみはページを開いていくだけでワクワクするような世界に飛び込めるところにあります。育児の合間に手に取りたくなる、読書が苦手な人にも興味を持ってもらえるような本の読み方や、いつどこで読書をするのかというシチュエーション、おすすめの本の感想など、様々な視点から読書体験をご紹介します。1冊の本から人生を味わい深く輝かせていきましょう。