心理療法で扱うインナーチャイルドワークとは
「小さい頃の未完了の気持ちを終わらせること」です。
未完了というのは、いまだ終わっていない気持ちや疑問のことで、
人の脳は、終わっていないことは答えが見つかるまで検索し続けるそうです。
パソコンで例えるなら、終わらせていないソフトがバックサイドでずっと作動しているようなもの、
脳の私たちの意識に上がらない無意識の中で、すっと作動し続けているので、
頭の中がクリアになっていない感覚だったり、心に何か雲がかかったような状態です。
その未完了の気持ちを終わらせることで、心や頭がスッキリしたり、腑に落ちる感覚になります。
大人でも1日に10回前後は、子どもと同じθ波~α波が出ていると言われています。
(音楽や読書、映画を観ているとき、手慣れた作業をしているとき等)
その体験の記憶はパソコンの基礎データのように蓄積されて、
暗号化、パターン化され、同じような場面で再現できるようになります。
(服を着る、食事をする、トイレトレーニング等々)
この基礎的な日常生活一連のパターンは大体、小学校の低学年くらいに出来上がります。
その頃から徐々に、自分で状況に応じて判断ができるようになり、
(それは子どもによって成長の個人差があります)
β波が出るようになっていきます。
そうすると、段々と過去の記憶が整理されてきて、
その記憶データは無意識化されていきます。
(意識しなくてもトイレや服を着る、片付けが無意識にできるようになること)
3~5歳位までは胎児期の記憶を話す子どもの割合が高く、6歳以上になるとその割合が低くなってくるという一部のデータがありますが、この時期と関連しているかもしれません。
「三つ子の魂百まで」と昔から例えられるように、幼児期までの環境の影響力が大きいことは多くの方も感じられているとおりです。
この小学生位までに出来上がる無意識化されたデータは、思い出せば思い出せることから、思い出そうとしても思い出せないものまですべて記憶されています。
無意識化されたデータの中に、
現在に関連づけられる
「理由や原因がわからないけれとうまくいかないこと、できないこと、嫌なこと」
の体験データが隠れています。
「なんとなく」とか、「性格だから」などだと思っていることだったり、
小さい時にあった人間関係や状況に似た状態の時に本能的に無意識に反応してしまうことがあります。
それは、ネガティブなこと,ポジティブなこと両方あります。
【ポジティブな影響の例】 自己肯定感
・ご家族がいつも仲良く笑顔だった。「家庭は安心だ。」
・失敗しても、大人は見守ってくれた。「失敗しても大丈夫。」
・満足するまでやりたいことができた。「納得するまでやり切った」
【ネガティブな影響の例】 自己否定感
・小さい頃に泣きたかったのに「男の子は泣いてはいけません」と厳しく叱られた。
➡親になったときに、子どもが泣く声が癇にさわる、生理的に嫌悪感を感じてしまう。
それは、子どもの泣き声という聴覚刺激が、無意識下にある小さい頃の「泣きたい自分」記憶を刺激しているのかもしれません。
・小さい頃におねしょをしたらひどく叱られた。
➡親になったときにこどものおねしょに対して必要以上にすごく怒ってしまったり、ひどく不安に感じるのかもしれません。
・兄弟と比べられて、「できないことを強く指摘されて自分が否定された気持ちになった。」
➡自分自身も子どもに対して人と比べてしまう、いつも自信がない。
【インナーチャイルド・イメージワーク】
1、何歳くらいの記憶なのか(はっきりしなくてイメージでいい)
インナーチャイルドがどんな表情で何を言いたいのか(我慢しているのか)
を想像する。
想像することは本当でなくてもかまいません。
「きっとこうだろうな」程度で構いません。
2、感じられたら、その気持ちに同意、共感してあげる。
小さい自分の気持ちは本当にシンプルです。
「ただ、一緒にいてほしかった」
「話を聴いてほしかった」
「遊んでほしかった」
3、「そうだったんだね。本当はそうしたかったんだね」
と心の中で言ってあげる。
4、イメージの中の子どもがどんな表情をしているのかを想像する。
笑顔になるまで、時間をかけて、何日か続けてもよい。
5、できることなら、自分のインナーチャイルドにしてあげる気持ちで、
ご自分のお子さんにそれをしてあげる。
「ただ、一緒にいてほしかった」
➡ できる範囲で一緒にいる時間を増やす
「話を聴いてほしかった」
➡ きちんと子どもの話を聴いてあげるようにする
「遊んでほしかった」
➡ 子どもの好きな遊びを満足するまで遊んであげる
それらを続けていくうちに以前とは違った感覚や気持ちが楽になったり、親子関係がよくなったり、周りの人から「最近変わったね」と言われたりすることもあります。
【まとめ】
インナーチャイルドとは、自分の小さい頃の気持ちを現した子どもイメージです。
ちょっと信じられないかもしれませんが、心にあるイメージを変えることは心理療法で多く行われていることです。
このワークをすることで、間接的に人間関係がよくなったり、人とのコミュニケーションが楽になったり、自分に自信がついたりと好循環が生まれます。
様々なコミュニケーションの根底にあるのが親子関係なのです。
脳波が心地よいα波の時にイメージを変えやすいので、温かい家族映画を観たり音楽を聞いたりすることも効果的です。
子育ての忙しい時間の中で、そのような時間をとるのは難しいかもしれませんが、
ストレスを解消することがどれだけお子さんへ良い影響を与えられるのかをご家族が理解され、
ご自身の記憶を内観することをお勧めします。
ママやパパの笑顔がお子さんの心の栄養ですからね。
おじいちゃんやおばあちゃん、様々なサポートも利用してみてください。
藤原 万梨子 【親子コミュニケーションカウンセラー】
記事テーマ
『毎日忙しい、大変だけど、楽しい!』のはずが、本当は子育てが辛いという方は、もしかしたらご自分の内側のインナーチャイルド(小さい頃の自分)があなたに何かを伝えているのかも?「子育ては自分育て」お子さんがあなたのインナーチャイルドの鏡となり、本当のあなたの心の声に気づかせてくれるのです。悩みはあなたがより豊かに輝く為の気づきの入口です。