「片付け」という言葉から、皆さんはどんな想像をされますか?
「物が出ていない、きれいな部屋」「インテリアの雑誌に載っている写真のお部屋」
そんな静止画を思い浮かべるのではないでしょうか。
実際の暮らしでは、モノは使う時に収納場所から部屋の中に出てきますし、使い終わったら使った人が、元に戻して片付きます。
素敵なインテリアのモデルルームのようなお部屋に住んでいても、モノのしまい方がうまくなければ、すぐに散らかってしまいます。
どんなにきれいなお部屋でも、人とモノは、動いているのです。
「片付け」とは、この人とモノが動きやすい仕組みを作ること。
「片付けが苦手」という方は、この仕組みが作れていないので、「使い終わったらもとに戻す」という動作ができなくなっているのだと考えられます。
片付けやすい仕組みが作れれば、毎日の暮らしは楽になる。大切なのは、自分でこの仕組みを作る力、つまりは「片付け力」を身に付けることなのです。
片付いていない部屋に暮らしていると、たくさんの無駄がうまれていることに、気が付いていますか?
子どもの片付けで考えてみましょう。
最も大きな無駄は、「物がすぐに見つからない」という無駄です。
必要なものがすぐに見つからないから、探すのに時間を無駄にしています。
お子さんが宿題やお便りのプリントを探すことはないでしょうか。
探しても見つからない場合は、「失くしもの」となってしまいます。新たに購入することになりお金の無駄となります。
また、学校からのプリントや、友だちからの借り物など、購入できないものの場合は、「信頼」をなくしてしてしまうこともあります。
次に大きな無駄は、「部屋が散らかっている」という無駄です。
モノが散らかっていることで、使えるスペースの一部を無駄にしています。
また、机の上などがモノで占領されていて、勉強に取り掛かることができません。
雑然としたものの中で集中力も散漫になり、効率を無駄にしています。
散らかったお部屋では、何より気持ちがすっきりしません。
イライラを感じることもありますし、その部屋に帰りたくないとさえ思ってしまいます。
先ほどご紹介した「片付いてないことによる無駄」は、今使っているモノを的確な場所に配置することで、解消することができるのです。
モノがどこにあるか把握していることで、必要なものをすぐに取り出すことができ、今まで探し物をしていた時間がお得になります。
また、持っているものを把握しているので、2度買いなど買い物の失敗をすることもありません。自分にとって必要なものだけを購入するので、お金が節約になります。
友だちからの借り物などもしっかり把握できているため、返し忘れることもなく「信頼」を築くことができます。
お部屋が片付いていることで、持っているスペースを使いきることができます。
また、学習のスペースがいつも確保されていれば、学習にすぐに取り掛かることができます。
なにより、片付いた空間は、気持ちが良いです。
人は、外部刺激の8割以上を視覚から受け取っているといわれていますから、片付いた環境に身を置くことが良い影響を及ぼすことは、想像に難くないでしょう。
「片付け」というと、「きれいにする」という効果だけに目が行きがちです
ですが、片付けの効果はそれだけにとどまりません。
片付いていないことによって、大きな無駄がうまれていることは、子どもにはっきりと伝えましょう。
「お片付けができていると、お気に入りのおもちゃが見つかりやすいね!」といったように伝えると、片付けとそのお得が結びつきやすいでしょう。
もうすぐクリスマス。プレゼントを楽しみにしているお子さんも多いことでしょう。
何か新しいモノが欲しがる時には、お片付けのチャンスです。
「まずはお片付けしてみて、自分がどんなものを持っているか見直ししてみよう!」と声をかけてみてください。
「お片付け」は、嫌なことではなく、自分自身に得になること。
ぜひ、ワクワクするイメージが湧くように、伝えてみてくださいね。
こま ともこ 【整理収納アドバイザー/1級家事セラピスト】
記事テーマ
「片付けなさい!」と言っても、子どもは片付け方がわかりません。親が、そのやり方を示してあげる必要があります。片付けには、モノを大切にする力、身の回りを心地良く整える力、自分にとって大切なものを見極める力など、力強く生き抜くための知恵がたくさん詰まっています。子どもの生きる力となる片付けを、暮らしの中で楽しんで伝えるコツをお伝えします。