日本で一番よく飲まれている緑茶が「煎茶(せんちゃ)」です。
茶葉を蒸したあと、揉みながら乾燥させて作ります。
茶葉を摘んですぐその日のうちに蒸すことで、茶葉の緑色を保ちます。
4月中旬~5月上旬(静岡の場合。沖縄や九州はもっと早い)にとれた茶葉を使ったものが「一番茶」。
「新茶」もこの一番茶を使いますが、年間流通する上級の煎茶(高品質で値段も高い)も一番茶を使っています。
(「新茶」との区別や味の違いは、また新茶の回でお伝えします)
(写真:今年の一番茶。神奈川県の「足柄茶」茶摘み時に撮影)
一番茶の後(約50日後)に再び芽が出たのを摘んだのが二番茶、その後が三番茶です。
二番茶までは下級煎茶(お値段がお手頃なもの)にも使われることが多いです。
下級煎茶は日常使いに、上級煎茶は贈答品としても喜ばれるものとなっています。
煎茶には「普通煎茶」と「深蒸し煎茶」があります。
「普通煎茶」は茶葉の形状が太いものが多いです。昔ながらの煎茶です。
(写真:「普通煎茶」香川県の高瀬茶)
「深蒸し煎茶」はその名の通り茶葉を蒸す時間が2~3倍長いため茶葉の表皮が柔らかくなり、細かい粉のような部分が多くなります。
そのため、浸出時間=「お湯を急須に入れてから待つ時間」は短時間ですみます。
忙しい現代人、忙しいママたちには短時間でいれられるお茶は助かりますね。
(写真: 「深蒸し煎茶」 静岡県牧之原)
急須でいれると、「普通煎茶」は黄色っぽく透明感があるのに対し、「深蒸し煎茶」は濃い緑になります。
味も、「普通煎茶」に比べて「深蒸し煎茶」はまろやかで濃厚な味になります。
(左:普通煎茶 右:深蒸し煎茶)
お家にあるお茶が「普通煎茶」か「深蒸し煎茶」かパッケージに記載されていなくてわからない場合は、茶葉の形状を見てみましょう。
それでもわかりにくい場合は、一度急須でいれてみるとお茶の色で分かるかもしれません。
お店で買う場合は、「これは深蒸し煎茶ですか?」などと聞いてみてください。
親子で、茶葉の形状、色や香りの違いを比べてみるのも楽しいですよ。
みなさんがお住まいの都道府県や出身地にも茶畑はあるのではないでしょうか?
「静岡茶」「宇治茶」など地名の入ったものが、その産地でとれたお茶です。
北限は新潟県の「村上茶」、南は沖縄まで、お茶が栽培されています。
生産量は、1位 静岡、2位 鹿児島、3位 三重、4位 宮崎、5位 京都 (平成27年)となっています。
産地ごとに香りや味などの特徴が違ったり、同じ産地でも作り手(メーカー)が違うとまた特徴が違ってきたりと、いろいろ飲み比べてみるのも面白いですよ。
産地が書かれていないものは、そのお店の個性を出すために複数の産地のお茶をブレンド(「合組(ごうぐみ)」と言います)していることが多いです。
身近に茶畑がある方は、親子で見に行くのも「食育」につながります。
茶園、茶農家、茶業センターなど、見学や茶摘み体験ができるところもあります。
お値段も選ぶ際の重要ポイントです。
日常使いの煎茶は100g1000円以下の下級煎茶を気楽に楽しむ。
お客様へのおもてなしや、自分へのご褒美タイムにお茶を飲むなら100g1000円以上の中・上級煎茶でリッチな気分に。
一般的に、下級煎茶の味は毎日飲んでも飽きないさっぱりした味、上級煎茶になるとしっかりうま味や甘味も楽しめるものが多いです。
いろいろ飲み比べてみたいときは、A店で1000円の煎茶を買ったら、次はB店でも1000円の煎茶を買う、というように、いつも同じ値段のお茶を買うと、好みの味のお茶を探しやすくなります。
もし、いろいろ飲んでみて気に入ったものがあったら、同じお店の違う値段のお茶も買ってみると良いですよ。
お店により「個性」は違うので、好みのお茶・好みのお店を見つけるのも楽しいです。
また、この前と同じお茶をリピートしたい、という時は、同じお店でもパッケージが全く同じでシールの「茶銘」部分が違う(中身のお茶の内容が違います)場合も多いので、パッケージの写真を撮っておいたり、茶銘や値段を覚えておいたりすると、リピートしやすいです。
日本茶専門店などの対面販売なら、試飲させてもらえるお店も多いですし、好みの味を伝えるとそれに合うお茶を提案してくれたり、お茶のいれ方のコツが聞けたりします。
参考資料:「平成27年産茶 摘採面積、生葉収穫量及荒茶生産量(主産県)」農林水産省
『日本茶インストラクターに学ぶお茶の本』 大森正司 著
『日本茶の図鑑』 監修:公益社団法人日本茶業中央会、NPO法人日本茶インストラクター協会
横浜・川崎の日本茶講座『和茶』では、日本茶インストラクターが抹茶・煎茶・玉露など、気軽なスタイルで日本茶の文化を暮らしに取り入れるご提案をしています。
「親子日本茶教室(抹茶・煎茶)」や、日本茶の基礎から応用まで楽しみながら学べる「日本茶講座」を自宅や出張レッスンで多数開催しております。お子様連れ歓迎の日程もあります。
詳しくは、講師のブログをご覧ください。
酒井 知子 【日本茶インストラクター】
記事テーマ
親子で日本茶ライフを楽しんでみませんか?お茶を飲むだけでなく、見て触って香りを嗅いで、子ども達は五感で楽しむことがでます。2歳から茶筅を握り3歳からはmy急須でお茶をいれる娘との日本茶ライフの中から、親子で楽しめるアイディアをご紹介します。茶葉の選び方やお茶のいれ方など日本茶インストラクターならではのコツやポイントも交えてお伝えします。