1年生で学ぶ「おおきさくらべ」。「おおきさくらべ」は、長さや、重さ、量を比較するお勉強です。ついこの前まで園児だった子どもたち。年長さんのクラスを「おおきいぐみ」、年小さんのクラスを「ちいさいぐみ」と呼んでいました。子どもから「なんで○○くんはおおきいのにちいさいぐみなの?」という質問があったりしませんでしたか? これは視覚で比べて「大きい」「小さい」と発した言葉です。でも実際は、年齢の大きい子、小さい子とグループ分けした大人が決めたルールですよね。
「大きさくらべ」は算数ことばが正確に理解できているかが大切です。長さ、重さ、量。比べるものによって言葉が違います。
長い、短い、重い、軽いなど大人が当たり前に使っている言葉を、子どもはどんな時にどんな風に使うか、頭の中では理解できていても、言葉の表現がまだ十分でないため、上手に伝えることができません。また、少し長い、ちょっと長い、半分くらい長いといった言葉の表現も「大きさくらべ」のお勉強では必要になってきます。
「おおきさくらべ」のお勉強、はじめは「どっちがながい」という長さの比較からはじまります。目の前にある2本のえんぴつ。どちらが長いか比べるには、2本のえんぴつの一方の端をそろえて並べると比較できます。これを直接比較といいます。
本の縦の長さと横の長さ。どちらが長いか比べるにはどうすればよいでしょうか。直接並べることができないので2本のヒモなどを使って比べます。これを間接比較といいます。
また、身近なものをつかって縦と横をそのいくつ分かであらわすことを任意単位の比較といいます。たとえば、さんすうセットの「かぞえぼう」などで比べてみるのはどうでしょうか。本の縦と横に「かぞえぼう」を並べて、縦は「かぞえぼう」が何本(いくつぶん)、横は「かぞえぼう」が何本といったように比べます。数が多い方が長いと小学1年生の子なら理解できますよね。
1年生の比較の授業でこれだけ深い内容を学習します。そして、この体験授業が高学年算数の理解度につながっていくのです。
任意単位の比較のお勉強で子どもたちは、ふたつの離れたものを測るときは、同じ長さの媒介物(かぞえぼう)でなければ、きちんと比較できないことを学びます。そして、自然と「かぞえぼうをもとにしてくらべる」ことを知ります。でも、なぜか子どもたちはこの「もとにしてくらべる」という言葉に後々悩まされます。
それが5年生で学ぶ「割合」です。割合とは、「2つの数量をくらべるとき、ある量(くらべる量)がもとにする量の何倍にあたるかを表した数を割合という」のことです。
もとにする量とは、任意単位の比較では「かぞえぼう」(もとにした長さ)にあたります。1年生のときはあんなに楽しくできたのに、5年生では言葉を聞いただけで拒絶反応を示します。理解しようとがんばってみても「どっちがくらべる量?どっちがもとにする量?」と頭の中がぐちゃぐちゃになり、結果、教えられた割合の計算の方法に基づいて数字を当てはめていくというパターン学習で問題を解くいう結果になります。また、同じ問題の中で「もとにする量」がかわって出題されると、子どもたちはさらに頭を悩ませます。
これでは「割合」を理解したとはいえません。「いくつぶん」のお勉強で量の概念をしっかりと身につけていれば、このつまずきはなかったと考えます。
さきほど、任意単位の比較に使用した媒介物は「かぞえぼう」でした。これを別の長さのものに替えて本の縦と横を比較してみてはどうでしょうか。「かぞえぼう」より長いものを使ってみてもいいですし、短いものを使ってみてもいいです。当然、いくつ分の長さはかわってきます。1年生で「なぜそうなるのか」ということまで理解する必要はありません。難しすぎます。
ただ、「もとにする」ということ、そして「もとにする量がかわるといくつぶん(割合)がかわる」ということを体験で知るということは算数や数学を学習していくうえではとても大切な量の概念です。
ぜひ、おうちにあるものを使って長さのちがいをくらべて楽しんでください。そして、日常生活で比べることを身近なものにしてくださいね。
☆歌劇の街・宝塚で幼児・小学生・中学生を対象にした学習塾を開いています。
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渡辺 貴子 【幼児さんすうインストラクター】
記事テーマ
算数につまづく理由に「基本的な数やかたちの概念が身についていない」ということがあります。つまづくと苦手意識がでやすいのが算数ですが、問題解決力を育成できるのも、「わかった!」「できた!」という達成感を味わうことができるのも算数です。幼児期に身につけておきたい算数、低学年でつまづきそうになったらすぐに家庭でできる算数勉強法をお話します。