乳歯のもととなる歯胚は妊娠7〜10週目につくられます。そして、永久歯の中で最も早く生えてくる第一大臼歯や前歯は妊娠3〜5ヶ月頃に歯胚ができはじめ、数年の期間をかけながらあごの骨の中で成長し、やがて歯として口の中に生えてきます。
永久歯は、乳歯の下のあごの中で永久歯のもとになる歯胚ができ、時間をかけて成長します。永久歯の頭(歯冠部)が完成し、歯の根(歯根部)がつくられ始めると、乳歯の根を溶かす細胞が現れ、少しずつ乳歯の根を溶かしていき、最終的に乳歯はグラグラになり抜け、永久歯へと生え変わります。
2〜6歳頃までの間に、上下左右20本の乳歯が生えそろいます。乳歯はいずれ永久歯に生え変わってしまうのため、あまり重要でないと思われてはいませんか?
実は乳歯は、お子さまの成長においてとても大切な役割を担っています。
乳歯の大切な役割
「乳歯はどうせ抜けるから虫歯になってもいいや」と考えず、乳歯も大切に虫歯予防をしてください。
乳歯は永久歯と比べ、歯の質は永久歯の半分程度と薄く、石灰化がまだ不十分のため柔らかく、虫歯になりやすいのが特徴です。お子さま自身の歯磨きだけでは、磨き残しが多いため注意が必要になります。
糖分は、むし歯菌の養分になります。甘いお菓子やジュースなど、糖分の多いものはできるだけ控えるようにしましょう。
歯の表面に住み着く最近は、300〜400種類います。また、プラーク(歯垢)には1mg(質重量)あたり1億個以上も細菌がいます。このうち、虫歯の原因となる細菌は、糖分を原料に歯の表面を溶かす酸を出します。歯磨きでこうした細菌をできるだけ減らしましょう。
バランスのとれた規則的な食事は、お子さんの健康で丈夫な身体を作り、質のよい強い歯をつくります。
定期的に歯科医院でチェックをしてもらい、磨き方のポイントや、予防のためのフッ素を塗布してもらいましょう。
乳歯の段階に限らず、虫歯になって痛い、辛いと感じるのは大切なお子さま自身です。お母さん、お父さん、保護者の方と歯医者さんで連携し、お子さまの歯の健康を守っていきましょう。
越川 はるか 【歯科衛生士】
記事テーマ
お口の中が健康になると、体も健康になり、自然と笑顔が増えてきます。お子さんの歯を守れるのは、お母さん、お父さん、周りの保護者の方が重要です。楽しい毎日を過ごすために、皆さんのお口の健康管理のアドバイスをお伝えします。