前回は、子どもの口臭のタイプと大きな原因をお話ししました。今回は、アデノイド(咽頭扁桃)についてお話しします。少し難しい話になりますが、お子さまの口臭を治したいと考えられているお方は是非お読み下さい。
鼻閉やアデノイド過形成に伴う口呼吸による口腔内乾燥が起こると、扁桃の免疫機能を低下させ、バクテリアが舌苔(舌につく白いコケ)や扁桃内の膿栓内で増殖を起こします。そしてバクテリアが産生する揮発性硫黄化物が口臭を起こします。子どもの口臭の多くはこのアデノイドの過形成に関係しています。
喉の中には多くのリンパ組織が存在しています。風邪の時に喉が腫れるのは、このリンパ組織に、口や鼻から侵入する病原体に対する免疫を作ったり、病原菌が体内に侵入するのを防ぐ働きがあるためです。この腫れは、外来からの病原体が体内に入るのをこの扁桃で防いでいるためです。
喉のリンパ組織は以下の4つが含まれます。
このうち、口臭と大きく関係しているのが 咽頭扁桃(アデノイド)と 口蓋扁桃です。
アデノイド(咽頭扁桃)は3~6歳で最も大きくなります。この年代の小児では大きいこと自体で治療が必要ということにはなりません。
3~6歳の時期にアデノイドが大きく発達するのには理由があります。乳幼児では、まだ全身の免疫防御機能が未発達なため、外界に近い上気道に免疫組織を集中させるのが合理的なのです。小学校高学年頃になると体の成長に伴い、アデノイドは次第に退縮していきます。ただし、成人しても扁桃が肥大したままのこともあり、個人差があります。
しかし、この咽頭扁桃(アデノイド)の肥大が原因で、鼻や耳、のど などに慢性の炎症を引き起こすことがあります。これを咽頭扁桃増殖症と言います。
鼻の症状
喉の症状
耳の症状
咽頭扁桃は、免疫に関する重要な器官です。3~6歳頃に最も大きくなりますが、小学校高学年頃になると体の成長に伴い、次第に退縮していくことから経過観察することが多いです。扁桃は年齢によって肥大度が異なります。
歯磨きや、歯科医院でのクリーニングも受けたが、お子さまの口臭が気になる...上記の咽頭扁桃増殖症の症状にも当てはまる時は、かかりつけの耳鼻咽喉科の先生にご相談ください。
越川 はるか 【歯科衛生士】
記事テーマ
お口の中が健康になると、体も健康になり、自然と笑顔が増えてきます。お子さんの歯を守れるのは、お母さん、お父さん、周りの保護者の方が重要です。楽しい毎日を過ごすために、皆さんのお口の健康管理のアドバイスをお伝えします。