日本人は世界で第2位になるほど睡眠時間が短いそうです。(※)睡眠を短くして、起きている時間を増やしても勉強や仕事などの生産性のある活動をすることが美徳とされてきました。
果たしてそれは正しいのでしょうか。
最近になって、ようやく睡眠はあちこちのメディアに取り上げられ、見直されるようにはなってきましたが、睡眠の正しい知識が浸透してくるまでにはまだ時間がかかりそうです。
夜の睡眠をとらないと日中の眠気がひどくなり、頭がボーっとして集中力が欠けてしまったり、精神的にイライラしたりということは誰しも経験があることでしょう。
それを子どもに置き換えて想像してみてください。まず、産まれたばかりの赤ちゃんは“生理的早産”と言って、脳や身体が未発達の状態にあります。脳や身体が大きくなった状態ではママの産道を通ることができないので、産まれてから育む必要があります。
脳や身体を育むのは眠っている間に行われます。重要なのは「成長ホルモン」の働きですが、ちゃんと分泌されるためには、年齢に合った睡眠時間を確保してたっぷりと赤ちゃんの眠りをサポートしてあげることが重要です。それにはママや家族、大人の理解が必要です。
眠りは赤ちゃん主導では整えることは難しいです。
眠りを導き、教育するのは親である大人の役割なのです。
これまでの連載でもお伝えしてきたとおり、まさに「寝る子は育つ」ですが、大人が正しく睡眠のことを知らなければ、「眠育」を家庭内で行うことは難しいでしょう。先ほどお伝えしたとおり、日本は眠らないことがもてはやされている社会でもあります。
実際に「ママのための睡眠講座」を開催していると、今までの睡眠のイメージを、子育てを機に親自身が捉えなおして真剣に考えるときが来ていると感じるようになりました。ちゃんと眠ることこそが子どもが年齢に応じた発達段階において、力強く生きる力を身につけていく上では大切なんだということを、ママやご家族に正しく知っていただきたいと思います。
私は、睡眠を子育てのなるべく早い段階から英才教育するぐらいの情熱があってもいいのではないかと思います。それほど、現代の子どもの眠れない問題はとても深刻なのです。
大人の意識を変えることが、本当の「眠育」のスタートラインです。子どもに安心して幸せに眠りにつく習慣を身につけさせることこそ、何よりも代えがたい贈り物になるでしょう。
「早期眠育」はその言葉のとおり、子どもの年齢が早期のうちに眠育を始めること。早ければ早いほど、赤ちゃんからでも良いぐらいです。
もちろん、「眠育」の存在に気づいてから始めても遅すぎるということは全くありませんのでご安心ください。
一方で、ママ予備軍の女性の方も早すぎたり、「眠育」が関係ないということもありません。赤ちゃんをこれから産み育みたいとお考えの女性こそ、まずは自分の健康面に目を向けてみてください。不規則な生活習慣を送っているようなら、睡眠時間をたっぷりとって、日中の食事時間、食事内容、メリハリある活動ができているかを確認します。妊娠に向けた体づくりのためにも睡眠はとても重要です。
実際に妊娠してからもその生活リズムができていると、お腹の赤ちゃんにとってもいいものです。赤ちゃんはお腹にいるので光を感知することができません。そのため、ママの睡眠時間や食事時間、活動時間が赤ちゃんの体内時計のリズムを整える手がかりとなります。妊娠中のママの生活リズムが正しいと、産まれた赤ちゃんの睡眠が整いやすくなるのです。
赤ちゃんの睡眠を整えて赤ちゃんの脳や身体を育むという知識は、なるべく早く学びとして獲得して欲しい分野であると思います。
私の経験からですが、出産後1ヵ月は自分自身の体の急激な変化や、赤ちゃんのお世話で目の前のことをこなすことにいっぱいいっぱい。何かを冷静に学ぶのはとても難しい状況にありました。
まだ体が比較的自由に行動できるプレママ時代に、予習のように赤ちゃんの睡眠のことを学んでおくと良いと思います。「早期眠育」をすることは、赤ちゃんだけにメリットがあるわけではありません。むしろ、ママにとってのメリットもいっぱいあるんです。
しかし、現在は残念ながら、自治体などの母親学級で「眠育」を学べるところはほとんどないといってもいいでしょう。この連載のもとになり、現在開催している「ママのための睡眠講座」では「眠育」の子育て方法をお伝えしています。
赤ちゃんの眠りが整わないと、いつになったら、まとまって夜に眠ってくれるようになるのかとやきもきすることでしょう。先が見通せないことは、不安感となってママの心に重くのしかかり、育児不安感も増してくるかもしれません。
でも、睡眠の学びがあれば、それはママの育児の味方となってくれるはずです。赤ちゃんの子育てはままならないことが多いですが、そのときになって相談しようと思っても子連れで行動を起こすには、状況が大変なことも多いと思います。
ですから、まだ時間的に自由に行動を起こせる妊娠期間中はとても貴重!
プレママから始める「早期眠育」はこれから母親学級に取り入れられることが理想です。
赤ちゃんや子どもにとっての睡眠の重要性を学ぶ裾野が広がることを願っています。
●参考資料
(※)OECD, Society at a Glance 2009: OECD Social Indicators
☆ママ向け講座を開催します!☆
なおちゃん先生(眠育)&あこちゃん先生(ベビマ&保育士)の
子どもの脳を育てる「親子スキンシップ遊びと眠りのおはなし会」
●開催日時●
2016年7月4日(月)10:00~12:00
●会 場●
「千代田7丁目自治会館」
●アクセス●
住所:神奈川県相模原市中央区千代田7-7-14
<電車+バス>
・JR淵野辺駅南口から光が丘・上溝駅方面へ「栄公園前」または「千代田」下車
所要時間:約7分 バス停より徒歩3分ほど
・JR相模原駅から相模大野駅北口行きで「相生三丁目」下車
所要時間:約12分 バス停より徒歩3分ほど
☆Seria前の道路を渡り、向かいの中華料理屋さん横の緑道を通ると正面に公園があります。
その公園の敷地内になります。
<お車>
フォームよりお問い合わせください!
●講座内容●
・五感を刺激して脳を育てる「親子スキンシップ遊び」
音楽に合わせながら親子で遊ぼう!
・話題沸騰!『おやすみ、ロジャー』の読み聞かせ
・眠育のおはなし「早期睡眠」について
・ママの睡眠相談会 など
●講座代:2,000円●
●お問合せ・お申込み●
こちらのフォーム よりお願いします。
●「+Sleep(プラススリープ)」
「ママのための睡眠講座」「女性のための睡眠講座」「中学生のための睡眠講座」「シニアのための睡眠講座」などの幅広い世代へ向けた睡眠講座やイベント企画を育児サークル、教育機関、行政機関等で開催しています。
睡眠改善のための、個別睡眠カウンセリングも随時行っております。
・Blog
「+Sleep(プラススリープ)~ねむりをプラス、輝くあした~」
http://ameblo.jp/foryoursleep/
・Facebookページ
https://www.facebook.com/plussleep247/
・講座や講演依頼等のお問い合わせ
foryoursleep あっとまーく yahoo.co.jp
(あっとまーくは@へ変換してください。)
鶴田 名緒子 【睡眠健康指導士・睡眠改善インストラクター】
記事テーマ
ママが睡眠の知識を深め、家族の健康を睡眠からサポートできるように暮らしに役立つ情報をわかりやすく発信します。赤ちゃんの眠り、保育園児と幼稚園児の生活と睡眠、小学校就学に向けての「子ども生活リズム」の整え方など。「眠育(睡眠の育児&教育)」からママやお子さまに寄り添ってきた指導経験を生かし、心も体もHappyになる毎日の育児を応援します!