ママのみなさん、いつも「ママのための睡眠講座」を読んでいただき、ありがとうございます。
第6回では前回に引き続き、赤ちゃんの眠りのリズムのつくり方についてお話しします。今回はママやパパを悩ませる、「夜泣き」について詳しくお伝えしていきたいと思います。
「夜泣き」というのは、これといった原因もないのに、毎晩のように決まって深夜に泣き出すことと言われています。とくに、学術的な専門用語があるというわけではないのです。
赤ちゃんが決まって夜、激しく泣いたとしても「赤ちゃんなら普通のことだしね。」と思えてあまり悩まないママだったら、それは「夜泣き」ではありません。
でも、「また、泣いてる。どうしたのかな?」「眠ってくれない、どうしよう!」と、ママ自身が困って悩んだり、疲れてしまうという場面があれば、それは「夜泣き」になります。
夜、赤ちゃんが泣いて眠ってくれないことについて、困っているのか、そうでないかは、子育てをしているママによってとらえ方が変わってくるということです。
夜泣きの実態を知るための調査が、都内某市の健康診断受診者の養育者のアンケート調査で行われました。(※)
その結果、夜泣き経験ありの回答は、3~4ヵ月健康診断受診者で18.8%、1歳半健康診断では64.9%、3歳健康診断受診者で59.9%という結果になりました。
一方で、3歳時点では80%以上で夜泣きが消失していたことがわかりました。
夜泣きの頻度では男女差はありませんでした。
家族構成、栄養、入浴時間、人見知りの強さ、睡眠時の明かり、寝具、室温、湿度に配慮した工夫、指しゃぶり、騒音、昼寝の時間帯や長さでも夜泣きの有無に差はないことも明らかになりました。
ただし、1歳半では入眠時刻が一定しない子どもに夜泣きが多く、3歳では夜間の睡眠時間が9.5時間から10.5時間の子どもに夜泣きが少ないことがわかりました。睡眠時間がこれより長くても、短くても夜泣きが多かったこともわかりました。
第5回目でお話ししたように、起床と就寝時刻を守ることがとても大切です。
それと同時に、睡眠の量も第2回の赤ちゃんや子どもの1日の適正睡眠時間をもう一度チェックしてみてくださいね。
月齢や年齢に応じた睡眠を赤ちゃんや子どもにたっぷりとらせてあげれば、「夜泣き」も減ってくるかもしれません。
さらに、1歳半の夜泣きをする子どものうち、保育園や祖父母の家で預かってもらっている場合(託児)は30.1%になるのに対し、夜泣きをしない子どものうち、託児されている子どもは11.5%しかいないことから、託児と夜泣きの関連性が指摘されています。
そうは言っても、お仕事をしているママもいっぱいいらっしゃると思います。
大丈夫!
眠る前のリラックスタイムで、ママが赤ちゃんの心をゆったり落ち着かせてあげましょう。
子どもの不安感や昼間の興奮を受け止めながら、「今日もよくがんばったね!ありがとう!」「ママは大好きだよ!」「ぐっすり眠ろうね!」など言葉をかけながらギュッと抱きしめてあげる。
ママと一緒の安心感をお子さまにプレゼントしてあげてくださいね。
大人よりも子どもは短い時間のサイクルでノンレム睡眠とレム睡眠が交代するのですが、このときに体が生理的によく動いてしまうことがわかっています。
寝返りが増えたり、顔や体がピクッとしたりってよくありますよね。
ママは「どうしたの?」と心配になって、つい抱き上げたり授乳をしたりしてしまいがちです。
実は、良かれと思ってしたその行為自体が刺激となって、夜の赤ちゃんや子どもの睡眠を邪魔してしまうことになるんです。
それがかえって夜に目覚めるという間違った習慣を、子どもにつけさせてしまうことにも・・・。
赤ちゃんや子どもの睡眠は実は大人より浅く、いつでも目が覚めやすい状態にあるということを覚えておいてくださいね。
泣いてしまうのも必ずしも授乳を必要としているわけではなく、ただちょっと目覚めてしまってぐずっているだけかもしれません。
いつもの習慣、ちょっとだけ見直してみませんか?
泣いたからと言ってすぐに授乳や抱き上げることをママがしていると、赤ちゃんや子どもは「ママは自分の言うことなら何でも聞いてくれる!」と間違った学習をしてしまいます。
泣くたびにママも眠い目をこすりながら起きることになりますし、赤ちゃんや子どもも完全に目覚めてしまいます。親子でお互いに寝不足になってしまいます。
それが続けば、ママは日中の育児がクタクタに。眠れないことはイライラやストレスの原因にもなるので要注意です。
子どもも夜眠れないと昼寝時間でたっぷり眠りを補ってしまうので、その日の夜に睡眠がまた浅くなり、眠れなくなるというスパイラルに陥ってしまうんです。
そこで、赤ちゃんや子どもが自分で眠る力をつけるために、夜ぐずって泣いていてもすぐに手出しをすることはせずに、静かに見守ってみてください。
しばらくグズグズ泣いていても、スッと眠りに落ちることができれば、赤ちゃんや子どもが「自分で眠れた!」と眠りに落ちる方法を自分で学んでいきます。
実際の「ママのための睡眠講座」で質問があったのですが「放っておいたら2時間でもギャン泣きして困ってしまった・・・。」というママさんもいました。
そこまでになると、赤ちゃんの不安感の方が増してしまっていることは明らか。
ママからの安心感を心の底から欲しがっているのかもしれません。
最初はママも時間を「10分待ってみよう。」と設定してみて、少しずつ時間を伸ばしてみたりして眠る力を育んであげてください。それでも寝落ちせずに泣き止まなくて「これじゃあ、かわいそう!」と思えたら抱っこしてあげてもいいのです。
基本の考え方は抑えておきながら、ママの直感の温かい子育ても信じてみる。
このバランスをとりながら、上手に「眠育」を取り入れてみてくださいね。
夜間の授乳についての考え方は、また次回にお話ししたいと思います。
●参考文献
神山潤 (2008)『睡眠の生理と臨床 改訂第3版』診断と治療社
(※)Fukumizu M,Kaga M,Kohyama J,et al.2005.Sleep-related night time crying(Yonaki) in Japan: a community-based study. Pediatrics 115 (Suppl):217-24.
●「シニアのための快眠セルフケア講座」連続睡眠講座(全3回)
第1回 4月13日(水)自分でできる快眠方法と睡眠の基礎知識
第2回 4月27日(水)「睡眠日誌」で自分の「ねむリズム」を知ろう!
第3回 5月11日(水)「睡眠日誌」でスリープレッスンQ&Aと参加者交流
睡眠相談やリラックスタイムに気軽にできる安眠体操もあります!
時間:10:00~12:00
会場:相模原市立大野北公民館(JR横浜線淵野辺駅から徒歩2分)3階 中会議室
住所:神奈川県相模原市中央区鹿沼台1-10-20
URL:http://www.sagamihara-kng.ed.jp/kouminkan/onokita-k/annai.htm
対象:シニア、ご家族、支援者、睡眠改善に興味のある方
参加費:1,200円(教材費)
お申込み・お問い合わせ:大野北公民館窓口(電話:042-755-6601)
*受付開始は3/8~となります。
ブログ: 「 +Sleep(プラススリープ)~ねむりをプラス、輝くあした~ 」
今後の睡眠講座の開催予定や、快眠の方法など随時、更新しています。
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(あっとまーくは@に変換してください。)
担当:鶴田(本人)
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鶴田 名緒子 【睡眠健康指導士・睡眠改善インストラクター】
記事テーマ
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