平成17年に食育基本法が制定され、「子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身につけていくためには、何よりも『食』が重要であり、食育は知育、徳育および体育の基礎となるべきものである」と述べられています。また、健全な成長のためには「食育」「体育」が共に必要不可欠であることが重要視されるようになり、近年では食育と体育の両面から「スポーツをする子どもに対する食育(スポーツ食育)」が盛んになってきました。
しかし、スポーツ食育は一部の子どもたちやチームのみに留まり、「強い子どもたち」だけに必要な食育というイメージが強いことが現状です。強いチームの子どもたちやアスリートのような子どもたちだから「スポーツ食育」が必要なのではなく、スポーツを頑張っている子どもたちならばどんな子でも、「スポーツ食育」は必要であることを記事を通して考えるきっかけになればと思っています。そして、このスポーツ食育の一番の支え(サポーター)は「家庭」です。子どもたちの健全な成長と共にスポーツでの活躍も左右しているくらい、とても大切な支えとなります。
今回は「スポーツ食育の心得」と「家庭だからこそできるサポート」について書きました。
スポーツ食育がジュニア期(小学生~高校生)に重要視された理由のひとつに、「食習慣の形成」時期が幼児から学童期(小学生)にあたるということがあります。幼児期には食習慣の基礎作りが始まり、学童期には食習慣の形成を迎え、思春期以降は自立できるようになることが目標となっています。このような理由により、スポーツで活躍するようになる思春期から「食」に取り組むのではなく、小さい頃からスポーツ食育に取り組むことが大切です。以下にスポーツ食育で必要な心得についてまとめました。
【カラダの発達発育について】
【食育からみた発達発育について】
以上のようにカラダの発育発達や食育の発達発育は成長段階によって異なり、子どもたちへの伝え方、接し方などのサポート方法も異なります。「食」のサポートもお子さんの成長段階に合わせて実践することが大切です。
図:食育からみた子ども達の発達発育段階 馬明作成
スポーツ食育は家庭の支えが一番大切ですとお話ししました。その理由は、食と子どもたちとの関わりの一番深いところが「家庭」だからです。例え所属チームや学校で栄養サポート(スポーツ食育)が行われていても、実際に食事をとる回数は家庭が多いので、子どもたちの成長や日々の体調管理には「家庭の食」が要となります。ですが、家庭で栄養素の話をする指導が必要というわけではなく、「楽しくたべる子ども」でいることが子どもたちの健康で元氣な成長を育み、スポーツで活躍できる選手になるために必要な土台となります。
【楽しくたべる子どもとは】
(食を通じた子どもの健全育成からみた発育発達過程に関わる特徴・平成16年2月 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 報告書より)
いかがでしたか? スポーツ食育は難しいことではなく毎日の積み重ねが大切です。そして楽しく食べることの積み重ねが将来活躍するカラダとココロを作り、子どもたちのスポーツでの活躍を後押します。上記5つのことを今現在、お子様ができているかどうかチェックをしてみて、できていないなと思うところがあった場合は家庭で意識して日常生活の中に取り入れてみてください。
参考文献:厚生労働省「楽しく食べる子どもに~食からはじまる健やかガイド」平成16年2月
馬明 真梨子 【子どものスポーツ栄養専門家】
記事テーマ
ここ数年、スポーツを頑張る子ども達の「食」への関心は高まっています。「食」は毎日のことで、家庭とのつながりが大きいものです。小さい頃から「食」とどう関わっているかが本格的にスポーツを頑張るようになった時に力を発揮してくれます。子ども達の元氣な成長とスポーツでの活躍を家庭だからこそできる「スポーツ食育」で支えるノウハウをお伝えします。