「初雪や 水仙の葉の たはむまで」と松尾芭蕉が歌ったように、雪の中でも春の訪れを告げるように咲いているので、別名「雪中花」とも言われます。日本水仙、ラッパ水仙等、品種は1万種を超えるとも言われています。きれいな花の姿と芳香が、まるで「仙人」のようなところから命名されたとされています。
さて、実際に水仙を生ける際には、生け花の世界では美しく見せるための決まりごとがあります。
①ハカマで葉を組み直す
水仙の足元には必ずチューブ状のものがあるのにお気づきでしょうか? このチューブ状のもので葉が束ねられてくっついています。これを取ると葉がバラバラになります。このチューブを「ハカマ」と呼びます。
そのまま生けても綺麗なのですが、それでは皆同じ長さになってしまいますよね。長短をつけたくても、ハカマより上の部分で切ってしまうと葉と花がバラバラになってしまいます。あえてバラバラに使うというのも手ではありますが、基本的には花と葉が一緒にあってこそ水仙ですから、葉を組み直す技術について学びましょう。
では、組み直しのやり方についてご説明します。
①「ハカマ」の部分をモミモミします。葉を軽く引っ張ってするっと抜けるまで「ハカマ」全体を指で押してください。
②「ハカマ」がゆるんだら、葉と花のついた茎を全て抜き取ります。「ハカマ」は捨てないで下さいね。
③葉と茎を好きな長さに切ります。
④葉と茎を好きな向きで組みなおして「ハカマ」をはかせます。このとき、葉の数は数枚減らさないと「ハカマ」に入りませんので、注意してくださいね。
生け花の世界では「ためる」という技法があります。これは、一般的に枝を曲げて流れを作る事を言いますが、葉も「ためる」ことが出来ます。水仙の葉もよく撫でてやると「ためる」事が出来る素材です。細くて長い線が特徴的な葉ですから、ためてやって柔らかい線を出してやると色々な表情が表現でき、面白みが増してきます。
左手で葉の根本部分を持ち、右手の親指とその他の指の間に葉をはさみ、根元から葉先に向けて優しく撫でてやってください。何度か撫でていると葉にカーブがついてきます。これが「ためる」という技法です。
この自然なカーブだけでも楽しいですし、葉を丸めて足元でワイヤーで止めて輪を作ることもできます。様々な表現が出来る素材ですから、他の花を使わずに水仙だけで生けても十分に華やかになり楽しめます。
松や千両などで豪華に飾ったお正月花から一転、水仙だけですっきり生けて家の中にも春を呼び込みましょう!
季節を大切にする生け花では、このように表現を豊かにする技法が沢山あります。
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阿多 星花 【SFCフラワーデザイン・生け花講師】
記事テーマ
季節の行事やお花について紹介しながら、子どもと一緒に楽しめる生け花やアレンジメントをご紹介します。お花を一緒に生ける時間が子どもと語らう豊かな時間となり、季節の行事やお花を楽しみながら日本の文化について伝えていくきっかけとなればと思っています。