「なぜ、空手を始めようと思ったのか」
私は子どもたちに尋ねることがあります。
「お母さんがやりなさいと言ったから」
「お兄ちゃんがやっていたから」
「なんとなく」
という子どもも少なからずいます。しかし、多くの子どもたちが一番に口をそろえて答えるのは「強くなりたいから」です。「何が強くなりたいのか」の問いかけに、子どもたちは「空手が強くなりたい」と答えます。しかし、上の帯に近づくにつれ、子どもたちのその答えは
「自分に強くなりたい」
に、変わっていることに気付かされます。「空手が強くなりたい」子どもたちの願いは同じです。ですが、稽古を続けていく中で空手が強くなるためには、まず自分に強くなければいけないということを感じているのです。
皆さんは自分自身のことをどの位ご存知でしょうか。「あなたの長所と短所を教えて下さい」と聞かれた経験は誰しも一度はあるかと思います。
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」
これは有名な孫子の兵法の一節です。相手と自分のことを正しく知れば、どのような戦いにも負けることはないという教えでもあります。この「己」とは、長所だけではなく短所も含めた自分自身のことでもあるのです。
私たちは普段の生活の中では、なかなか自分の短所と向き合うことは少ないと思います。しかし、道場では自分の短所でもある「内面の弱さ」と向き合う機会がとても多く、精神的な弱さが特に浮き彫りになります。
●稽古に行きたくないという怠け心
●もう自分は負けてもいいと思った諦めの心
●今日の稽古はこれ位でいいやと妥協した心
その他にも、短気、不器用、忘れっぽいなど
稽古を通じて子どもたちそれぞれがもっている「内面の弱さ」というものが顕著に表れてきます。
私たち人間は強く見えてとても弱いものです。他人に対して強くあっても自分自身に弱いのが人間です。そして人は無意識のうちに、嫌なことや苦手なこと、辛いことから逃げ出してしまいたくなるものです。自分の弱さを否定し、つい自分を正当化してしまいがちでもあります。誰しも弱さを認めたくはありません。
先生方は稽古の中で子どもたち一人一人の内面の弱さを見極め、指摘し指導します。
自分の弱さと正面から向き合い、そこから逃げ出さず戦うことが大事なのです。「敵は己の中にあり」見るべきは己の内面なのです。
「強い人」と聞くと、度胸があり身体的にも非のうちどころなどないような人を想像しがちです。しかし、道場とは強い人を更に強くするためだけの場所ではありません。目をそむけがちな自分自身の弱さによって自信をなくしている子どもたちに、自分の弱さに打ち勝つ「自分に負けない自分」になってもらう場所でもあるのです。
大人になるにつれ、弱さを指摘してもらう機会はそう多くはありません。しかし、その弱さに気付くことで人はいつでも成長できると思っています。「自分を変えるのは自分」まさにその言葉通りなのではありますが、時には同じ志(こころざし)をもった仲間に励まされながら、支えてもらうということ。また、弱さと戦う自分を評価してくれる道場は、自分を強く成長させてくれる場所なのです。
己の弱さと向き合い、真摯に行動し、改善し成長しようとする人に道場は協力を惜しみません。
【桑島道場(高松本部道場)】
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西山 静香 【国際空手道連盟極真会館香川県本部 桑島道場 指導員】
記事テーマ
平成24年度から中学校で武道が必修化されました。日本古来から伝わる武道には、ただ強くなるだけではなく「礼に始まり礼に終わる」という言葉がある様に、武士道精神は子供教育にも通ずるところが数多くあります。4歳~小学6年生の少年部空手指導員をしている現在、必修化された武道が教育とどの様に関わっているのかを知って頂ける機会になればと思っています。