先日、それは二人の息子たちと帰宅した際、自宅マンションのエレベーターでのことです。
そこには同じマンションに住む男の子が一人でエレベーターを待っていました。男の子は私たちを見つけると、とてもしっかりとした声で、
「こんにちは!」と、挨拶をしてくれました。私たちも「こんにちは」と、挨拶を交わしエレベーターに乗ろうとしたその時です。
男の子が「何階で降りますか?」と、尋ねてくれました。私は「ありがとう。〇階をお願いします」と、答えました。男の子は自分の階と私たちの階のボタンを押してくれたのです。
「何年生ですか?」 私が声をかけると、「はい。三年生です」と、にっこり笑い男の子が降りる階に到着すると、こちらを振り返り「さようなら!」と、会釈をしてくれました。
その時、両手に大きな荷物を抱えていた私は、その男の子のボタンを押してくれるというさりげない気配りがとても嬉しく感心したと同時に、とても印象に残った出来事でもありました。
このような気配りができるようになるためには、まず周囲や相手をよく見るという
「目配り」ができなければいけません。その次にもとめられるのが
「行動力」と「積極性」です。
「私がしなくても誰かがやってくれるだろう」
「私がしてもいいのだろうか」
というように、目配りはできているのにあと少しの行動力と積極性が足りず、気配りの機会を逃してしまうということは、とても残念なことであります。
「気配りのできる人」とは、まず相手を思いやることができるということが前提でありますが、少し厳密に言えば、「先が読める人」でもあります。武道におきかえれば、試合を想定した「組手稽古」ではよく「先手を取る」という言葉があります。これは、相手の動きを瞬時に察知し、相手よりも先に行動を起こすということであります。
相手をよく見る「目配り」
自分から動く「行動力」
その意志に迷いを生じない「積極性」
であります。この稽古だけで気配りのできる人になれるものではありません。しかし、空手の道場では子どもたちのさりげない気配りを見かけることが度々あります。
●稽古が始まる前に整列を促す子
●稽古に使用するミットの出し入れを先輩よりもはやく動く子
●ミットの持ち方を間違えている子に教えてあげている子
●入門したばかりの小さい子の靴をそっと揃え直してあげている子
●手の行き届いていない箇所を探し道場の掃除を行う子どもたち
このような至るところで子どもたちのさりげない気配りが見られます。これは特別に指導しているのではなく、子どもたち各々が率先して行っています。
【桑島道場(高松本部道場)】
道場で最も気配りに長けておられるのは黒帯の先輩方をはじめ、諸先輩方であります。子どもたちは「組手稽古」を通じて、気配りにもとめられる「目配り」「行動力」「積極性」を身に付けると共に、先輩方から受けたり目にする多くの気配りにふれることで、言われたことを言われた通りにしかできないのではなく、その半歩、一歩先を読み行動に移すことのできる力が養われているのだと思います。
子どもは親の言動や行動に興味を示し真似をします。やがて成長していく段階でその対象は友だちや身近な大人にまでむけられます。
そして子どもは周囲の状況にとても敏感です。
「誰かが~をして、喜ばれていた」
「誰かが~をして、褒められていた」
「自分が~をされて、助かった」
そのような状況もとてもよく観察しています。道場での先輩方の細やかな気配りの機会にふれることの積み重ねもまた「気配りのできる子」になるきっかけなのだと思います。
「気配りのできる人」は困っている人にも気付くことができ、勇気を出して手をさしのべてあげることのできる人でもあります。子どもたちには、エレベーターで出会った男の子のように、道場だけではなくご家庭、学校、社会生活の中でも気配りの心を大切にしてもらいたいと思っています。
【桑島道場(高松本部道場)】
☆桑島道場では
3月1日(日)~3月31日(火)の間
春季入会キャンペーンを実地しています。
詳しい内容は下記のリンク先からご覧下さい♪
★桑島道場HP→http://www.niji.or.jp/home/kuwajimadojo/
★桑島道場お知らせブログ→http://ameblo.jp/kyokusinkuwajima/
西山 静香 【国際空手道連盟極真会館香川県本部 桑島道場 指導員】
記事テーマ
平成24年度から中学校で武道が必修化されました。日本古来から伝わる武道には、ただ強くなるだけではなく「礼に始まり礼に終わる」という言葉がある様に、武士道精神は子供教育にも通ずるところが数多くあります。4歳~小学6年生の少年部空手指導員をしている現在、必修化された武道が教育とどの様に関わっているのかを知って頂ける機会になればと思っています。