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『言葉は身の文』/2015年2月

言葉はもう一つの履歴書

言葉は身の文 (ことばはみのあや)。

皆さんはこのことわざをご存知でしょうか。

私たちが普段使っている言葉にはその人の人格や品格が表れる。という意味です。言葉は「口の剣」とも言われており、刃物のように人を傷つける凶器にもなりうることがあるのです。

子どもたちに正しい言葉遣いを身に付けさせておくということはとても大事なことであります。言葉遣いは最低限のマナーでもあり、自分の履歴書でもあるのです。

言葉遣いの引き出しを備える

「先生、これみて」と、言っていた幼児が小学生になる頃には「先生、これを見て下さい」 と、丁寧語が言えるようにまでなります。しかし、「先生、こちらをご覧になって頂けますか」と、敬語が言える若者はどの位いるでしょうか。

私たちが子どもの頃、友だちとのコミュニケーションツールは自宅の固定電話でした。携帯電話とは違い、必ずしも友だちが電話口に応じるとは限りませんでした。

「△年△組の〇〇ですが、▢▢さんいますか」

「帰宅したら電話があったと伝えて下さい」

たどたどしい話し方ではありましたが、自分を名乗った上で用件を伝え、大人に対しての言葉遣いには子どもなりに気を付けていたように思います。以前は誰に対しても用いられている「友だち言葉」というものはなく、目上の人や先生に対して敬語を使うということは今よりもごく普通のことであったのではないでしょうか。

また、敬語の役割には「相手を敬う」ことの他に、「相手との距離を測るもの」として使われることもあります。世間でよく言われている友だち言葉は一見、相手との距離が縮まり親密度が増すように思われがちですが、相手との適切な距離感がなくなるということは時として、摩擦を生じることにもなりかねません。人によってパーソナルスペースは異なるのですから、初対面の相手に対してはなおのことです。相手や場面に応じた言葉遣いは必要なのであります。

 

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 【桑島道場(西讃本部丸亀道場)】

上下関係がもたらす相乗効果

江戸時代には「身分制度」というものが存在していました。偉い人(目上の人)に敬語は絶対でした。上下関係が明確であった為、その時代の子どもたちは幼い頃から敬語に慣れ親しんでいたといわれています。現在は身分制度の存在はありませんが、

社長-社員

先生-生徒

先輩-後輩

または親-子というように、上下関係は存在します。

空手の道場にも他の武道と同様に段位、級位による上下関係があります。そしてもう一つの上下関係は年齢です。当道場ではたとえ段位、級位が上であっても目上の人には敬語です。道場では先輩であっても経験豊富な年長者の方からは人生の先輩として学ぶことは多々あります。故に、目上の人を敬い敬語で接します。

※(年齢問わず一日でも先に入門した者から順に先輩、後輩と定めている道場もございます。)

特に子どもたちにとってこのようなコミュニティ(道場)は、先輩は後輩の面倒を見るという良い意味での上下関係ができ上がっていくと同時に、後輩は先輩を敬い自分もより上位を目指そうという向上心が芽生え、やがて新たに下位となった者に受け継がれていくのです。

それに伴い、自分よりも下位者を持つ者はそれに恥じぬような行いを常日頃から意識し、心掛けなければいけません。この関係は、双方が己を高めるという相乗効果をもたらします。

 

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【桑島道場(西讃本部丸亀道場)】

親しき中にも礼儀あり

「今の若者は正しい言葉遣いができていない」

言葉とは時代と共に変化していくものです。ある程度は致し方ない変化なのかもしれません。しかし変化するといっても変わってはいけないことは「礼を失する」ということです。慣れ合いから目上の人を敬うことや、親への感謝の気持ちが薄れつつある現在、幅広い年齢層の中で規律が定められ、礼節を重んじる道場という場は最適な教育環境であると思います。

冒頭でも述べたように「言葉は身の文」です。

目上の人を敬うという気持ちから自ずと言葉は変わってくるものです。言葉が変われば心が変わる。それは子どもたちにとっての人格形成を築いていく上でとても必要なことなのではないでしょうか。そのことが後に、品格を兼ね備えた人として成長するものであると思っております。

 

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 【桑島道場(西讃本部丸亀道場)】

Information/お知らせ

★桑島道場HP→http://www.niji.or.jp/home/kuwajimadojo/

★桑島道場お知らせブログ→http://ameblo.jp/kyokusinkuwajima/

Mama's profile/プロフィール

西山 静香

西山 静香 【国際空手道連盟極真会館香川県本部 桑島道場 指導員】

記事テーマ

心と体を育てます・礼儀作法も身に付く空手~武道と子供教育~

平成24年度から中学校で武道が必修化されました。日本古来から伝わる武道には、ただ強くなるだけではなく「礼に始まり礼に終わる」という言葉がある様に、武士道精神は子供教育にも通ずるところが数多くあります。4歳~小学6年生の少年部空手指導員をしている現在、必修化された武道が教育とどの様に関わっているのかを知って頂ける機会になればと思っています。

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