ハッピー・ノート.com

前回子どもに空手を習わせる理由の一つに「礼儀」が身に付くからということをお話ししました。その他にも「精神的に強くなってほしい」、特に女の子には「自分の身は自分で守れるようになってほしい」とその理由は様々です。

 「極真空手は怖そうだし痛くないの？」

私自身、息子たちに空手を習わせていると、この様な質問をされることが多々あります。寸止めの伝統派空手とは異なり、極真空手はフルコンタクト空手といわれ直接打撃制です。二人一組で行われる「組手」は試合を想定した稽古でもあります。相手に突きや蹴りといった打撃技を出すと同時に、相手からの技も受けます。安全面において手足に防具を着用していますが、フルコンタクト空手故、それには当然痛みを伴います。

文科省の問題行動調査によると、2013年度全国の小中学校などが把握したいじめは18万5860件。その中でも小学校は11万8805件で、二年連続で過去最多を更新したと発表されました。また、度を超えた暴力によって最悪のケースを招く事件も少なくありません。

今の子どもたちは他人の痛みにとても鈍感なのです。

叩かれたり蹴られたりするということはとても痛いことです。子どもたちは組手の中でその痛みを知り、相手の痛みを自分の身体を通じて知るのです。またその痛みを知ることで、相手に与える痛みの限度を直感的に理解できるようにもなるのです。

拳を交えることで人を傷つけるということ、また傷つけられるということがどんなに痛いことなのか、自分の心にはどのような痛みを伴うのかを感じ取るのです。そのことにより、無益な争いをすることなく自分を抑え最小限で解決できる心を学びます。

これはとても大切なことですが、実際に経験しなければ学ぶことができません。

 【桑島道場（高松本部道場）】

「危険なことはできるだけさせないようにする」

子どもを持つ親なら誰しもそう思うものです。しかし危険なことを避けてばかりいては、いざという時の危険に対応できません。初めて子どもにハサミや包丁を持たせる際、大人が側で見守ります。使い方と同時に、これはとても危ないものでもあるということを子どもに教えます。時には誤ってケガをしてしまうかもしれません。しかしその痛みを知ることで、使い方を誤るとこれはとても危険なものなのだということを理解します。

組手稽古でも必ず先生が見守ります。そしてこの拳は使い方を誤ると危険なものであるということを身を以て知るのです。そしてケンカが強くなるために稽古をしているのではないということ。その為に前回述べた「礼儀」を子どもたちに指導しているのです。

では痛みを伴わなければ人の痛みを知ることができないのかと言われれば、必ずしもそうではありません。相手の立場になって考える教育は、これに限ったことではありません。子どもたちの学びの一環としてご理解頂けたら幸いです。

【桑島道場（西讃本部）丸亀道場】