私が、極真空手という「武道」の道を歩み始めたのは、今から約13年程前になります。就職し、社会人としての日々を送っていた頃のことでした。当時の会社の先輩から、「一緒に何か習い事を始めてみませんか?」と、声をかけて頂いたことがきっかけで、せっかくなら未知の分野に足を踏み入れてみようと、職場から程近い、極真空手の道場の門をたたいたのです。運動は得意な方でしたので、迷いはありませんでしたが、『道場』という神聖な場所だけに、とても緊張したことを今でも覚えています。
「心と体を育てる」正に言葉通り、これまで執筆してきたことを踏まえた上でも、道場で学んだ多くのことは、武道教育として自身の子どもにも必ず役に立つであろうと、今現在、二人の息子たちと共に、また、一指導者としてもお世話になっております。
近年、社会問題にもなっている、子どもたちの犯罪やいじめ、自殺・・・私たち大人の目線から子どもたちを見た時、「現代の子どもたちは、何をするか分からない。何を考えているのだろうか・・・」と、思われたことはありませんでしょうか。
子どもたちは、今も昔もさほど変わっていないと思います。言うなれば、変わってしまったのは大人たちであり、子育てしにくいと言われている、今の社会全体なのではないでしょうか。未来を担うのは子どもたちですが、子どもを育て、その環境を整えるのは、未来を託す私たち大人の役目でもあるのです。
そして、子どもに礼儀を学ばせたい、強くなってもらいたいと願い、道場に入門されている、また、これから入門をお考えの親御様もいらっしゃることと思います。以前もお話しさせて頂きましたが、道場で学んだ礼儀や強さが道場だけのものになってしまうのではなく、普段の生活や社会生活に活かされなければ意味がありません。
「子どもにしつけを施す」・・・しつけという漢字は「躾」であり、「身なりを美しく」と書きます。このしつけという言葉は、着物を縫いはじめる際、美しく仕上げるために、しつけ糸で仮縫いをしておくという、着物の「しつけ糸」が起源となっています。子どもたちが本縫いをする前に、親が道標として、しつけ糸で仮縫いをしておくことで、着物を美しく仕上げることと同様に、子どもたちが本線から脱してしまったり、道を外れることがないようにするという意味でもあります。この「しつけ」は、礼儀を学ばせるにあたり、私たち親が、第一線に立ってするべきことなのです。
「子どもたちに教育を受けさせる」・・・教育とは、教育を受ける人の知識、技能、人間性を養ったり、能力や才能を引き出し伸ばすことであると言われていますが、「武道教育」とは、子どもたちが一方的に受け身になるのではなく、「共育」や「協育」であり「強育」であると私は思っております。発音は同じですが、意味することは違ってきます。
「共育」・・・喜びや悲しみ、痛みを共有し、お互いが尊重し理解し合い、共に育っていくということです。
「協育」・・・「協」という漢字は三つの力(ちから)を+(プラス)すると書きます。社会で言えば、【学校・家庭・地域】であるように【道場・家庭・子どもたち】が力を合わせ、お互い支え合いながら育っていくということです。
「強育」・・・社会問題でも挙げられた、子どもたちの犯罪、いじめ、自殺。また、大人になっていくにしたがって、直面するであろう様々な誘惑、困難などに打ち勝つことのできる、強い心と体を育てるということです。※(強いる・強要する教育ではございません)
礼儀もまた然りです。最初は、小さな声でしか挨拶をすることができなかった子どもたちは、挨拶が返ってくる喜びを知り、ありがとうと感謝をされることで、誰かに必要とされる喜びを知る。勝つことの喜びは、反省を踏まえて驕ることなく、負けて未熟さを教えて頂いたと感謝する。そしてその喜びや感謝を与える人になる・・・それは礼節の第一歩であり、小さな喜びの一つ一つの積み重ねが、自信に繋がり、稽古を通じて強い心と体を育てるのではないでしょうか。
精神的にも肉体的にも、己と向き合うことの多い武道ですが、『共』に『協力』し『強く』なる。これが、私が想い願う武道教育であります。
この一年間、「武道と子ども教育」(計24回)をテーマとし、執筆する機会を与えて頂きましたこと、そして、ご一読下さり、応援し、支えて下さった皆様に、心よりお礼申し上げます。正直、空手(武道)歴も浅く、未熟な私が、武道と教育との関わりについて執筆してよいものかと、自問自答を繰り返してきた一年でもありました。教科書ではなく、これが正解というものではありませんが、自身が空手を通じて学び感じ、子どもたちに伝えていきたい想いであるとご理解して頂ければと思います。
武道として、空手の道は一生かけて追い求めるものであり、「生涯修行」とも言われております。故に、武道教育とは奥深く、武道の魅力や素晴らしさは、ここでは語りきれない程に、日々出会うものであり、稽古を通じて一生涯、学び知ることができるでしょう。社会人になって始めた空手。もっと早く出会いたかった・・・と、空手を学ぶ子どもたちを見る度に、羨ましくも感じます。一人でも多くの子どもたちが、真新しい道着に袖を通し、武道と出会い、空手に出会ってよかった!と、思ってくれることを願っております。今後は、皆様の目で、体で、心で、空手の魅力や素晴らしさを感じて頂けたら幸いです。
一年間ありがとうございました。
押忍。
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秋季親子カラテ教室&当日限定入会キャンペーンを実施しています。
【日時】平成27年11月15日(日)
【場所】川東コミュニティーセンター
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西山 静香 【国際空手道連盟極真会館香川県本部 桑島道場 指導員】
記事テーマ
平成24年度から中学校で武道が必修化されました。日本古来から伝わる武道には、ただ強くなるだけではなく「礼に始まり礼に終わる」という言葉がある様に、武士道精神は子供教育にも通ずるところが数多くあります。4歳~小学6年生の少年部空手指導員をしている現在、必修化された武道が教育とどの様に関わっているのかを知って頂ける機会になればと思っています。