前回お話しさせて頂いた「挨拶」。この挨拶を行う上で、身に付けなければいけないのは「姿勢」です。広辞苑で「姿勢」という言葉を調べてみると、
①からだの構え
からだのさま
からだつき
②ことにあたる態度
と明記されています。
見た目の格好、立ち姿などの「目に見える姿勢」。心構えや気持ち、決意などの「目に見えない姿勢」。一見、相反するように思える二通りの意味を表していますが、この二通りの意味を持つ姿勢という言葉はとても深い繋がりを持っているのです。
学校でも「人の話を聞く時は背すじを正しましょう」と教えています。私自身、息子たちに「きちんとママのお話を聞いていますか?」と注意することがあります。
これは身体的な姿勢ができていないということは、精神的な学ぶ姿勢ができていないということと同じであると考えられるからです。皆さんも人の話をきちんと聞かなければいけないと感じた時、自然と背すじが正された経験があるかと思います。
少年部指導にたずさわり、入門した子どもたちを見て思うのは、正しい姿勢ができていない子どもがとても多いということです。ほんの少しの時間、人の話を聞く時はできているように見えますが、それを持続するということができていません。姿勢は様々な要因によって変化します。なかでも筋力の低下は大きな要因の一つです。その原因は、外遊びや、運動不足によってもたらされているとも言われています。また、テレビゲーム、携帯電話などの使用により下を向く時間の増加などもあてはめられます。今の子どもたちは本来使うことのできる身体を使うことなく生活しているのです。
「成績の良い子は姿勢の良い子が多い」
「成績の悪い子は姿勢の悪い子が多い」
というお話を聞いたことはありますか?
腰が曲がっていたり、猫背になると胸が圧迫され呼吸が浅くなります。それによって体の血液循環も悪化し、体や脳に行き渡る酸素が不足することで集中力が低下するのです。姿勢を良くすることは血液循環を促し、酸素が供給され集中力も向上すると言われているからなのです。
故に、身体的な姿勢ができていないということは、精神的な学ぶ姿勢ができていないということなのです。
【桑島道場 香川町道場 】
武道にたずさわっている方は姿勢が良い印象を受けます。武道では姿勢が重要な要素であり、空手稽古の特徴である「型稽古」や「組手」はこれ無くしては成立しません。美しい型、正しい技を習得する上で身体の中心とも言われる「軸」を常に意識することが求められます。
「姿勢の乱れは心の乱れ」
と言われているように、礼節を重んじる武道では、姿勢の悪いことはそれだけでたしなめられるのです。正しい姿勢を身に付けることによって物事に取り組む姿勢や学ぶ姿勢、「心の姿勢」を養うのです。姿勢が正されると、自然と大きな声もでてきます。大きな声で元気よく挨拶ができることにも繋がってくるのです。
子どもたちには身体的な姿勢から精神的な姿勢という「心の姿勢」を身に付けてほしいと思います。皆さんのお子様の姿勢を今一度、見直してみませんか?
【桑島道場 香川町道場】
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西山 静香 【国際空手道連盟極真会館香川県本部 桑島道場 指導員】
記事テーマ
平成24年度から中学校で武道が必修化されました。日本古来から伝わる武道には、ただ強くなるだけではなく「礼に始まり礼に終わる」という言葉がある様に、武士道精神は子供教育にも通ずるところが数多くあります。4歳~小学6年生の少年部空手指導員をしている現在、必修化された武道が教育とどの様に関わっているのかを知って頂ける機会になればと思っています。