空手に限らず帯を締める武道では、有段者は黒帯を締めます。武道を志す人にとって黒帯とは憧れであり、目標でもあるでしょう。
道場に入門すると、最初に与えられるのは白帯です。級位でいうと無級になります。その後、昇級審査を経て、10級~1級へと級位ごとに帯の色も変わっていきます。これらの帯を色帯といいます。1級を取得し、師範の許可を頂けることにより、昇段審査を受審することができます。合格することで、晴れて初段と認められ、黒帯を締めることを許されるのです。
入門して初めて締めた白帯が、長年の稽古を通して血と汗と涙で黒ずんでいき、有段者になる頃には帯が黒くなっているというのが起源だともいわれています。
審査内容は主に「筆記」「基礎体力・柔軟性」「基本・移動」「型」「組手」の習熟度を審査します。また、礼儀を欠いていないか、大きな声で挨拶ができているか、気合が入っているか等も審査基準になります。
※(当道場では、年4回審査会を実地しております。小学6年生までの少年部では、黒帯への昇段審査会は行っておりません。中学生以上の一般部が対象となっております。また、帯の色や審査内容は流派によって異なります。)
普段の稽古を怠らなければ、審査を受審することができます。しかし、審査となると緊張などから間違えてしまうこともあるでしょう。普段からできていないことは、本番ではできないものです。審査の態度は、毎日の稽古への取り組みや、姿勢が問われる場なのです。
仮に、先生方から審査の許可が頂けなかったり、不合格であったとしても、自分が努力をしなければ目標を達成できないということを知るきっかけにもなるでしょう。
【桑島道場(高松本部道場)】
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審査会が近づくと「自分にはまだ早い」と言う子もいれば、中には「お父さん、お母さんに聞いてみる」と言う子も見受けられます。日程や、金額の面から相談するのは当然のことですが、「自分が受審してもよいか分からない」また、子ども本人より帯の色にこだわる保護者の方から受審を希望されるという話も耳にします。
帯とは与えられるものではなく、自分から取りにいくものだと思っています。そして空手をしているのは子ども本人であり、帯を締めるのも親ではなく子ども本人です。
審査とは、一生懸命に稽古をしていく中で「私は前よりこれだけ上手くなりました。強くなりました。成長した姿を見て下さい。」という場でもあるのです。
【桑島道場(高松本部道場)】
以前「一つ上の帯に昇級できたのは、その帯の実力があるからではありません。その帯に見合った努力をしてくれるであろうと期待しているから新しい帯を渡すのです。その帯にふさわしく、恥ずかしくない様、より一層努力をして下さい。」と、先生方が子どもたちにお話されていました。
新しい帯と賞状を手にした子どもたちは嬉しそうです。確かに帯が一つでも上がるということは、子ども達の自信や、やる気にも繋がってきます。しかし、それに伴うように、空手の技術だけではなく、礼儀や言葉遣いなども、後輩達のお手本になっていかなければいけません。大切なことは、目の前の目標を達成していくまでに、どのように努力し、自分を成長させていけるかなのです。
【桑島道場(高松本部道場)】
「子は親の背中を見て育つ」といわれていますが、道場では上の帯から順に、前の列に並ぶ先輩達の背中を見て成長するのです。
【桑島道場(高松本部道場)】
黒帯を取得するための昇段審査は厳しいかもしれません。故に、空手の黒帯とはそれだけ価値あるものだと思っています。それは、諦めず、一生懸命に努力をした人だけが締めることを許される帯であるからに他なりません。しかし、黒帯を締めることがゴールではありません。武道では、黒帯を締めてからが、初めて新しいスタートであると言われているのです。
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西山 静香 【国際空手道連盟極真会館香川県本部 桑島道場 指導員】
記事テーマ
平成24年度から中学校で武道が必修化されました。日本古来から伝わる武道には、ただ強くなるだけではなく「礼に始まり礼に終わる」という言葉がある様に、武士道精神は子供教育にも通ずるところが数多くあります。4歳~小学6年生の少年部空手指導員をしている現在、必修化された武道が教育とどの様に関わっているのかを知って頂ける機会になればと思っています。