春が過ぎこの時期を迎えると、真新しい道着に身を包んだ子どもたちが道場に仲間入りすると共に、残念ながら道場を後にする子どもたちもいます。
小学生は中学校、中学生は高校へ「部活」「受験勉強」等、新しい環境や進路を選択する時期でもあります。時には黒帯の一歩手前、志半ばで辞めていく子どもたちを見ることもありました。子どもたちには本業があり、それは子どもや親にとっても大きな理由の一つでもあるでしょう。各ご家庭によって理由は様々です。一概に言えるようなことではありません。
【桑島道場(西讃本部)丸亀道場】
当然、習い事にも向き不向きがあります。これからの長い人生において、辞めさせた方がその子のためになると判断したなら、辞めるという選択も大事なことです。しかしそれは、親子でしっかりと話し合い、考えた上での結論であるということが重要なことなのではないかと思います。本人にとって明確な目的や意志があり、出した答えであれば、それはその子にとって新たな道への第一歩となるでしょう。
「子どもがやりたいと言ったから」
「子どもが辞めたいと言ったから」
「好き・嫌い」「楽しい・楽しくない」ということが、まだはっきりとは理解できない子どもに、
「子どもが決めたことだから」
「子どもの意志を尊重したい」
と、子どもに決定権を委ねる親御さんも多いのではないでしょうか。判断能力がまだ未熟な場合は、親が見極めてあげることも必要なことです。しかし、子どもが自分で決めたことを自分で放棄してしまうということ。これは少し綿密に考えなければなりません。
「稽古が辛いから」「遊びたいから」「仲良しのお友達が辞めたから」楽をしたいというような理由であれば、それは本人にとってマイナスです。嫌なことから逃げだしてしまっていては、いつかまたどこかで同じことを繰り返してしまうことでしょう。
実際、習い事は楽しいことばかりとは限りません。子ども故、行きたくない、辞めたいと投げ出してしまうことも一度や二度ではなく、休むことを余儀なくされることも多いでしょう。無理して強制するものでもありません。その子に応じたペースで良いと思います。ですが、時には少し無理をさせて続けさせることで、身に付くものがあるのも事実です。
【桑島道場(西讃本部)丸亀道場】
何かを身に付けるためには「継続」抜きにしては成し得ませんが、一つのことを継続するということは簡単なようで容易なことではありません。
イソップ物語の代表作でもある「うさぎとかめ」
自分の力を過信し油断した足の速いうさぎが、地道に努力を怠らなかった足の遅いかめに敗けてしまうというこのお話。
物語の教訓として「努力に勝る天才なし」「継続は力なり」などが言われていますが、かめばかりを見ていたたうさぎ。そして、ひたすらゴールだけを見ていたかめ。明暗を分けたのは、自分が求めているものに対して、それ相応の苦労を払ってでも手に入れたいものなのか、どれだけ情熱を注げるのかという、一つの目標に向かって進むためには欠かすことのできない「忍耐力」と「集中力」でもあるのです。
極真空手は武道です。礼節を重んじ、身体的な強さ、精神的な強さの向上はもとより、厳しい修行を通じ、多くの困難や、苦難を乗り越えていく経験を積み重ねることにより、継続に求められる「忍耐力」「集中力」が養われていくのだと、武道を志す者の一人として日々実感しております。
「継続は力なり」使い古された言葉ではありますが、継続に必要な忍耐力や集中力は「部活」「受験勉強」「仕事」等、どの場面においても必ず関わってきます。人が生きていく上での術を多く学ぶことのできる武道。武道教育として、これから大人になっていく子どもたちにとっての、将来大きな財産の一つになると思っています。子どもたちには「空手を学んでよかった」と思える日が、必ず訪れるであろうと信じています。
【桑島道場(西讃本部)丸亀道場】
★桑島道場HP→http://www.niji.or.jp/home/kuwajimadojo/
★桑島道場お知らせブログ→http://ameblo.jp/kyokusinkuwajima/
西山 静香 【国際空手道連盟極真会館香川県本部 桑島道場 指導員】
記事テーマ
平成24年度から中学校で武道が必修化されました。日本古来から伝わる武道には、ただ強くなるだけではなく「礼に始まり礼に終わる」という言葉がある様に、武士道精神は子供教育にも通ずるところが数多くあります。4歳~小学6年生の少年部空手指導員をしている現在、必修化された武道が教育とどの様に関わっているのかを知って頂ける機会になればと思っています。