それはある試合会場でのこと。その日は、小学生から高校生までが多数出場する空手の試合であり、私も息子たちと会場へと足を運んでいました。そして、今から始まるであろう目の前の試合に、私と息子たちは思わず言葉を失ってしまいました。
その小学生の試合には、どちらも保護者と思われる方が子どものセコンドに付いておられ、試合開始と同時に、一方のセコンド側から怒号ともとれる掛け声が聞こえてきたのです。
「相手は弱いぞ!」
「足を折れ!」
「倒せ!」
思わず耳を疑うようなその言葉は、対戦相手の子どもにもきっと聞こえていたことでしょう。途中から戦意喪失になってしまったその子は、ヘッドギア越しからでも泣いていることは容易に想像ができ、またそのお母さんも目に涙を浮かべておられました。
その涙は子どもが負けたからでしょうか・・・大勢の観客の中、一生懸命に戦う我が子にむけられた心無い言葉を、子どもやお母さんはどのように受け止められたのでしょうか。今となっては、その親子の心情を伺い知る術はありませんが、私は同じ空手を学ぶ子どもの立場として、子を持つ親として、胸が締め付けられるような出来事でした。
中には親が負けた我が子に対して罵倒したり、手を上げるという話を耳にします。どの大会においても、保護者や観客のマナーは守られており大変素晴らしい大会ですが、残念ながら少なくとも、実際このような光景を目にするということが現実なのであります。
空手の大会には、子どもたちだけではなく、保護者、観客の方たちにも守らなければならないルールがあります。注意事項は主に下記のように明記されております。
【大会注意事項】(一部省略・抜粋)
①相手選手を中傷するような言葉や態度での応援
②負けた選手に対して過剰な怒号や体罰
③判定に対して主催者、審判団を誹謗中傷、その指示に従わない行為
④セコンド・応援者としてふさわしくない服装、態度は厳禁
⑤指定された場所以外での喫煙、路駐駐車、各自でのゴミの持ち帰り等、公共マナーを守ること
別の試合会場では、バラバラに散らかったトイレのスリッパを揃えなおしている親子を見ることがありました。「〇〇ちゃん直しなさい」ではなく、お母さんが揃えなおしているのを見た子どもが一緒になって行っていたのです。
幼児の頃は、周囲の大人の行動を模倣する時期です。先生からのお願いや道場のルールを守る姿を親自身が実践し、子どもに示さなければならないのです。当然、公共ルールもまた然りなのであります。
空手を学ぶために道場にくる子どもたちは、様々な目的を持った子どもたちが集まってきます。しかし、子どもがまだ小さい頃はその目的の大半は親の希望であることが多いでしょう。
特に礼儀が重んじられる武道、その礼儀を子どもに学ばせたいということが親の願いであるとするならば、指導者、保護者、子どもたちが同じ方向性を持ち、三位一体で取り組んでいかなければなりません。
以前にもお話しさせて頂きましたが、私たちが思っている以上に子どもたちは大人の動向を観察しています。親の礼儀が整っていれば、ある程度の礼儀は自然と子どもに身に付くものです。もちろん道場でも礼儀は身に付くでしょう。しかし、多くの時間を共にする家庭の中や、親の姿からはそれ以上に多くのものを学びます。礼儀が整っている親であるからこそ、子どもは見習う点を見つけることができ、より多くの礼儀を習得するのです。
道場で学んでいる礼儀を子どもたちが復習、実践できるように親である私たちも一緒に取り組むことは必要不可欠であります。子どもたちにとって一番のお手本となるのは親なのです。子は親の鏡であることを忘れずにいて下さい。そして私たち親も道場の看板を背負っているのだということを今一度、再認識して頂きたいと思っております。
☆桑島道場では
2015桑島道場内少年交流試合が開催されます。
お近くにお越しの際には、是非ご観戦下さい。
【開催日】平成27年4月26日(日)
【開会式】 10:00
【場 所】高松市総合体育館 第2武道場(3F)
【アクセス】香川県高松市福岡町4丁目36番1号
【お問い合わせ】
極真会館香川県本部桑島道場事務局内
2015桑島道場内少年交流試合実行委員会
【住 所】 香川県高松市上之町3-9-31
【TEL】 (087)868-1270
【FAX】 (087)868-1440
3月1日(日)~3月31日(火)の間
春季入会キャンペーンを実施していましたが
4月1日(水)~4月30日(木)迄
引き続き実施しております。
詳しい内容は下記のリンク先からご覧下さい♪
★桑島道場HP→http://www.niji.or.jp/home/kuwajimadojo
★桑島道場お知らせブログ→http://ameblo.jp/kyokusinkuwajima/
西山 静香 【国際空手道連盟極真会館香川県本部 桑島道場 指導員】
記事テーマ
平成24年度から中学校で武道が必修化されました。日本古来から伝わる武道には、ただ強くなるだけではなく「礼に始まり礼に終わる」という言葉がある様に、武士道精神は子供教育にも通ずるところが数多くあります。4歳~小学6年生の少年部空手指導員をしている現在、必修化された武道が教育とどの様に関わっているのかを知って頂ける機会になればと思っています。