4月も半ば、子どもたちも新しい環境に慣れたころでしょうか。
最初は不安でたまらなかった園や学校も、次第に友だちも増え、いつの間にか子どもたちはその世界に溶け込んでいます。
今回ご紹介する絵本は、園や学校などの「子どもたちだけの社会」のワンシーンを切り取った作品です。
保育園では? 幼稚園のバスの中では? そして、学校のクラスでは・・・?
親の目線で、時には子どもにかえって、ぜひ一緒に楽しんでください☆
こぶたほいくえん
なかがわりえこ ぶん
やまわきゆりこ え
2001年
福音館書店
800円+税
ぐりとぐら を描かれている 中川先生と山脇先生姉妹の作品です。
あるところに、三つ子のこぶたがいました。
春に生まれた、こぶたです。
三びきはとっても元気いっぱい!
元気が良すぎて、ちょっとお父さんとお母さんが困るくらいです。
そこでお父さんとお母さんは、三びきを、保育園にあずけることにしました。
行ってみるとび~っくり!!
こぶたがいっぱい!!!
保育園にはお砂場もあって、滑り台もあって、おままごとのセットもありました。
先生、おはようございます!
さあ、保育園のはじまりです。
しかし三びきのこぶたは・・・
そうです、初めてのお預かり、やっぱり悲しくなってしまいますよね。
しかしすぐに先生がきて・・・
さらに、見守っていてくれたお友だちが、そっとこぶたたちに話しかけてくれました。
ぼくのところにおいでよ
わたしのところに・・・
初めて出会ったお友だちの優しさから、三びきは次第に、保育園の面白さを見つけていきます。
今月、保育園や幼稚園に通い始めたお友だちは、寂しくて涙をながす子もいるかもしれません。
三びきのこぶたたちのように、だんだんと、園に慣れて、お友だちや先生と楽しく過ごせるといいですね。
保育園から帰るころには、すっかり園が大好きになりました☆
おおやまさん
川之上英子 さく・え
川之上健 さく・え
2013年
岩崎書店
1300円+税
舞台は幼稚園です。
とは言っても、園の中のお話ではありません・・・
園によっては、「バス」で通園しているお友だちもいますね。
その「幼稚園バス」で毎日会うのは・・・
誰かな?
誰かな、誰かな?
ひとり、なんだか怖~い顔をしたおじさんがいます。
こんな怖い顔した人、園にいたかなあ・・・
あ!!
正解は、ぼくの園バスの運転手さん!
名前は、おおやまさん です。
おおやまさんは、いっつも厳しい顔をしています。
にっこりとも笑いません。
ええ、おしゃべりもしませんよ・・・
だから、だから
おおやまさんのこと、みんなはどう思っているかって。
それはね・・・
だ・け・ど!
あるとき、ぼくは見てしまったのです
おおやまさんの、ひみつを!!
あんなに怖い顔をしているおおやまさんがね・・・
にこりともしない、おおやまさんがね・・・
知られざる、おおやまさんの大きな秘密。
でもね。
ぼくだけかと思ったら、なんと、あの子も、その子も・・・
愛すべき、バスの運転手さん。
おおやまさん!
ドキドキした気持ちで読み始めたものの、笑いが自然とこみあげてくるこの絵本。
そして何より、優しい気持ちになっていきます。
ほっこりした気分で楽しんでください☆
1ねん1くみ1ばんワル
後藤竜二 文
長谷川知子 絵
1984年
ポプラ社
1000円+税
4月は、真新しいランドセルを背負って、目を輝かせて登校している一年生をよく見かけますね。
学校は、楽しいですか?
先生はどんなひとですか?
勉強はたいへんですか?
お友だちは、できましたか?
教室は、いろいろなことを知ったり、感動したり。
そして、様々なお友だちといっしょに生活をするところでもあります。
これからどんなお友だちと、どんな体験をするのでしょう。
1ねん1くみ1ばんワルって、誰だかしってる?
ぼくはね、知っているよ。
くろさわくん。
住んでいるところでも、ちょっとしたゆうめいじん。
幼稚園のころから暴走族で・・・
自転車に乗ったくろさわくんが、あそんでいるぼくたちめがけて突進してきたり。
そりゃあ、キャーキャー!!って、必死で逃げるよ。
でも、くろさわくんは、おかまいなし。
どこだって逃げたぼくたちに向かって、乗っていた自転車をかついでどんどん上ってくるんだ!!
くろさわくんは、元気いっぱい。
元気いっぱいで、やんちゃで、いたずら好きで。
なにをするのも、はちゃめちゃ!
同じクラスの友だちは、みんな振り回されていきます。
クラスには、色々な子がいます。
口だけ達者な子
傍観している子
はやしたてる子
そして、ちょっぴり泣き虫な子
くろさわくん、とんでもないことばっかりするんだけど、でもね、じつはね・・・
ぼくはひそかに、思っていることがあるんだよね。
自分とはまったく違った友達に、戸惑いながらもなんとなく気持ちを沿わせていこうとする、ぼく。
飾り気のない、こどもらしいこどもでもあるくろさわくん。
くろさわくんを中心に、さまざまな出来事をぼくたちは体験していきます。
全25冊の「1ねん1くみ」シリーズ。
このお話は、以前国語の教科書にも採用されていました。
こどもたちそのままの心が描かれたこの物語を通して、笑ったり、怒ったり、泣いたり、喜んだり。
そんな体験をたくさんしてほしいです。
そしてなにより、今一緒にすごしている教室のお友だちみんなと、たくさん色々な思い出をつくってほしいと思います☆
局アナnet きっずくらぶ アナウンスブック
発声のきほん
常世晶子 茂木亜希子 文
山本珠海 たかのじゅんこ 国枝麻里香 絵
2014年
局アナnet株式会社
740円+税
全国の局アナ出身者でつくる、日本最大規模のネットワーク・局アナnet。
その局アナnetの中で、絵本の読み聞かせやアナウンス指導など、子どもたちのためのコンテンツづくりに取り組んでいるのが、局アナnetきっずくらぶです。
そのメンバーの中から、常世晶子アナウンサーと私の二人で、「発声のきほん」と題したテキスト本を出版させて頂きました。
2014年11月9日(日)、2015年2月1日(日)、4月5日(日)に、未来屋書店幕張新都心店みらいやのもりにて、イベントが開催されました!
ご参加いただいた小学生の皆さん、ありがとうございました。とても楽しんでいただけたようで嬉しいです♪
次回は6月7日(日)に開催される予定です。
日にちが近くになりましたら、こちらで詳細が発表されます↓
http://makuharishintoshin-aeonmall.com/news/event/2383
お近くの方はぜひご参加ください!
このテキストは、呼吸法や顔の体操、五十音の練習から詩・早口言葉までさまざま折り込まれています。
発声を学んで話し方に自信がつくと、人と話したり、思っていることを表現することが楽しくなります。
ぜひ、本を手に取って楽しんでいただきたいと思います☆
アマゾンでも好評発売中!
http://www.amazon.co.jp/dp/4990815912
よろしくお願いいたします☆
茂木亜希子
茂木 亜希子 【絵本ナビゲーター・保育士・司会】
記事テーマ
何気なく手に取った絵本が、子どもの心をつかみ、大人の私たちの心をも揺さぶることがあります。読み語られる一冊一冊を通して、子どもが体験する世界は広がり、その体験をもとに想像力も豊かに育ってゆきます。昔から読み継がれてきた絵本、ユニークで不思議な絵本、心に響くあたたかい絵本、今読みたい旬の絵本など、愛される絵本を様々ご紹介していきます。