医療費が3割負担で済む「健康保険」の制度。小さいお子さんをはじめ、家族の健康を守る上で、なくてはならない制度ですよね。
今回は、中でもママに知っておいてもらいたい制度を取り上げてご説明します。
まずは、「傷病手当金」という制度。聞いたことありますか?
これは、プライベートでのケガや病気が原因で、働くことができず、無給になってしまった場合、お給料額の約3分の2を支給してくれる制度です。
(ちなみに、お仕事中や通勤途中でのケガや病気は、『労災保険』からお金が支給されます)
例えば、月給が額面20万円で、会社の健康保険に入っていた、A子さん。
友だちと出かけたスノーボードで、足を骨折。2ヵ月出社することができませんでした。
既に育児などで有給休暇は使い果たしてしまっていたため、この2ヵ月は完全に無給・・・。
2ヵ月間とはいえ、無給となると、家計には大打撃・・・!
こんなとき、健康保険の「傷病手当金」の制度が使えます。
A子さんの場合、休んでしまった2ヵ月間分、月給の20万円の3分の2、ひと月あたり約13万円が支給されます。
この制度は、お休み期間開始から、最大1年6ヵ月まで使うことができます。
また基本的には「国民健康保険」に加入する人は支給が受けられず、会社の健康保険に加入する人のみです。
ママだけでなく、パパに万一のことがあったときも、こんな制度があることを知っておくとだいぶ心強いですよね。
ただし、この「傷病手当金」がもらえている間も、別に健康保険料・厚生年金保険料は支払わなくちゃいけない、ということに注意が必要です。
おそらく、後日会社宛に振込などの方法で支払うことになるでしょう。
お休みしている期間が長ければ長いほど、この負担は結構大きくなるので気をつけて下さいね。
(ちなみに雇用保険料は、お給料がゼロの場合は、保険料も『ゼロ』になります。)
また、健康保険には「出産手当金」という制度もあります。
こちらもやはり「国民健康保険」の加入者は利用できず、会社勤めのママで、会社の健康保険に加入する方が使える制度です。
会社に勤めるプレママは、出産予定日の6週間前になると「産前休業」、出産後8週間は「産後休業」をとることができます。
これらを合わせて「産休」と呼びますが、この期間は、会社からお給料が出ない場合がほとんどです。
こんなとき、健康保険から「出産手当金」として、お金を受け取ることができます。
金額は、傷病手当金同様、お給料の約3分の2です。
しかも最近制度が改正されて、この「産休」期間中は、健康保険料・厚生年金保険料が免除されることになりました。
もともと「育児休業」略して「育休」中は保険料免除の制度があったんですが、以前は「産休」中は保険料は支払う必要があったんです。これは結構大きい改正です。
「産休」中に支払う保険料の負担が減ることで、プレママ期間をより楽しめますね。
ちなみにこの「産休」は、「育休」と混同される方が多いので、気をつけて下さいね。
「産休」の間は、健康保険から「出産手当金」、「育休」の間は、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。
出産後の、「住民税」にご注意下さい!
「住民税」は、基本的に前年度にもらったお給料の額で、税金の金額が変わります。
なので、会社勤め時代の高いお給料額を基に、住民税の金額が計算され、翌年に支払わなくてはならなくなります。
妊娠を機に会社を辞めて無給になったママはもちろん、「育休」をとるママも注意が必要です。
「育休」中は「育児休業給付金」が出るとはいえ、もらえる金額はお給料の額よりは少ないので、住民税の負担が重く感じられます。計画的に、事前に資金をためておいて下さいね。
★★「ハッピー福祉塾in習志野」で講師を務めます★★
習志野商工会議所ほか主催の「ハッピー福祉塾in習志野」。
福祉の分野で開業したい!とお考えの方向けに、資金繰りや税務、様々なノウハウをお伝えします。
人事労務の分野で私もお話しさせて頂く予定です。
http://www.narashino-cci.or.jp/wp/wp-content/uploads/2014/11/fukushijuku.pdf
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【神谷綾社会保険労務士事務所HP】http://www.aya-sr.com/
神谷 綾 【社会保険労務士】
記事テーマ
「社会保険」や「年金」っていうと、なんとなく難しいことのよう…。でも実は、就職や退職、妊娠出産、病気やケガなんていう、様々なライフイベントごとに、私たちをいろいろ助けてくれるんです。もらえるお金。やっておくべき手続。知ってると、ちょっとトクするマメ知識。そんな「社会保険制度」について、ママの目線からわかりやすくお伝えします。