前回、年金には「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3つがあるとお伝えしました。
そのうち、今日は「障害年金」についてお伝えします。
まず最初に「障害年金」についてよくある誤解3つ。
①障害年金は、障害者手帳を持ってないと出ないんでしょ?
②障害年金は、相当ひどい状態じゃないと出ないんでしょ?
③障害年金は、決まった病気じゃないと出ないんでしょ?
実はこれ、すべて答えは「いいえ」なんです。
まず①について。
障害年金は、障害者手帳の所持の有無には関係ありません。
障害年金の基準に当てはめて、認定されれば、たとえ手帳がなくても支給はあり得ます。
そして②について。
障害年金は、障害等級とは別の基準で判定されます。
「障害」というと、どうしても「相当ひどい」状態を想像してしまいますが、障害年金の基準にさえ当てはまれば、もらえる可能性があります。
逆に、障害者手帳をお持ちで、そちらで●級と認定されていても、障害年金で同じ等級の金額がもらえるかというと、それは違う可能性があります。
そして③について。
障害年金は、ほぼすべての傷病で支給されます。
「障害」でイメージするのは、「車いす利用」など、体が不自由になってしまった状態、という方も多いかと思います。そうした状態ももちろんですが、その他の病気やケガでも、長期療養で生活やお仕事がままならなくなってしまった場合に、もらうことができます。
例えば、がん、心臓の病気、脳出血など、ほとんどの病気が対象です。
障害年金には、「障害基礎年金」「障害厚生年金」「障害共済年金」の3種類があります。
その障害の原因となった病気・ケガで、初めて病院を受診した日に、その人が加入していた年金制度によって、もらえる年金が違ってきます。(初診日とよびます)
障害年金の種類は下の通りです。
それぞれ初診日に、
★国民年金の加入者 ⇒ 「障害基礎年金」
★厚生年金保険の加入者 ⇒ 「障害基礎年金」&「障害厚生年金」
★共済年金の加入者 ⇒ 「障害基礎年金」&「障害共済年金」
が支給されます。
(厚生年金保険と共済年金は、同時に国民年金にも加入している状態なので、『障害基礎年金』も一緒にもらうことができます)
障害年金の種類によって、それぞれ1~3級の等級があります。
「障害基礎年金」には1級と2級、「障害厚生年金」「障害共済年金」には1~3級があり、もらえる金額がそれぞれ違います。
例えば、初診日に会社員であるAさんが、障害状態になってしまった場合は、このような形です。(H26年度)
この場合は、Aさんは会社員ですので、厚生年金保険の加入者であったため、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」をもらうことができます。もらえる金額は、障害の状態によって違います。
ちなみに、もらえるのは基本的にこの金額ですが、ずいぶん前から障害状態だったと認められれば、5年間分まではさかのぼって請求できます。
例えば、障害等級1級の人が5年のさかのぼりが認められれば、約480万円もらえます。
これは結構大きいですよね・・・!
なお、障害年金をもらうためには、きちんと年金の保険料を納めておかなければいけません。
条件は次の通りです。
(1) 初診日のある月の前々月までの2/3以上の期間、保険料が納付or免除されていること
(2) 初診日に65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に、保険料の未納がないこと
ちなみに、保険料の納付条件は「初診日」が基準です。
万一、年金の保険料をずっと滞納してしまっている間に、不慮の事故などで障害状態になってしまったら・・・!
この納付条件を満たしていないと、障害年金は一銭ももらうことができなくなってしまいます。
いかがでしたか? 障害年金は、意外と「身近な存在」です。
この年金は、例え障害状態であっても、そのまま黙っていてはもらえません。
請求しないと、一生もらうことはできないのです。
病気やケガで困ってしまった時、制度を知っているか知らないかで、大きな差が出てきてしまいます。
請求は少々面倒かもしれませんが、いざ!という時に備えて、しっかり覚えておきたいですね。
★★こちらもよろしければご覧下さい!★★
【神谷綾社会保険労務士事務所HP】http://www.aya-sr.com/
【神谷綾社会保険労務士事務所Facebookページ https://www.facebook.com/kamiyaaya.sr/
【千葉県船橋市・津田沼の社労士 神谷綾のつれづれ日記】http://ameblo.jp/kamiya-aya/
神谷 綾 【社会保険労務士】
記事テーマ
「社会保険」や「年金」っていうと、なんとなく難しいことのよう…。でも実は、就職や退職、妊娠出産、病気やケガなんていう、様々なライフイベントごとに、私たちをいろいろ助けてくれるんです。もらえるお金。やっておくべき手続。知ってると、ちょっとトクするマメ知識。そんな「社会保険制度」について、ママの目線からわかりやすくお伝えします。