助産師という文字を改めて見ると「お産を助ける人」です。あくまで助産師は助ける・サポートをする人。すると、やはり主役はママ・パパ・赤ちゃんですね。この3人が主体的でなければ、助産師もお産を助けようがないです。
助産師は、色んなお産をサポートしています。それゆえ、助産師側の意見から学ぶことも多々あると思います。そこで今回、助産師であり、私が非常勤講師をしている帝京平成大学助産別科の学科長、曲山さち子先生にベテラン助産師ならではの生のご意見を伺いました。
曲山先生は今まで数々の助産師を育成された、とても暖かくて、男前な先生です。私の尊敬する先生であり、きらりと光る助産師です。曲山先生に、<お産の時に、助産師側から、パパやママに大事にしてもらいたいことは何ですか>と質問しました。第一声が「やる気なくしたら終わり」でした。
ではでは、『曲山先生が語るお産6つのポイント』を今から一緒に学びましょう。
『曲山先生が語るお産6つのポイント』
~曲山先生のお話~
①お産はやる気なくしたら終わり
スポーツ選手の引退会見で「体力はまだ十分ある。でも気力がなくなった」というコメントがよくある。お産もそれと一緒。やる気をなくさないことが大事。
陣痛は怖いかもしれないが、陣痛がこないと赤ちゃんに会えない。
陣痛の発作は長くても50秒。
陣痛を上手にコントロールできるといい。
帝王切開の方がいいという人もいるが、経膣分娩の方が医学的見地からも赤ちゃんにはいい(せまい産道を通ることで赤ちゃんの胸部が圧迫され、肺の中の液体も排出され、肺呼吸しやすい等)。
経膣分娩で生まれてきた子は色々な試練を経て、生まれてきているから、力があるように感じる。
~曲山先生のお話~
②パニックにならないコツ
パニックになると、痛くない時(陣痛と陣痛の合間)がわからない人が多い。痛くない時にいかにリラックスするかが大事。その方が赤ちゃんも楽。
③「息」という字
陣痛の時に息を止めてはだめ。赤ちゃんに酸素がいかないから。お母さんも、3分おきに息を50秒止めてみるといい。どれだけ辛いかがわかるはず。必ず息を吐き続けること。
息という字は「自分の心」と書く。自分の心で赤ちゃんのことを考えて、共同作業をする。
お産で一番の試練を与えられるのは赤ちゃん。その赤ちゃんが楽になって頑張れるように手助けすることがお母さんの役目。
~曲山先生のお話~
④お産は自己満足でいいい
お産は人格の投影だと思う。外来でおしとやかな人がお産で泣き叫ぶという本質がでた。お産ではこんな風に本質をだしていい。
そして、お産は自己満足でいい。静かなお産でいいなと助産師が思っていても、本人は辛くて仕方ないということもあった。
お産終えて、「やった!」と自分で満足するようなお産がいい。
⑤お父さんについて
助産師が「手伝って」といっているのに『僕は出血が苦手で・・』というような人はだめ。自分の妻が頑張っているお産の時に、ジャージに着替えて、「何か手伝うことありますか?」という人がいた。1ヶ月検診もお父さんが赤ちゃんを連れてくるというケースもあった。
お父さんもやる気が大事。
~曲山先生のお話~
⑥お産は幸せを振り返る時間でもある
臨床でたくさんのお母さんたちに出会い、「お産は幸せだなと感じることが大事」だと思う。
どれだけ人の愛を感じるか。夫の愛や親の愛など。
その愛をたくさん感じた人ほど、お産で幸せな気持ちを強く感じる。
助産師の曲山先生と専門が心理の私とでは、見解はずいぶん異なるのではないかと思っていました。しかし、実際は、心理としてもなるほど!と共感することがたくさんありました。
曲山先生の「やる気なくしたら終わり」が私の伝えている【主体性】だと思います。
曲山先生が最後に「お産は安心することが一番」とおっしゃっていました。お産は不安や恐怖を抱きやすいものです。
ママやパパや赤ちゃんが、お産や陣痛の仕組みや構造を学び、見通しやゆとりを持って、お互いにエネルギー補給し合いながら、少しでも安心してお産を迎えられるといいですね。
ベテラン曲山先生から母親学級等ではなかなか伺うことができない貴重な生の意見を伺い、ママやパパも勇気をもらえたのではないでしょうか?
私自身は、曲山先生から「助産師も心してかかります」という一言をいただいた時に、助産師のプロ根性を感じました。さすがきらりと光る助産師は違うなぁと思いました。
曲山先生、お忙しい中、長い臨床歴に伴う感覚と愛とプロ根性にあふれたお話ありがとうございました!
ひらきだ ゆき 【臨床心理士 精神保健福祉士】
記事テーマ
初めてのお産・子育てって不安ですよね?でも大丈夫。ママが主体的であれば、赤ちゃんも力を合わせママとお産を頑張ってくれます。初めての母子での共同作業のスタートが主体的であれば、その後の育児もとまどうことはあっても、そのママらしい力が発揮でき、赤ちゃんも自己発揮できます。そのお手伝いを、カウンセラーの視点から楽しく具体的にさせて頂きます!