初めてのお産で、一番不安なのは、ママ・パパ・赤ちゃんの誰でしょうか?もちろん、皆不安です。ママも「無事に産めるか」、パパも「母子ともに健康なお産か」と不安ですよね。でもママにはパパをはじめ家族やスタッフが付き添ってくれます。パパもママや家族やスタッフといることで安心感があるでしょう。
では、赤ちゃんはどうでしょうか? 赤ちゃんは、ひとりで、ママのお腹から外の世界に向かおうとしています。どんな思いでいるのでしょうか? 楽しみもあるでしょうが、初めての大きな旅で、不安もあるでしょう。
お産は見通しが立たないため、ママもパパも不安が高まりますよね。それは、赤ちゃんも同じです。赤ちゃんが少しでも安心して外の世界に向かってくることができるように、ママとパパはエネルギーを与えてください。
エネルギー補給は、大きく2つあります。
①心のエネルギー補給
②生物学的なエネルギー補給
まずは、①心のエネルギー補給について説明します。私はお産を【3層構造での共同作業】と捉えています。
陣痛は長くても50秒です。その50秒間にママは痛みを感じます。しかし、同時に赤ちゃんも50秒間苦しんでいます。赤ちゃんはどんな思いでいるのでしょうか?痛いときにママにはパパもスタッフもいて、さする等の緩和ケアをしてくれるでしょう。でも赤ちゃんには誰もしてくれません。
【お産で一番苦しくて、試練に向かっているのは赤ちゃん】です。赤ちゃんが最後まであきらめずにお産に取り組めるように【3層構造での共同作業】で、パパの言葉やママの心のメッセージで、赤ちゃんに、心のエネルギーを補給して下さい。そうすることで、赤ちゃんも頑張ることができます。
次に②生物学的なエネルギー補給について説明します。よくお産では呼吸法が大事といいますね。その理由はご存知ですか?人は痛い時や不安な時は体に力が入ります。それゆえ、陣痛の時も、体に力が入ります。
そのような時に人は息を自然に止めることがよくあります。ママは無意識でやっているかもしれませんが、陣痛の度にそれをやられては、赤ちゃんはどうなるでしょう。赤ちゃんに酸素が行かず、赤ちゃんは元気を失います。ただでさえ、お産で苦しみを感じている赤ちゃんが、酸素までこなくなっては、頑張りたくても頑張り続けることは不可能です。
だから、ママは赤ちゃんに酸素が行くように、常に「ふーっ」と息を吐き続けてください。陣痛の時こそ、「ふーっ」と吐いてください。パパもそれをサポートしてください。呼吸法なんて難しく考えなくていいです。ただ、【「ふーっ」と息を吐き続ける】ことをしてください。そうすることで、ママもパニックにならず、不安を軽減できるという良さもあります。これが、赤ちゃんへの生物学的エネルギー補給です。
世間ではお産の際、あれをしたらいい、これをしたらいいと色々情報があります。しかし、カウンセラーの視点から、【主体的な】お産を考えると、意外とシンプルです。ポイントは3つです。
①陣痛の仕組み等を知識として学んでおく(「陣痛=痛い?お産の仕組みを主体的に学ぼう!」の記事参照)⇒知識があることで少し見通しが立つ
②陣痛時は、「ふーっ」と息を吐き続ける⇒ママはパニックにならず、主体性を維持しつつ、赤ちゃんに元気を補給できる
③主体的に、陣痛時は最大50秒頑張り、その後しっかり休憩する⇒どんなに辛くても50秒という見通しがあると不安は減る。陣痛の合間に休憩することで次の陣痛を頑張るエネルギー補給ができる
見通しが立たないお産は誰もが不安です。陣痛への不安も然り。しかし、陣痛は長くても50秒と見通しが立つと少し安心感が増し、ゆとりが生まれませんか?
【見通しが立たないものをいかに見通しをもてるように工夫するか】これが主体的なお産に大切なことです。
ひらきだ ゆき 【臨床心理士 精神保健福祉士】
記事テーマ
初めてのお産・子育てって不安ですよね?でも大丈夫。ママが主体的であれば、赤ちゃんも力を合わせママとお産を頑張ってくれます。初めての母子での共同作業のスタートが主体的であれば、その後の育児もとまどうことはあっても、そのママらしい力が発揮でき、赤ちゃんも自己発揮できます。そのお手伝いを、カウンセラーの視点から楽しく具体的にさせて頂きます!