誰もが、経験したことのない出産は不安です。そんな中、パパや周囲から「頑張って」と言われると、なんだかよくわからないけど、頑張ろう、もしくは私が頑張らなきゃって自分を励ますママも多いかと思います。
そもそも赤ちゃんはママ一人で産むものなんでしょうか? 産む側、産まれてくる側の状況を整理してみましょう。
赤ちゃんは自分が産まれてくるサインを、「陣痛」という形でママに知らせてくれます。
陣痛が進むと、ママは痛みを感じたり、いきみたいけどいきめない大変さを感じたりしながら、お産を進めます。
一方、赤ちゃんは、子宮の収縮とともに、少しずつ体を回旋(回転)しながら、外の世界に向かってきています。
どんな思いで赤ちゃんは、お腹の中から、外の世界に向かってきているのでしょうか? ママも赤ちゃんの気持ちに想いを馳せてください。
居心地のいいママのお腹から、出てくるのは、大好きなママやパパに会える楽しみもある一方で、危険を伴う外の世界にでていく不安もあるでしょう。
しかし、やめるわけにはいきません。渾身の力を振り絞って、一歩一歩頑張って進み、ときに休憩を伴いながらも初めての道を歩んでいます。
その歩みを赤ちゃんは色々な形で、ママに教えてくれています。
はじめは、陣痛という形で、「ママ、今から行くからねー」と産まれてくる合図をだしてくれます。
お産が進むにつれて、ママの痛みを感じる部位も変化していきます。はじめは背中や腰のあたりでしょうか? でもお産が進むにつれて、痛みを感じる部位が少しずつ下がってきます。つまり、「ママ、僕(私)今このあたりまで(進んで)きているからね」という赤ちゃんからの合図です。
そして、陣痛の時に、少しずつ体を回旋させて歩みを進めています。この回旋もママへの大事な合図です。
実は、感覚のいいママはこの回旋を感じることができます。
実は、私がそうでした。私は第二子(息子)のはじめての陣痛の時に、ほんの少し息子が動くのを感じました。
もちろん陣痛の痛みはありましたが、それ以上に嬉しさを感じたことを昨日のことのように覚えています。息子が頑張って会いにこようとしてくれていることがわかり、とても力づけられました。
私は息子を助産院で産みました。産後の振り返りで、ベテラン助産師の院長に、回旋を感じたことを報告したら、「体の状態がよかったからじゃないの?経産婦でなくても初産婦でも感じる人は感じるよ」と教えてもらいました。
どういう状態なら「感じる」ことができるのでしょうか? 何かコツがあるのでしょうか? このことについては、最後にお伝えします。
お産は何時に終わるなどの見通しが立たないため、色々な形で、ママは自分で自分を励ましたり、付き添っている家族やスタッフから励ましてもらったりしないと、乗り切るのが難しいです。
それは赤ちゃんも同じなのではないでしょうか?
私は、陣痛の度に、自分の体の内側に意識を向け、息子の動きを感じました。心の中で、「ママも頑張るからね」と伝え、息子からは回旋という形で、エネルギーをもらいました。お互いにエネルギーを与え合う感覚でした。
赤ちゃんが自分自身にエールを送っているかはわかりません。だからこそ、付き添っているパパが赤ちゃんに声かけしたり、ママは心の中から赤ちゃんにメッセージを送るなどのエネルギーを与えてください。それは、確実に赤ちゃんのパワーになることでしょう。
お産は長丁場になることもあるので、ガソリンスタンドではありませんが、お互いエネルギー補給しながら、お産に取り組みましょう!
ここでエネルギー補給しあえる家族は、家庭で明日頑張るエネルギー補給をしあえる家族だと、カウンセラーの私は考えます。
まとめると、赤ちゃんは色んな形でママに合図(心理の世界で、フィードバックといいます)を送ってくれます。
①陣痛
②ママの痛みを感じる部位の変化
③回旋などです。その他にもその赤ちゃんなりのフィードバックがあると思うので、ママはそれを感じられる状態を心がけてください。
そのコツは「ママがそれなりにゆとりを持てること」だと私は考えます。
具体的には、
①呼吸法などでパニックにならないようにすること
②陣痛の時に、痛さだけを感じるのではなく、今赤ちゃんがどう動いているか「自覚的に」意識を向けること
③痛みの場所がどう変化しているか感じられるよう事前にパパやスタッフにフィードバックしてもらうようお願いしておくこと
などと考えます。
赤ちゃんからのフィードバックを感じながら、赤ちゃんと一緒に、ママらしい&赤ちゃんらしいお産に取り組んでください!
ひらきだ ゆき 【臨床心理士 精神保健福祉士】
記事テーマ
初めてのお産・子育てって不安ですよね?でも大丈夫。ママが主体的であれば、赤ちゃんも力を合わせママとお産を頑張ってくれます。初めての母子での共同作業のスタートが主体的であれば、その後の育児もとまどうことはあっても、そのママらしい力が発揮でき、赤ちゃんも自己発揮できます。そのお手伝いを、カウンセラーの視点から楽しく具体的にさせて頂きます!